先週末には「Pokémon GO Fest 2020」が開催され、ますます活気を見せる『ポケモンGO』界隈。そんな中、シンガポールで立ち上がった『ポケモンGO』コミュニティにによる支援が注目を集めている。シンガポールのニュースメディアCNAなどが報じた。同コミュニティはFacebook上で運営され、約10万3000人以上のメンバーを擁している。普段は主にフレンドコードのやりとりやポケモン交換などが行われている活発なグループだ。
リリース時から『ポケモンGO』を遊ぶプレイヤー、29歳のMei Qi Or氏は今年4月から乳がんを患っており、現在はステージ4に達する深刻な病状に苦しんでいる。Facebookのページには大量の処方薬や点滴の写真、背中の痛みを訴える投稿など過酷な闘病の様子を克明に綴ってきた。治療には16段階もの化学療法が必要とされ、極めて高額な医療費が負担となっている。
そこで7月2日、『ポケモンGO』コミュニティのメンバーBas Linders氏が音頭をとり、Mei Qi氏を支援するプロジェクトを立ち上げた。Linders氏は7月25〜26日のGOFest2020開催中、自身が色違いポケモンを1匹捕獲するにつき2ドルを募金することを宣言。コミュニティのメンバーにも同様の色違いポケモンチャレンジやサポートを呼びかけた。開始から5時間で45人の賛同者が集まった支援の輪は、やがて海外にまで広がっていく。最終的にプロジェクトは約2万1000シンガポールドルを集めることとなった。これは日本円にして約160万円以上に相当する。
そして先日、Mei Qi氏を交えてトレーナー同士でのオフ会が開かれた。集まった支援金は小切手のかたちでMei Qi氏に直接手渡しされたようだ。粋なことに、小切手はレックウザとリザードンが描かれた特別仕様。こちらはシンガポール在住の元広告業マネージャーAlex Ortega氏によるデザインで、同氏のカメラで記念撮影も行われた。集められた金額はMei Qi氏の治療16段階のうち、12段階分の費用を賄うことができるという。CNAに語ったところによれば、Linders氏はMei Qi氏の20代後半という若さを鑑み、その経済的負担を減らすためにコミュニティの力を組み合わせられないかと考えたそうだ。Mei Qi氏は自身のFacebookページでコミュニティへの感謝と、闘病への決意を語っている。今後もコミュニティでは継続して支援金を募集するようだ。今度は基金立ち上げサイトgive.asiaにて、より大きな規模で活動を進めるという。早くにも来週よりプロジェクトが開始する見込みとのこと。
『ポケモンGO』コミュニティでは、チャリティ活動が生じやすい独特の土壌が築かれているようだ。公式イベントとしては、環境保護活動へ参加するプレイヤーの数に応じてレアポケモンの出現率が上昇したり、アイテムが増加したりするユニークな取り組みが行われた(関連記事)。ほか、利用者が歩いた距離に応じた金額が慈善団体へ寄付されるアプリ「Charity Miles」が急激な寄付金の増加に見舞われたこともある。その背景には熱心に歩き回る『ポケモンGO』プレイヤーの姿があったことが、HuffPostにて語られている。
直近では、新型コロナウイルスで苦しむ地域の小売店・飲食店などをサポートするため「ユーザーから推薦を受けた地元のお店が抽選で、1年間ポケストップ/ジムとして登場する」というユニークなキャンペーンを行っている。こちらの応募期間は日本時間で8月1日15時59分までとなっているため、応援したいお店がある人は早めに申し込もう。不思議な連帯感をもった『ポケモンGO』コミュニティが、今後も活発に交流していくことを見守りたいところだ。