『ゴースト・オブ・ツシマ』のMetacriticユーザーレビューは、メディアレビューよりもかなり高くPS4最高レベル。“爆撃対策”も追い風か
今月17日に発売された『ゴースト・オブ・ツシマ』が、レビュー集積サイトMetacriticにてかつてなく高いユーザースコアを得ている。7月27日現在そのレビュー件数は1万2000件を超え、10点満点中9.3点というハイスコアを叩き出しているのだ。PlayStation 4における歴代の9点超えソフトといえば2014年の『The Last of Us Remastered』(9.2点)、2015年の『The Witcher 3: Wild Hunt』(9.2点)、2018年の『God of War』(9.1点)などが挙げられる。『ゴースト・オブ・ツシマ』はこれらを上回る点数を獲得しており、PS4作品としては過去最高クラスの高評価といっていいだろう。
本作はメディアレビューに比べてユーザースコアがかなり高いのも特徴だ。『ゴースト・オブ・ツシマ』に対する各批評メディアの点数を集積して算出したメタスコアは100点満点中83点。手堅い点数ではあるものの、『The Last of Us Remastered』の95点や『God of War』の94点などと比べればやや控えめといえる。業界からの評価とプレイヤーからの熱に温度差があるのも興味深いポイントだろう。ユーザーからの声によれば、美しいオープンワールドや歯応えのある戦闘システム、また「風」を使ったユニークなナビゲーションなどが好評のようだ。
高い点数が出たことの原因は、作品のクオリティ以外にも見られるかもしれない。Metacriticは7月18日、ユーザーによるレビュー投稿の仕様を変更した(関連記事)。これまではゲームの発売日になるとすぐユーザーレビューを投稿できたのに対し、変更後は発売から36時間経たないと投稿できないようになったのだ。『ゴースト・オブ・ツシマ』はこの新ルールが適用されて以来はじめて批評されるビッグタイトルのひとつ。本作に対するレビューはすべて7月18日12時(太平洋標準時)解禁以降のものとなっている。
変更の理由については「レビューを書いてもらう前に、そのゲームをプレイしてもらう時間を確保するため」と発表されている。ただしもっと詳しく見ていけば、そこには長らくMetacriticが悩まされてきた「レビュー爆撃」の存在が認められるだろう。悪意をもったユーザー集団が特定タイトルの評価を下げるため、短期間で大量の低評価レビューを投稿する行為にMetacriticはたびたび悩まされてきた。こうしたレビューはある一部分を槍玉に上げたり開発元の言動を非難したりするものが多く、ゲーム全体の評価を正しく反映する妨げとなってきた。
特に直近で問題となったのが『The Last of Us Part II』における工作だ。海外メディアForbesによれば、本作は発売から数時間で爆撃を受け、一時そのユーザースコアが3.4点にまで落ち込んだという。『The Last of Us Part II』がクリアまでに20〜30時間を要する作品であることから、この低評価はリークされたストーリーなどに反感を覚えたユーザーが本編をほとんど遊ばずに爆撃したものと考えられている。同作のレビュー数は7月27日現在で13万件を超え、『The Last of Us Remastered』の約10倍という異様な数字に及んだ。Metacriticがユーザーレビューの仕様を変更したのは、こうしたトラブルを受けての対応だったといえるだろう。
『ゴースト・オブ・ツシマ』が突出して高いユーザースコアを獲得したのは作品自体のポテンシャルに加え、こうした爆撃対策が追い風となった結果ともいえるかもしれない。かつては個人ユーザーの悪意により作品の評価が歪められた事案も発生しており(関連記事)、Metacriticにおけるユーザーレビューの公正化は長らく課題となっていた。「36時間ルール」が今後どのように効力を発揮していくか、しばらく見守る必要がありそうだ。