陣内智則氏が『ファイナルソード』にリベンジを果たす。ゲームと向き合うことで生まれた、笑いよりも光る初心者の成長物語

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お笑い芸人の陣内智則氏は8月5日、『ファイナルソード』の実況動画を投稿した。陣内氏による同作のゲーム実況は二度目であるが、前回よりも成長を見せており、同氏のゲームと向き合う真摯な姿勢が感じ取れるゲーム実況となっている。

『ファイナルソード』とは、Nintendo Switchおよびモバイル向けに開発されているアクションRPG。Nintendo Switch版は特定の楽曲無断使用により配信停止中だが、そちらの楽曲が使われていないモバイル版はiOS/Android向けに配信中。同作は、配信開始直後から陣内氏によるゲーム実況が切望されていた。内容がコミカルであり、まさに陣内氏のコントのようなのだ。

ピン芸人である陣内氏は、おかしな映像などを用意し、その映像に的確にツッコんでいくという芸風にて人気を博してきた。その中にはテレビゲームを扱うものもある。芸風については、上の公式動画を視聴すれば手っ取り早いだろう。一方『ファイナルソード』はというと、粗々しくもツッコミどころが多いシュールな世界観やゲームプレイによって、話題を集めた作品。つまり、『ファイナルソード』は陣内智則氏のコントに出てくるようなゲームだったのだ。それゆえに、陣内氏のもとには実況を希望する声が数多く届けられた。

そんな陣内氏はユーザーの声に耳を傾け、『ファイナルソード』の実況動画を投稿した。動画の報告投稿はRTされトレンド入りを果たすなど、大きな注目を集めたが、内容はというと、すべてのユーザーの期待に応えられるものではなかった。というのも、ツッコミよりも同氏のゲームプレイの腕前に注目が集まりすぎたからである。

陣内氏は普段ゲームをプレイしないようで、不安とぎこちなさを見せながら『ファイナルソード』をプレイ。同氏のプレイにユーザーが期待するのは、的確なツッコミだ。しかしながら、そんな期待に焦りすぎたのか、あらゆる方向へのツッコミを連発。父親の奇妙なセリフや意味不明おじさんことクリムの意味不明な言動(9:35~)、あてにならない地図(23:29~)など、的確なツッコミをすることもあれば、服装のいじりやローリング移動へのツッコミ、視点操作へのツッコミなど、ほかのゲームに共通するメカニクスへの、必ずしも的確ではない指摘も見せていた。

そして、ツッコミへの反応よりも、陣内氏のゲームの腕前を疑問視するフィードバックも多数寄せられた。単純に操作がぎこちなく、見るユーザーによってはストレスが溜まるような内容だったからである。動画は30分近くある一方で、ツッコミが出るのは数分に1度。見る側としては、多くの時間をゲームプレイの視聴に費やす。そのゲームプレイがぎこちなかったり、同じようなミスを重ねていれば、視聴者のフラストレーションは高まってしまう。ゲームに不慣れなことから発する、的を射ないツッコミもまた、期待を寄せていた視聴者を落胆させた。ゲームプレイはというと、序盤の山ともいえるトロルを倒せずにギブアップ。陣内氏もまた動画の最後に「自分のツッコミがあってるのかわからない」とこぼしており、ぎこちなさは自他認めるものであったようだ。

そして時は経ち『ファイナルソード』のブームが落ち着きを見せた8月。陣内氏はなんとPart2を投稿。反響の大きさを踏まえて、再びプレイしたという。今回遊ぶにあたって練習を積んだという同氏。単なる続きプレイではなく、前回の実況から大きな成長を見せている。ゲームの操作を飲み込んでおり、前回大きく手こずったスライムをあっさりと討伐。天敵であった犬も軽やかに倒している。パラメータや回復など、ゲームシステムへも理解を見せている。そしてボスであるトロルと再対峙。あっけなくやられながらも対策法を練り、何度も何度も討伐に挑んでいる。そして挑戦すること7回目。トロルが震えるような奇妙な動きを見せるようになり、「トロルが震えてる!」と叫びながら、振動するトロルを討伐した。おそらくバグに遭遇したのだと思われるが、結果的に見事に敵を討ち取った。その後、妖精の森に突入し、植物や猿など多くの新敵に圧倒され動画は終了する。

Part 2でのツッコミはというと、随所に光るところは見せている。犬がやたらと出てくることに対して、芸人らしい指摘(7:25~)、謎のグラインドを見せるトロルへの戸惑い(15:26~)に、前述したトロールへの振動に対し、楽しげな反応を見せている(15:45~)。その後もテキストスピードの速さへのツッコミ(19:36~)や、物語展開ではプレイヤー誰しもが感じるズッコケ展開への言及(21:10~)など、徐々にツッコミどころの要領を得ている様子。劇的に変わったわけではないものの、ツッコミ面でも進化を見せた。

しかし、今回の陣内氏のゲーム実況の面白さもまた、同氏が普段公開しているコントには遠く及ばないであろう。コントは構成が練られており、短時間に質の高いボケとツッコミが連発される。一方ゲーム実況はというと、ゲームプレイが大半を占める。そもそも『ファイナルソード』はコミカルな作品ではあるものの、コント映像のようにすべてがツッコミどころなわけではない。笑いの質の面でも量の面でも、コントのような面白さが提供されることは難しいだろう。

一方で、今回の映像では陣内氏が『ファイナルソード』を介して、ゲームとひたむきに向き合う姿勢が垣間見える。トロルに6度敗れていれば、いくら仕事といえども、投げてしまってもおかしくない。しかし陣内氏は諦めず、果敢に挑戦し続けたのだ。練習を重ねたことといい、トロルへの挑戦といい、陣内氏は本気で『ファイナルソード』をプレイしようとしているのだ。動画タイトルにあるリベンジは、決してトロルのみにかけた言葉ではないだろう。トロルを倒せたことが不具合の産物であったとしても、特筆する頑張りだ。


笑いというよりも、ゲーム初心者の成長物語としての様相を呈している陣内氏の『ファイナルソード』実況。すでに次回の『ファイナルソード』実況を見据えており、次なるエリアでもツッコミポイントを探すと宣言。しっかりと目的意識を持っている点も好感が持てる。SNSなどで話題を集めたエリアは、ゲームの中盤から後半にかけて存在するとされている。笑いの山場もしばらく先ということ。陣内氏がこのまま経験を積んでいけば、ゲームプレイを楽しむ実況としても、芸人としての芸を楽しめる実況としても、練度が高い動画になる可能性は十分ありそうだ。陣内氏は最後までやりたいとも語っており、今後の展開が期待される。

なお『ファイナルソード』においては、やりこみプレイも進められており、RTAのany%は1時間が切られているほか、舞空術なるものも発見されている。さまざまな角度で人々に楽しまれるようなりつつある『ファイナルソード』。配信が停止されているNintendo Switch版は楽曲差し替えが進んでいるようで、再配信が近づいていることも開発元より語られている。一時的な波こそ止んだ同作であるが、粗粗しくもコミカルで素朴なゲームとして今後も遊ばれていくかもしれない。

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