『あつまれ どうぶつの森』の「ゆめみ」実装により、マイデザインとコーデの価値高まる。一方でさまざまな懸念も

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任天堂は7月30日、『あつまれ どうぶつの森』更新データVer. 1.4.0を配信開始した。同アップデートでは、花火大会が導入され、さまざまなアイテムが追加されたが、なんといっても目玉となるのは「ゆめみ」の登場だろう。過去作からのリバイバル要素であるが、『あつまれ どうぶつの森』のマイデザイン文化を次なるフェイズへと押し上げている。一方で、ゆめみ要素登場に付随するトラブルなども懸念されているようだ。

ゆめみとは、ゆめを介して他プレイヤーの島へと訪問できる機能。マイホームのベッドに横になることで、ゆめみ世界へと突入。特定の番号(夢見番地)を入力することで、そのプレイヤーの島へと行くことができるのだ。島の夢の中に入ると、まるで現実のように島を散歩することができる。島の住人のあいさつを聞けたり、広場に設置された「マイデザイン・ショーケース」から、その島の作者が投稿したマイデザインを受け取ることが可能。島へ行く際にアイテムは没収されるので、訪問した島に干渉することはできない。

通常マルチプレイにて他島へ行くには、フレンドになる必要があったり、パスワードを教えてもらう必要があったり、もしくはお互いにオンラインである必要があるなど、ある程度の条件を満たさなければならない。しかしゆめみを介せば、訪問側は夢見番地さえ知っていれば、すぐに他プレイヤーの島へ行くことができる。また公開側は島をアップロードしてSNSで夢見番地を張ることで他プレイヤーを呼べる。気軽にその人の島に行くこと/人を呼ぶことができる、カジュアルな機能なのだ。


『あつまれ どうぶつの森』人気を支えていた要素として、マイデザインの充実があげられる。自分だけのマイデザインを作成し、それをシェアする機能。マイデザイン自体は過去作より存在していたが、家具をフィールドに置けるようになり島全体をコーデできるようになったことで、今作での重要性は特に高い。マイデザインがQRコードだけでなく仕立て屋やからIDでダウンロードできるようになったことや、SNSが浸透し自分の投稿を見せられる場が増えるなど、シェア手段が豊富になったことも、同コンテンツが盛り上がっている一因である。

一方で、これまでのコーデのシェアは、切り出しに過ぎなかった。スクリーンショットを撮り、そのワンシーンを自慢するのみ。島の局地的な部分しか、気軽に共有できなかった。だが今回ゆめみが導入されたことで“島ごと”シェアできるようになった。切り出しではなくなったのだ。もちろんマルチプレイでは島全体を他プレイヤーにシェアすることができるが、前述したように見せられる対象は限定的である。ゆめみでは、家をアップロードし夢番地のコードをシェアすることで、不特定多数にお手軽に島自慢ができるのだ。見せびらかせるコーデの範囲が広くなったことにより、コーデのお供となるマイデザインの価値も向上している。つまり、島全体をデザインする意義が高まったというわけだ。


実際にいくつかの島を訪問してみた。たとえばメガネモチノウオ氏のはくほう島は、ゆめみ映えのする島だ。同氏の島は、青い家・ベネチア・鎌倉・江ノ島・天の川といったテーマが詰め込まれており、細かいところまで島全体が徹底して作り込まれている。オブジェクトが多いゆえに動作に若干重さもみられるが、本作のマイデザインを極めればどのようなことができるか、よくわかる一例だ。ほか、indie the turnip overlord氏の島も傑出している。島全体が和風仕立て、内装も旅館風でかなり作り込まれている。島だけでなく家の中も見られることは、ゆめみの魅力。これらのデザインは、夢番地にて公開されることによって、その魅力が爆発的な数のユーザーに共有された。そう表現すると、今回ゆめみが実装されたことの意義が把握できるだろう。

ただし、聞こえてくる良い話だけではないようだ。というのも、マイデザインの価値向上にあわせて、スロットの少なさが深刻視されているからだ。島を作り込もうとすれば、多くのマイデザインが必要になる。現存の100スロットでは足りないとの声は根強く存在していたが、今回のアップデートによりその声はさらに大きくなっているという(Polygon)。特に地面デザインについては、多くのパターンを用意する必要がある。100という上限は一般ユーザーにとって少ない数字ではないだろうが、上限数追加の要望はこれからの課題となりそうだ。

またもうひとつの懸念点として、ゆめみ荒らしが発生しているとの噂がSNSにて浮上している。ゆめみ荒らしとは、自身の島を悪意あるデザインにしてゆめみに投稿するというもの。島にきた人に対し悪意あるコーデによって、精神的にハラスメントをする、といったもの。一部YouTuberが荒らしの存在を報告したことにより、不安を抱くユーザーが続出しているようだ。こちらについては、まだ具体的な被害報告はほとんど出ていないようだ。

というのも、ゆめみ荒らしは島荒らしに比べて、荒らしをすることの難易度が高いのだ。自身の島を精神的有害なものに仕上げたのち、その島を投稿しSNSなどを介して“誰かに夢番地を登録してもらわなければならない”。というのも、『あつまれ どうぶつの森』のゆめみは過去作とは異なり、ランダム訪問要素が廃止されている。さらに、通報機能も用意されている。嫌がらせをすることにおいては、マルチプレイよりも労力を要する。通報機能という対策も講じられていることから、深刻な被害が続出する可能性は今のところ低いと予測する。


むしろゆめみについては、海外では任天堂の取り締まりの厳しさのほうが話題を呼んでいる。任天堂は、ゆめみに島を投稿した改造ユーザーたちを一掃しているようだ。同作のゲームデータを改造し、ゲーム内に眠る秘密のデータを発掘。そうした未実装アイテムを手に入れて島に飾っている複数のユーザーたちが、ゆめみに島を登録したものの、規約違反により取り下げられたと報告している。そうしたユーザーの一部は、任天堂公式Twitterアカウントに「通報機能の削除」を要請。他ユーザーの反感を買っている。彼らは、アイテムを飾っているだけで迷惑をかけていないと主張。しかし明確に規約違反をしており、かつ未実装コンテンツの展示公開は他プレイヤーへのネタバレになったり、混乱を招きかねない。取り締まりは当然で、むしろゆめみの投稿取り下げだけで済んでいることに、驚くかもしれない。

期待値が高いがゆえに、支持とともに不満も寄せられがちな『あつまれ どうぶつの森』であるが、ゆめみ要素についてはゲームの遊び方を拡張するアップデートとして、人々に好意的に受け止められているだろう。ゆめみの実装は、本作を用いた企業PRの方向を変える可能性もある。企業やクリエイターはこれまで、マイデザインを介して自社製品の宣伝をしてきた。しかしゆめみの導入により、デザイン単位だけでなく、島全体で宣伝をおこなうことが可能となった。

たとえばイラストレーターのカナヘイ氏は早速、自身の夢番地を公開。外観から内装まで同氏のイラストが用いられており、見事な出来となっている。以前フィリピンのケンタッキーが『あつまれ どうぶつの森』にてケンタッキー島を作成するPRをおこなっていた(関連記事)。一方で、マルチプレイの仕様により、訪れることができる人数はごくわずかであり、嘆く声が寄せられていた。ゆめみ要素を使えば、こうした島にもすぐに行くことが可能だろう。デザイン単位だけでなく、島全体で宣伝・訴求すれば、その効果は高まりやすい。島全体の作り込みはかなり大変であるが、マイデザインのコード配布だけでなく、夢番地コードの配布も流行しそうだ。

さまざまな懸念が寄せられているものの、アップデートにより確かな進化を果たした『あつまれ どうぶつの森』。コンテンツ追加だけでなく、こうした遊びの意義を高めるアップデートが、ゲームの寿命を伸ばしていくことになりそうだ。

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