『龍が如く』カラオケ曲「ばかみたい」がSpotifyで世界的に人気。PewDiePieも歌い、タイでバイラルチャート7位に
セガのアクションアドベンチャー『龍が如く』シリーズのサウンドトラックが音楽配信サービスSpotifyにて脚光を浴びている。シリーズのアルバム群は今年の1月9日より同サービスにて配信開始された(Apple Musicなどほか多数のストリーミングサービスでも利用可能)。配信対象のサウンドトラックは『龍が如く1〜5、0』のナンバリング作品に加え、リメイク作品の『龍が如く極』、スピンオフの『龍が如く OF THE END』『龍が如く 維新!』に至るまで多岐にわたる。
特にいまホットなのは『龍が如く7 光と闇の行方』より、おなじみのカラオケ楽曲を集めた「カラオケ定番曲コレクション」シリーズだ。ゲーム内のカラオケで聴ける桐生や真島の持ち歌をたっぷり味わえる名盤となっている。2020年頭よりSpotifyにて配信されていた『龍が如く』楽曲集だが、今その存在感を急激に増しているという。その原因は今年7月ごろより注目を集めているカラオケソング「ばかみたい」の存在だ。
2020年11月に最新作『Yakuza: Like a Dragon(邦題:龍が如く7 光と闇の行方)』を控え、ますます海外での注目を集めている『龍が如く』シリーズ。その中でも異質な盛り上がりを見せているのが、「Baka Mitai」あるいは「Dame Da Ne」として浸透するカラオケ曲のパロディ動画だ。既存の画像を用いて好きな言葉を喋らせる(歌わせる)ディープフェイクの技術により、さまざまな有名人に「ばかみたい」を歌わせる作品が急増してきた。原曲がもつドラマティックな悲哀感が、パロディ対象となる有名人の背景と組み合わさり、独特の哀愁を醸し出すミームとして人気を集めてきた(関連記事)。2012年初出の歌が今になって海の向こうで流行している。
ブームが再び加熱している理由として、超一流のストリーマーによる燃料投下が挙げられるだろう。8月11日、チャンネル登録者数1億人を超えるYouTuber・PewDiePie氏が自身の動画にてネット上の流行ミームとして「Baka Mitai」を紹介。代表的な作例を紹介したほか、日本語歌詞で自身の歌声を披露した。こちらは402万回以上の再生回数を獲得。7月からじわじわ続いていた盛り上がりにさらなる火をつけたといえるだろう。
旋風吹き止まぬ「ばかみたい」ブームはさらに進化を遂げており、加工画像に原曲を当てるだけにとどまらない。たとえばアーティストのDonnie氏は、イギリス歌手Rick Astleyの80年代名曲「ギヴ・ユー・アップ(英題:Never Gonna Give You Up)」を土台に巧みにリミックスし、違和感なくMVと「ばかみたい」を融合させている。ちなみに同曲は海外における釣りリンクの定番で、日本の「バーボンハウス」と同様の扱いを受けている。古代インターネット文化と最新ミームが融合した、世代をまたぐ秀作といえよう。
*ちなみに楽曲はDonnieの手による編集で、動画は不特定の何者かが制作。
ほかミュージシャンのLittleVMills氏はとうとう完全に楽曲をカバーした。日本語歌詞を見事に歌い上げたほか、サウンドやMVも現代風にアレンジされている。寝台に突っ伏するLittleVMills氏、アザラシを抱きしめるLittleVMills氏など、独自の解釈で悲壮感を演出。オールドファッションなオリジナル版とは異なる魅力に仕上がっている。今をときめく『Fall Guys』もブームに乗っているようだ。
タイのSpotifyにおけるバイラルチャートでは、タイ語の楽曲群に混じり7位に「ばかみたい」がランクインしたとの報告も上がっている。同曲の配信自体は今年初頭から始まっていたものの、今になって注目を集めるのはネットミームの根強い人気を示しているだろう。11月の海外版最新作発売も控え、『龍が如く』人気がますます盛り上がっていくことを期待したい。