『Cuphead』売り上げ600万本突破。開発者がPS4版実現の背景や、DLC開発の進捗状況などについて語る

インディースタジオのStudio MDHRは7月29日、『Cuphead』PS4版を発表し、配信開始。あわせて、PS4版実現の背景や、DLC開発の進捗状況などについて語っている。

インディースタジオのStudio MDHRは7月29日、『Cuphead』のPlayStation 4版を発表し、即日配信開始。これに合わせて同スタジオは、本作の売り上げが600万本を突破していることを明らかにした。

本作は、PC/Xbox One版向けに2017年に発売され、2019年にはNintendo Switch版も発売。Steamのユーザーレビューにて「圧倒的に好評」を得るなど非常に高い評価を獲得し、順調に売り上げを伸ばしていった。2019年9月に500万本を突破していたことから、約10か月でさらに100万本を上乗せした形である。

今回のPS4版の発表および配信開始は、The Game Awardsの創設者Geoff Keighley氏が主催するオンラインイベント「Summer Game Fest」の中で明らかにされた。出演したStudio MDHRのプロデューサー/アーティストのMarija Moldenhauer氏は、チームメンバーは『バイオハザード』や『ヴァンダルハーツ』などのPS作品をプレイして育ったこともあり、PlayStationプラットフォームでリリースすることは夢のひとつだったと述べる。また公式サイトでの発表の中では、本作に登場するボス「道化師ベッピ」は、PS2向けに発売された『スーパーパズルボブル2』のキャラクターからヒントを得てデザインしたことも明かしている。

『Cuphead』は、マイクロソフトから資金援助とプロモーションの協力を得たうえで開発されたこともあり、当初はコンソールではXbox One独占で発売された。今回のPS4版のリリースについてMoldenhauer氏は、Xboxチームのサポートによって新たなオーディエンスに本作を届けることが実現したとコメント。同スタジオは、Nintendo Switch版を発表した際にも同様のことを述べており、当時はマイクロソフト側からNintendo Switch版のリリースの打診があったとのこと(関連記事)。

ちなみに、上のPS4版発表トレイラーでは、ストップモーションでの『Cuphead』の人形劇をフィーチャーしているが、これもまた本作のインスパイア元である1930年代のアートに由来する。当時制作された「The Peanut Vendor」というストップモーションの人形劇をモチーフに、本職のアーティストと協力して、当時と同じ技術を用いて制作したとのことだ。

今回の「Summer Game Fest」では、現在開発中のDLC「Delicious Last Course」についても言及された。Moldenhauer氏は、今年は皆が大変な状況にあるとして新型コロナウイルスの影響を示唆し、本来なら既に開発を終えているはずだったが、もう少し時間がかかるとコメント。思い出に残る体験に仕上げたいため、全力で開発に取り組んでいるところだとした。また、本DLCは2018年6月に発表されたが、当時はまだ筆を手に取った段階であったため、発表するのが少し早すぎたかもしれないと振り返っている。

DLCの内容については、ファンを驚かせるものにしたいと述べる。新たなプレイアブルキャラクター「ミス・チャリス」や新たなボスが登場し、カップヘッドたちは新たな島を冒険する。ミス・チャリスは、カップヘッド・マグマンとはまったく異なるアクションを持っており、DLCステージだけではなく、本編のステージでも使用可能だという。また、『Cuphead』本編の開発から多くのことを学んだ上で取り組んでおり、デザインからアニメーションまでさまざまな面で向上しており、ファンはディテールに富んだアニメーションに気づくことだろうとした。

https://twitter.com/NXOnNetflix/status/1276500461491757057

ゲーム以外にもさまざまな展開を見せている『Cuphead』においては、Netflixと協力してアニメシリーズ「The Cuphead Show」を放送予定。Moldenhauer氏は、制作中のラフやエピソードをチェックしており、とても自然な形でアニメ化されているとして、その進捗状況に興奮しているという。また、1930年代のカートゥーンアニメから影響を受けて制作されたゲームが、逆にインスパイア元としてアニメに還っていくことは皮肉なことだとも述べる。

制作作業はアイルランドのLighthouse Studiosが担当しており、デジタルで水彩画を再現する同社の技術を用いて、すべて手描きでおこなっているとのこと。ゲームでは、カップヘッドをはじめとするキャラクターたちは声を出して喋ることはなかったが、「The Cuphead Show」ではフルボイス。Moldenhauer氏は、彼らに個性や深みを与えて命を吹き込む制作陣の働きに感銘を受けている旨を語る。番組の内容については多くは語られなかったが、カップヘッドとマグマンの兄弟が日常を過ごす中で、何らかのトラブルに巻き込まれるという。ゲーム版のボスのほか、新たなキャラクターも登場するそうだ。放送開始時期は未定だが、Netflixの国内公式サイトにも「The Cuphead Show」のページが存在するため、日本でも放送されるかもしれない。

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『Cuphead』の今後の予定としては、先述したDLC「Delicious Last Course」の配信が控えている。配信日は未定だが、PS4版を含め全プラットフォームで同時配信するとのこと。また、マイクロソフトが開発初期から協力してくれたことで本作が生まれたこともあり、Xbox One版には特別な無料アップデートも配信予定だという。内容としてはデジタルアートギャラリーや、開発舞台裏を語るコメンタリー、サウンドトラック視聴機能の追加となっている。こちらはまだ計画初期段階とのことで、詳細は今後案内するとしている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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