国内のインディーゲームサークルSummertimeは9月11日19時、『ベオグラードメトロの子供たち』をSteamにて配信開始した。通常価格はDL版が980円。Windows版の配信されているSteamでは、9月19日までの期間15%オフのセールが行われている。Steam上では成人向けゲームのカテゴリになっているため、ストアページを訪れるには、Steamへのログインと成人向けコンテンツの設定が必要となる。また、BOOTHではMac向けDL版が配信されている。
『ベオグラードメトロの子供たち』は、セルビア・ベオグラードの地で描かれる、青春と超能力のサスペンスノベルADVだ。舞台になるのは、10年前に各地で超能力者が出現した20XX年の旧ユーゴスラビア圏・セルビア。超能力者の出現に対応し、セルビア政府は超能力の使用を違法に定め、大企業ゴールデン・ドーンによる能力者狩りも行われたことで、能力者たちは社会から弾き出されるようになっていった。また、施工が中止されたベオグラード・メトロは、能力者たちのたまり場となっていった。
主人公のシズキ・ペトロヴィッチは、半年前にセルビアの首都ペオグラードへ引っ越してきた無能力者の少年である。シズキは、ちょっとした家出をきっかけに協力関係となった超能力者のデジャンや、少数民族の少女ネデルカとベオグラードでの日々を過ごしていたのだが、ある日これまで能力者を狩ってきたゴールデンドーンが、能力者を雇用すると宣言。また、シズキはというと、ゴールデンドーンの令嬢マリヤに一目惚れし、男を見下す彼女に近づくため、女装することに。
マリヤと関わり、超能力者の謎を追っているうちに、シズキは能力者同士の抗争にも巻き込まれ、ある野望を抱く。バルカン半島の蒸せるような夏の日差しの中、ベオグラードでは超能力と青春の日々が描かれ、忘れ去られたメトロが子どもたちを飲み込んでいく。
本作の一部背景には、作者の隷蔵庫氏がセルビアで撮影した写真を加工したものが使われている。隷蔵庫氏の過去作同様、PC98風のレトロなテイストの立ち絵やスチルと、セルビアの地で撮られた背景が、能力者を巡って揺れ動くベオグラードを映し出す。一部のシーン採用されたアニメーションも、本作の魅力だろう。ゲームの進行に応じて新聞記事や手紙など、ベオグラードの能力者問題に関する資料も開放されていく。また本作のBGMの約半分は、実力派音楽系VTuberのバーチャルねこ氏が担当している。
1話30分から1時間程度のエピソード形式で進み、想定プレイ時間は10時間以上。BOOTHでは体験版が公開されており、本作の序盤の内容が確認可能。また製品版では、作中冒頭からシーンや表現の追加も行われている。なお、本作の推奨年齢は15才以上。Steamのストアページは、一部の暴力的表現や性的表現によって成人向け指定となっており、別途R-18パッチも用意されているものの、年齢制限のある要素はスパイス程度の内容であるそうだ。
本作を開発したSummertimeは、隷蔵庫氏による国内のインディーゲームサークルだ。同氏はこれまで、サイコサスペンスノベルADV『真昼の暗黒』や、百合ディストピアADV『CODA』などを、フリーゲームとして公開してきた人物。なかでも、殺人事件に巻き込まれた女子小学生と、カウンセラーの奇妙な関係を描いた『真昼の暗黒』は、「ティラノゲームフェス2018」グランプリを含め、プレイヤーから高評価を獲得している。また同氏は、セルビアの若者と日本の若者の抱える閉塞感が少し似ていると感じたことから、本作ではセルビアを舞台としたそうだ。
『ベオグラードメトロの子供たち』は、Windows版がSteamおよびパッケージ、Mac版がBOOTHにて配信中だ。