PS4『ゴースト・オブ・ツシマ』の「日本語がおかしい」との誤解が海外で広まる。米産対馬ゲームに流れた奇妙な噂

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ソニー・インタラクティブエンタテインメントが7月17日に発売する『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』。同作のメインメニュー画面のスクリーンショットが披露されてから、「日本語の正確さ」をめぐる奇妙な誤解が海外で広まっているようだ。「日本の対馬」を舞台としたオープンワールドゲームへの期待を高めるかと思いきや、外国人の多くが日本語を読めないこと、そしてアメリカ発日本舞台のゲームということが、事態をやや複雑化させている。

きっかけとなったのは、国内メディアGame Watchの「レビュー予告」だった。製品コードを入手したとしてメインメニュー画面の画像を添え、発売3日前となる7月14日23時に、レビューを掲載すると予告したわけだ。


この投稿に反応したのは、日本のゲームに関する玉石混交のニュースを海外に発信する人気メディアGematsu。Game Watchの記事を引用し、『ゴースト・オブ・ツシマ』レビュー解禁が7月14日23時になると伝えた。しかしこの画像は、思わぬ波紋を広げることになる。注目を集めたのは、メニュー画面の「日本語」だった。議論の火付け役となったのは、セガオブアメリカにてローカライズプロデューサーを務めるJon Riesenbach氏のコメント。同氏は、メニュー画面の日本語訳が少し変だと指摘。ゲーム本編で同様の問題が起きていないことを願うと、日本語についてさらりと言及した。


『ゴースト・オブ・ツシマ』のメニュー画面にうつるのは、「続ける」「ゲームをロード」「新しいゲーム」「設定」。いたってシンプルな4項目である。この日本語についてRiesenbach氏は、より一般的なメニュー画面項目の日本語は「続きから」「ロード」「初めから or NEW GAME」であると指摘。セガのローカライズプロデューサーが日本語への違和感を指摘したことにより、彼らにとっての異国語が疑惑の対象と化した。ややこしいのは、Google翻訳も似たような訳を出すという点。「Load game」をGoogle翻訳にかけると日本語で「ゲームをロード」、「New Game」は「新しいゲーム」となる。こうした経緯により、機械翻訳という疑念が生まれることとなった。


そのほか、翻訳者であるCaleb Cook氏は、外来語を日本語にあてはめる難しさを説きながら、「続きから」「ロード」「はじめから」のほうが自然であると指摘。前出のGematsuは同様の意見を述べつつも、ゲーム本編に関しては主人公・境井仁を中井和哉氏が演じたりと、有名声優陣による日本語吹替が含まれていることから、そこまで心配する必要はないだろうと述べている。日本語についての知識を持つ有識者が疑問を呈したことにより、4chanや海外メディアなどにこうした情報を拡散され、『ゴースト・オブ・ツシマ』の日本語は機械翻訳ではないかという噂が出回るようになったわけだ。


では、実際のところ「続ける」「ゲームをロード」「新しいゲーム」「設定」という日本語が誤っているのかというと、まったくそうではない。また、この文言は海外タイトルでしばしば使われている文言でもある。「CONTINUE」「LOAD GAME」「NEW GAME」の日本語訳は各タイトルによって異なるが、たとえば近年の『アンチャーテッド』シリーズや『アサシン クリード』シリーズのタイトル画面でも、同様の日本語が確認できる。両作は共に日本語ローカライズにおける評価の高い作品。

もちろん、「続きから」「ロード」「初めから」のほうが好ましいという意見はあるだろうが、すでに用いられている訳し方であり、『ゴースト・オブ・ツシマ』固有の表現ではない。なお弊社アクティブゲーミングメディアの英日翻訳者に意見を聞いてみたところ、その翻訳者からも 「LOAD GAME」 「NEW GAME」のような翻訳は「簡単なようで難しい」との回答を得た。

『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』
『アサシン クリード オデッセイ』


こうした疑惑が生まれたのは、開発のバックグラウンドが特殊であることが関係しているだろう。本作は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが発売を手がけ、アメリカのSucker Punch Productionsが開発を手がける、日本を舞台とした作品である。つまり、アメリカで作られたゲームであるがゆえに、うまく日本語にできていないのではないかと不安視されているわけだ。前出のセガのRiesenbach氏は、ゲームそのものについても「ラスト・サムライ」的な西洋のフィルターがかかっているように見えるとこぼしている。日本人だけでなく、日本に関心のある外国人もまた『ゴースト・オブ・ツシマ』の日本の文化表現には期待と不安を込めたまなざしを向けているのだ。


しかしながら、そうした心配は杞憂かもしれない。Sucker Punch Gamesは幾度も対馬を訪れ調査を実施しているほか、本作の開発においてはSIE Japanのスタッフが大量の資料を用意し、全面的なサポートをおこなっていることも明かされていた。またローカライズについては、これまでにも数々のSIEタイトルのローカライズを統括してきた石立大介氏が携わっていることが濃厚。またSIEにはローカライズスペシャリストとして谷口新菜氏など実績ある翻訳者が在籍している。『Marvel’s Spider-Man』や『Detroit: Become Human』をローカライズしてきた人物たちが携わっているならば、その品質を心配する必要はない。

「メニュー画面の日本語」という奇妙な観点から話題にのぼった『ゴースト・オブ・ツシマ』。それほど世界中が同作を、そしてSucker Punch Productionsが描く「蒙古襲来」を楽しみにしているということかもしれない。日本語は非常に複雑な言語であり、さらに外来語の翻訳となると正解を見つけづらくなる。日本語に通ずる外国人にとっても、また日本人にとっても、日本語表現の正解を見つけ出すのは難しいのだ。日本人ゲーマーにとって違和感のない表現こそ、正解に近い翻訳と言えるかもしれない。

なお Sucker Punch Productionsが手がけた『inFAMOUS First Light』は、「続ける」と「NEW GAME」方式


そんなアメリカで開発される日本舞台のオープンワールドゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』は、日本語字幕と日本語音声を収録し、PS4向けに7月17日発売予定だ。

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