『Call of Duty: Black Ops Cold War』の公式映像がこっそりと差し替えられていた。“天安門事件の1秒”を問題視か

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先週公開された『Call of Duty: Black Ops Cold War』の映像内容が差し替えとなっているようだ。8月20日に公開された同作トレイラーは2分02秒にわたるクリップだった。しかし21日に映像は差し替えられ、1分00秒のショートバージョンとなっている。トレイラーに含まれていた1989年の天安門事件の映像が原因と思われる。

*日本でも映像がショートバージョンに差し替えられている。

トレイラーは、元KGB職員で欧米に亡命したYuri Bezmenov氏のインタビューとともにさまざまな歴史的映像が組み合わせられた構成だ。1980年代市民運動の記録が数多くモンタージュされる中、問題のシーンは1秒足らずの長さで挿入されていた。1分05秒ごろ、天安門事件にて学生らが戦車を攻撃するカットである。わずか1秒ほどのシーンであるが、本件は香港メディア蘋果日報South China Morning Postが報じたことで注目を集めることになった。当初中国の動画プラットフォームBilibiliなどでは、天安門事件が映るはずの箇所が黒塗りの画面に差し替えられていたという。Weiboなど現地ソーシャルメディアでは動画公開日より話題となっており、検閲を避けるため「01:05」といった隠語で言及が広まっていたそうだ。今回の一件を受け、『Call of Duty: Black Ops Cold War』自体が中国で発禁処分となることを危惧するゲーマーも少なくない。

現在、『Call of Duty』公式チャンネルにおけるオリジナル版トレイラーのURLは残っているものの、非公開設定となっており閲覧は不可能。一方IGNなど、トレイラーを同時公開した他メディアではもとの映像を確認することが可能だ。

『Call of Duty』シリーズが天安門絡みのトラブルに巻き込まれるのは今回がはじめてではない。2018年には江西省東部にて、当局が現地インターネットカフェに『Call of Duty: Black Ops II』のプレイを差し止めるよう命じたことがSouth China Morning Postによって伝えられている。原因は、ゲーム内にてキャラクターが架空の第二次世界大戦を思い起こし、北京の天安門広場を爆撃するシーンが含まれていたためだった。インターネットカフェには、利用客がどのゲームを遊んでいるか監視できるソフトが導入されたという。同時に『Red Alert 2: Glory of the Republic』といった中国産ゲームも「人民解放軍と敵対することができる」という理由から禁止された。当局の目は国内外に対して厳しく向けられているようだ。

天安門事件は、中国においていまだ言及がタブーとされている。1989年6月4日、民主化を求めて市民・学生らが北京の天安門広場に集まった。人民解放軍はこれを武力で鎮圧し、死者数は数百人から数千人にのぼるといわれている。天安門事件にまつわる言論は厳しく検閲されており、同様の単語を含む書き込みはインターネット上で一切見当たらない。ネット住民たちはしばしば「6/4/8/9」を含むトランプの画像で事件に言及したり、アヒルのおもちゃを戦車に見立てた写真で事件を風化させまいと努めているという(South China Morning Post)。

Activisionの対応には、ゲーム市場世界最大手である中国での発禁を避けたい狙いがあっただろう。またActivisionの株式のうち5%を現地企業テンセントが保有していることからも、衝突を避けたい思いがあったのかもしれない。『Call of Duty: Black Ops Cold War』は8月26日(日本時間で27日か)、『Call of Duty: Warzone』のゲーム内にて正式発表イベントをおこなうことが示唆されている(関連記事)。「実際に起きた出来事からインスピレーションを受けて制作された」という新作が今後どのようなかたちで送り出されるのか、注目したいところだ。

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