『FIFA』ゲーム内購入に学費用貯蓄を使い果たした男性が語るルートボックスの落とし穴。英上院などから規制求める声も

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イギリス人男性のJonathan Peniketさん(21)が、高校時代にサッカーゲーム『FIFA』のゲーム内購入コンテンツに依存して失敗した経験を、BBCに語った。Peniketさんは2017年、『FIFA』のゲーム内で購入できる「パック」と呼ばれるルートボックスの購入におよそ£3000(約40万5000円)をつぎ込み、両親と祖父母が彼のために蓄えてきた預金を使い果たしてしまったという。


『FIFA』シリーズに2009年から追加されたUltimate Teamは、プレイヤーのオリジナルチームを作るゲームモード。選手や監督などのチームを構成するための要素がそれぞれカードとなっており、それらのカードを集めてより強いチームを作りあげることが目的だ。カードを集める手段のひとつとして、「パック」と呼ばれるルートボックスの購入がある。パックにはランダムにカードが入っており、購入して初めて内容がわかる。リアルマネーの他に、ゲームをプレイすることで貯まるゲーム内通貨でも購入可能だ。

Peniketさんが初めて『FIFA』シリーズのゲーム内購入を体験したのは2012年、13歳の頃。お小遣いを使ってパックを購入してもよいか父親に尋ねると、許可を得られたものの「ギャンブルだ」と言われたことに腹を立てたという。当時、彼はパックを購入してもお気に入りの選手が入手できる確率は低いことを理解しており、パックを「ギャンブル」と評するのは馬鹿げていると感じたそうだ。たまに当たりを引いて喜び、そうでない時には少しがっかりしつつもポジティブでいようと努力していたのだという。

時が経つにつれてPeniketさんがパック購入にかける金額は大きくなり、両親に内緒でこっそりと課金を行うようになっていった。街に出て、ゲーム内購入に使えるプリペイドカードを購入しては自室に隠し、パックを購入した。17歳になるとデビットカードを作り、より手軽にゲーム内購入が可能となった。そして、隠していたプリペイドカードが見つかる心配もなくなった。こうしてPeniketさんの両親は、彼がゲーム内購入に使っている金額を把握できなくなっていった。

事態のさらなる悪化

事態がさらに悪化したのが2017年。Peniketさんが大学へ進学するための準備を整えていたところ、母親に癌が見つかった。それまで送っていた「普通の生活」が一変し、母親の手術や自身の学業への不安やプレッシャーが彼に襲いかかったのだ。不安定な精神状態に対処する手段としてパック購入時の「the buzz of chance(当たるかもしれないという期待感)」に依存するようになった。

この頃になると、節度を守ることやお金の価値に対する「理性ある判断」ができなくなっていたという。「今の精神状態に対処するにはパックを購入する必要があり、未来の自分はこのことを理解してくれるだろう」と思っていたそうだ。

『FIFA』につぎ込む金額は膨れあがり、デビットカードが止められる頃には一晩で最大£400(約5万4000円)ほど使ってしまう状態だったという。依存状態が家族に知れ渡ったのは、両親と祖父母が彼の将来のために貯めてきた預金£3000(約40万5000円)を使い果たした後のことであった。

ルートボックスはギャンブルか

ルートボックスは、「ギャンブル性があるのではないか」として問題視され、議論の的となってきた。オランダやベルギーでは2018年に「(一部の)ルートボックスはギャンブルである」と認定され、それぞれの国の賭博法に違反しているタイトルに対し是正命令を下すなど、ルートボックスに対する規制を開始。『FIFA 18』もその対象に含まれ(関連記事)、発売元のエレクトロニック・アーツは、ベルギーでの『FIFA』Ultimeta Teamのルートボックスの販売を終了した

現時点では、イギリスでルートボックスは法律上ギャンブルとはみなされない。この判断は2017年に「手に入れたものを現金化できるかどうか」という観点からなされたものだ。ルートボックスで手に入るものを現金化することができないため、ギャンブルには含まれないということだ。

一度は「ルートボックスはギャンブルに含まれない」との判断が下されたものの、イギリス国内でルートボックスの中毒性に対する懸念の声は止まない。昨年10月には児童委員会が「ルートボックスに対して賭博法に基づいて規制を設けるべき」との意見を含むレポートを発表、今年1月にはイギリスの国営医療サービス事業・国民保険サービス(National Health Service)のClaire Murdoch氏が「ルートボックスは子どもたちのギャンブル依存を助長する」とする声明を発表、そして7月2日には、上院の賭博委員会が「直ちにルートボックスをギャンブルとして再分類し、規制を設けるべきである」と政府へ提言するなど、規制を求める動きが続いている。

Peniketさんは、現在では「ルートボックスはギャンブルである」という父親の意見に同意しているようだ。自身の経験を振り返り、「未成年が保護者に知られることなく購入できてしまうこと」と、レアアイテムの入手率が低いとわかっていながらも「当たるかもしれないという期待にかられてしまうこと」を問題点として強調した。また、前述の賭博委員会によるレポートを受け、「人々が私のような経験をすることのないよう、教育したり守ったりするために、自分にできることをしていきたい」と語っている。

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