『ペルソナ4』の鳴上悠が「謎字幕と共に踊り散らす」奇妙なネットミームが流行中。番長の爽やかダンスは下品な言葉に打ち勝てるか

『ペルソナ4』の主人公が踊る動画に、ランダムなコピペ文章を付け加えるミームが流行っているようだ。番長の爽やかダンスは、下品な言葉に打ち勝てるのか。

『ペルソナ4』の主人公が踊る動画に、ランダムなコピペ文章を付け加えるミームが流行っているようだ。オリジナル版『ペルソナ4』が発売されたのは2007年のこと。しかし今年6月に『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』がSteamで販売開始し、そのユーザー数は1か月足らずで50万人を突破した(関連記事)。ポップでスタイリッシュな作風は13年の時を経ても古びることがなく、いまだに強い支持を獲得し続けている。

ところで『ペルソナ』コンテンツといえば今やRPGだけではない。スピンオフであるサウンドアクションシリーズも重要な作品群となっている。2015年発売の『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』は本編の明るい雰囲気ともマッチして、さまざまなアレンジ楽曲で踊るキャラクターたちの魅力的な側面を見せてくれた。可憐で華やかなヒロインたちはもちろんのこと、普段の様子からはダンスなど嗜みそうもない登場人物までパフォーマンスしてくれるのが印象的だ。

その中でもっとも躍動しているのが、主人公・通称「鳴上悠」だろう。本編では無口でクールで時折お茶目な彼だが、『P4D』では持ち前の身体能力を活かしてキレのあるステップを披露してくれる。ポーカーフェイス揃いの歴代主人公でも、特に硬派なイメージのある彼がダンスする姿はギャップがあり魅力的だ。ところが今、海外で番長は「よくわからないが躍り狂っている人」として浸透しているという。

動画に流れている楽曲は「specialist」。放課後やコミュイベント時などで流れるBGMのアレンジだ。上下に表示されているのは海外インターネットで流通している「コピペ定型文」。なかなか品のない内容なので詳細な訳は避けるが、「下品な女が『何でそんなにガマンできないの?』とか言いやがる。ホットドッグを2分もレンチンしたらどうなるかわかるだろxxxx」といったニュアンスである。要するに粗暴な下ネタだ。ところが『ペルソナ4』特有の爽やかなサウンドと鳴上の軽快なステップにより、コピペの汚さが絶妙に中和されている、ような気がする。今、このように「雑な下品ネタを鳴上悠の『specialist』に合わせる」という定型が密かに流行しているのだ。今年の頭に流行りだしたこのミーム、この夏にかけてはSteam版のリリースと友に形を変えながらもさらに浸透している。

https://youtu.be/1bmGVjRZX_E

※「15歳の女が『何か大きなことを成し遂げて若くして死にたい』とか言ってる。まずテメーができることは50人とxって、全レスリングチームにxxの写真を送ることくらいだ」

言っていることはめちゃくちゃだが、やたらスタイリッシュなダンスに乗せられることでなぜか許されてしまう気がする。抜群の身のこなしは、それだけでなぜか正当性を主張するのだ。このミームにおいて、Yu Narukamiと呼ばれる人物のパーソナリティは剥がれ落ちている。むしろ“誰でもない”人物と同じ扱いといえるだろう。わざわざサングラスをかけさせられているのも偶然ではないはずだ。グラサンによる匿名性、キレキレのダンスによる超人性により、しょうもないコピペが発言力をもって見えるのである。

https://www.youtube.com/watch?v=uHMmXbTGtoc

※無駄無駄ラッシュではしゃぐ「ジョジョ」ファンに対する、「うるせえ」との罵倒

鳴上悠といえば『ペルソナ4』本編のみならず、『ペルソナQ』から『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』のゲスト参戦に至るまで、歴代主人公で最多の出演回数を誇る。ファンからは過労を心配する声が寄せられていたが、『ペルソナ5』ジョーカーの活躍によりひとまず屋台骨から降りたと思われていた。ところがここにきて、Steamでの躍進とともに雑コラの素材としてふたたび出ずっぱり状態となってしまった。主人公としてのペルソナを剥ぎ取られ、暴言とともに踊らされる彼は今、何を思うのだろうか。

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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