国内のゲーム開発会社ヒストリアは9月12日、「第14回 UE4 ぷちコン」の結果を発表した。UE4 ぷちコンは、テーマが発表されてから約1か月の期間でミニゲームを制作する、Unreal Engine 4制作品のコンテスト。第14回には「なつやすみ」をテーマにした作品204本が集まり、受賞作品9本が発表された。本稿では受賞作品の中から、ピックアップして紹介しよう。
最優秀賞に選ばれた『グレイマンすくい』は、Unreal Engine 4のデフォルトキャラクター・グレイマンが登場する、一風変わった夏の風物詩ゲームだ。祭囃子が鳴り響く、夏の縁日。屋台の前にやってきたプレイヤーは、紙製のすくい網を片手に、金魚でも、スーパーボールでもなく、グレイマンをすくうこととなる。
白や赤、七色に輝くゲーミンググレイマンなど、水槽の中にはグレイマンたちが元気に泳いでいる。本作の目標は、活きの彼らを、すくい網が破れるまでに一匹でも多くすくうこと。複数のグレイマンを同時にすくったり、素早くすくい網を動かそうとしてグレイマンを落としてしまったり、プレイしがいのある内容になっている。また、本作を開発したのは、軽トラックで街を爆走するゲーム『ドライブクレイジー 』を作っているTakao氏。『グレイマンすくい』は、BOOTHおよびitch.ioにて無料公開されている。
ずし賞(審査員賞)を獲得した『蚊取家 – 最後の夏 -』は、蚊を操り少年の顔を狙うゲームだ。標的となるのは、蚊取家の少年たいへい。昭和後期の民家を舞台に、家の四方から蚊を送り込み、彼の顔をパンパンに膨れ上がらせることが目的となる。とはいえ、たいへいもただ刺されるのを待っているわけではなく、蚊取り線香を炊いて蚊から見を守ろうとするほか、高難易度では煙が風で流れる扇風機も登場。蚊が死んでしまわないよう蚊取り線香の煙を避けつつ、1度に5匹までの蚊を操り、たいへいの顔を狙っていく。本作は、トライデントコンピュータ専門学校の学生ほっふぁはぅほふぉ氏による作品であるようだ。
ささき賞(審査員賞)に選出された『ハカイシ』は、墓石を設置して先祖のソウルを守る墓石ディフェンスゲームである。先祖の魂が帰ってきた8月のウシミツ・アワー。墓場には、ソウルを狙う不敬者共が集まっていた。卒塔弾を射出する墓石と、昼間に設置できる硬い墓石を墓場に設置。因果応報とばかりに敵を倒し、先祖の墓石を守ることが本作の目的だ。エネルギーが溜まると敵を一網打尽にできる先祖ソウルレーザーが使えるほか、最終ステージには、ボスとして転生トラックも登場。どこかマッポーの気配漂う胡乱な世界観も本作の魅力だろう。ろんろんろ氏とえぐざ氏によるチーム・えぐろんろが本作を開発しており、近日中に遊べる形での公開が予定されている。
テーマに沿ってるで賞を獲得した『サメーバケーション』は、人食いサメの驚異から逃げ惑う一瞬の逃走劇だ。日差しが眩しいある夏の日。浮き輪に乗って遊んでいた主人公は、気づけば浜辺から遠くまで流されており、巨大なサメの気配が近づいていた。サメから泳いで逃げようとする主人公を操作し、岩や海水浴客を避けつつ、浜辺にたどり着くことが目的だ。アイテムを拾うと、イルカになったり、高速かつ無敵になったりなど、コミカルな効果が獲得できるほか、作品全体が明るいノリで描かれている。開発したのは、ゲームデザイナー志望の学生チームかげとくプロジェクト(kagesan氏、マスタージェダイ氏)で、Twitter上にダウンロードURLが公開されている。
『灯籠レミニセンス』は、灯篭流しの風景を表現した3D作品である。本作の舞台は、ある夏の夕暮れ。ホタルの舞う草原では、灯篭流しが行われており、川沿いを歩いて幻想的な空間を体験できることが、本作の魅力だろう。ホタルを誘導して灯籠を灯し、川に灯籠を流せるほか、VRMモデルの読み込みによるキャラクターの変更や、NVIDIA製グラフィックボードではフォトモードにも対応。夏休みの思い出を切り取ったような、情緒ある光景が描かれている。yeczrtu氏が開発しており、本コンテストではエモいで賞を獲得。BOOTHにて、無料公開も行われている。
また、zohyo u氏が開発したカブトムシ風の何かを操り、次々現れる相手をマウスクリックで土俵の外へ弾き飛ばす『SUMO of Beetle』がけーちん賞(審査員賞)。甘酢氏が開発した夏の大三角形を見つけるミニゲーム『あれがデネブ、アルタイル、ベガ』が、おかず賞(審査員賞)。CGトカ氏が開発した、オニヤンマを操作してクモと戦うSTG『鬼蜻蜓 -オニヤンマ- 夏休みシューティングゲーム』が、パロディー賞。まめお氏の開発した、花火を高い位置で爆発させて高得点を目指す『Hanabeautiful』が、Niagaraチャレンジ賞を獲得している。過去最多であるという204作品が集まった「第14回 UE4 ぷちコン」。受賞作品の一部は、プレイ可能な形で公開中だ。