UbisoftのバトルロイヤルFPS『Hyper Scape』正式発表。Twitch連携でゲーム内の状況に影響を及ぼし、死んでも「ゴースト化」しマッチに参加し続ける

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【UPDATE 2020/07/03 2:13】
タイトルに誤りがあったため訂正。
【UPDATE 2020/07/03 4:40】
Ubisoftの追加発表にあわせて、記事本文を更新。
【UPDATE 2020/07/03 10:53】
各種動画を日本語字幕版に差し替え。記事後半、視聴のしやすさという特徴について加筆。

Ubisoftは7月2日、基本プレイ無料のバトルロイヤルFPS『Hyper Scape(ハイパースケープ)』を正式発表した。先日ティザーサイトが開設され、多数のストリーマー、インフルエンサーを巻き込んでのプロモーションが展開されると報じられていた作品だ(関連記事)。このたび正式発表にあわせて、多数のストリーマーによる同作(PC版)のTwitch配信が解禁された。現段階ではPCのほか、PlayStation 4/Xbox One向けの配信が計画されている。

配信を確認すれば、Twitch Dropsにより現在開催中のテクニカルテストへのアクセス権が当たる可能性あり。ただし現在開催中のテクニカルテストでは、対象地域に日本は含まれていない(公式サポートページ)。

本作は最大100人参加型のバトルロイヤルFPS。現時点ではソロもしくはスクワッド(3人1組)で遊ぶモードがあり、後者の場合は最大33チームが参加する。舞台となるのは仮想現実都市「ネオ・アルカディア」。マップ全体が未来都市というのも大きな特徴のひとつだろう。サイズは1x1kmと小さめながら、垂直方向への広がりがあり、高層ビルの屋外戦から狭いインドアでの屋内戦まで、立体的かつさまざまなシチュエーションのバトルを生み出す。

各プレイヤーは近接武器だけ持った状態でネオ・アルカディアに降下。そこから武器やアビリティ(ハック)を集めていく。武器とハックはそれぞれ2種類ずつ装備可能。武器はオーソドックスなアサルトライフルや、エネルギー弾を発射する未来系の銃器などがある。ハックは透明化、テレポート、地雷設置、グラウンドスラム、さらには巨大なボールになってマップを転がるものまで。なお武器・ハックは同じものを拾うことでアップグレードされ、ダメージやマガジンサイズ、クールダウン時間などが向上していく。

エリアの縮小はサークル状ではない。都市のセクター(区域)単位で崩壊していく仕組み。時間経過によりセクターの崩壊(Decay)が始まり、徐々に都市が消えていく。完全に崩壊する前に他のセクターに移動しないと、持続ダメージを受ける。絶えず移動しながら装備を揃え、活動可能エリアが制限されていく中で死闘を繰り広げるのだ。

死んでもチームメイトが生きている限りはマッチから離脱せず、ゴースト化(エコー化)する。エコーになると攻撃こそできないが、移動し、Pingを打つことで敵の位置を味方に知らせることが可能。数的不利に陥っても、エコー化した味方に情報を教えてもらうことで、優位に立つことも可能だろう。そして敵が倒れた場所が蘇生地点となり、エコーとなった味方を復活させられる。チームが全滅するまで起死回生のチャンスが残るような仕組みだ。

「Hyper Scape: Gameplay Overview Trailer」よりキャプチャー

本作はTwitchとの連携機能が豊富で、Twitch拡張機能「Crowncast」により、視聴者はTwitchコメントを通じてゲーム内の状況に影響を及ぼせる。一定時間おきにイベント投票が始まり、Twitch視聴者は3択の中からひとつに投票。低グラビティ、無限弾薬、サプライクレート、回復キット、クールダウン加速、トリプルジャンプ、自他プレイヤーの位置表示など、さまざまな種類のイベントが用意されている。なおTwitch配信が開始されたばかりの時点では、視聴者投票により低グラビティイベントが頻繁に選ばれる傾向にあるようだ。今後もストリーマー用の「スクワッド招待」機能や、視聴者用の「バトルパス経験値獲得」などの機能が追加されていくという。

マッチの勝利条件はふたつある。クラウンの取得、もしくは敵の全滅だ。セクターが絞られ、チームが減っていくと、「クラウン」というアイテムがマップに出現する。勝利の王冠を拾い、45秒間キープし続ければ勝者となる。クラウン所持者の居場所は、他プレイヤーの画面に表示される。そのためTwitchでは、クラウンを持ったらボールハックを発動して転がり逃げるといった戦術が確認できた。クラウンの保持以外に、敵の全滅によっても勝利が確定する。

なお通常のソロ・スクワッドモードとは別途、「Dark Haze」という期間限定ゲームモードも準備中。こちらはマップ全体に霧がかかっていて、視界が限られる中、聴覚に頼りながら戦うモードだ。

エリア縮小と特殊イベントが絶えず発生する高速バトルロイヤルFPSという印象の『Hyper Scape』。開発は2年前に始まったそうで、『レインボーシックス シージ』と『アサシン クリード』シリーズのゲームエンジンの良いところどりによって、本作用に「フランケンシュタイン」状のゲームエンジンを作り上げたという。

ゲームの設定としては、2054年の地球にて巨大企業のPrisma DimensionsがB-Linkと呼ばれる世界最小VRヘッドセットを開発。そのB-Link用のゲームが『Hyper Space』。『Hyper Space』の世界では奇妙な出来事が起きており、調査目的で仮想世界に入り込んでいるキャラクターもいる。いくつもの謎が隠された、仮想未来都市ネオ・アルカディア。そうした物語要素も、徐々に明かされていくのだろう。

基本プレイ無料ということで気になるマネタイズ手段であるが、以下の開発者ダイアリーにてバトルパスやシーズン制を採用すると語られている。シーズンごとに最低でも新しい武器とハックを1種類ずつ追加。3〜4種の期間限定モードを予定しているという。『Apex Legends』『フォートナイト』といった、シーズン単位のバトルパスを中心とした課金システムになるのだろう。スキンアイテムを販売するゲーム内ショップもあるとのこと(公式ブログ)。

Hyper Scape: First Look & Dev Diary Trailer
ドロップポッドのスキンカスタマイズ要素も確認できる

Twitch連携、視聴者投票により試合展開が変わるバトルロイヤルゲームとしては『Darwin Project』といったタイトルが存在する。そうした視聴者参加型のゲームシステムを発展させ、かつプロモーションとして多数のTwitchストリーマーを囲い込んできたUbisoft。さらに「マッチ序盤で死ぬと退屈になる、仲間に死なれると不利になる」という、近年のバトルロイヤルゲームが打破しようとしている課題に対し「死んでもゴースト/エコーとして動き続ける」との解答を出してきた『Hyper Scape』。他の大手がまだ取り入れていないアイデアを採用しており、第一印象としては独自性を感じられる。

また新しいアイデアを取り入れつつも、インベントリ管理や武器の強化要素を簡略化することで、視聴のしやすさ、そしてゲーム展開のスピーディーさを維持している。バトルロイヤルゲームの視聴においては、配信者が何を拾ったのか、今何を持っているのか、把握しづらい場合がある。本作では画面を見れば何を持っているのか一目でわかる。そうした点でも、Twitch連携や配信者/視聴者のインタラクションを前提とした設計になっていることがうかがえる。

Electronic Artsの『Apex Legends』、Activisionの『Call of Duty: Warzone』、Epic Gamesの『フォートナイト』。基本プレイ無料のバトルロイヤル市場は、強者揃いだ。果たしてバトルロイヤル参戦を果たすUbisoftの『Hyper Scape』は、こうしたライバルと肩を並べることができるのだろうか。

Twitchストリーマーによる配信および海外一部地域でのテクニカルテストが解禁された『Hyper Scape』のTwitch配信一覧はこちら

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