『Crucible』正式リリースからクローズドベータに逆行する。Amazonのチーム対戦シューターが、再生を目指し仕切り直し

『Crucible』正式リリースからクローズドベータに逆行する。Amazonの基本プレイ無料チーム対戦シューター『Crucible』が、再生を目指し仕切り直し。

ゲームスタジオRelentless Studiosは6月30日、正式リリース済みの『Crucible』をクローズドベータテスト段階に戻すと発表した。現地時間7月1日よりクローズドベータ入りし、Trelloで公開されているロードマップに沿ってゲーム体験の向上が目指されていく。クローズドベータに参加したい方は、日本時間7月2日午前1時(太平洋時間7月1日午前9時)までにSteamからゲームを入手しておこう。機会を逃した場合でも、近い将来に公式サイトから応募できるという。

クローズドベータに戻るからといって、既存のプレイヤーに大きな影響があるわけではないとのこと。ゲームの進行状況やアンロック済みのカスタマイズアイテムはそのまま保持。違いとしては、毎週決められた日時に開発者がゲームに参加し、コミュニティからフィードバックを募るようになるという。さらに、さまざまなプレイスタイルのコミュニティメンバーから抜擢した協議会を設け、彼らと密に意見交換しながら開発を進めていくとのことだ。

『Crucible』は、5月21日にSteamで正式リリースを迎えた基本プレイ無料タイトル。Amazon Gamesが販売を担当している。MOBA、ヒーローシューター、PvPvEなどさまざまな要素を織り交ぜた三人称視点のチーム対戦シューターであり、それぞれ異なるアビリティを有する10体のハンターから1体を選んで戦場に向かう。マッチ中はエッセンス(経験値)を稼ぐためにモブ敵であるクリーチャーを倒し、マップ内のオブジェクトを確保。ハンターのレベルを上げつつ、敵チームよりも先に勝利条件の達成を目指す。

ローンチ初日には一定数のプレイヤーを集めることに成功したが、無数の問題を抱えており、メディア、ユーザーからの評価は低め。Steamのユーザーレビューは約1万件中、好評43%。プレイヤー人口はすぐに減っていき、今ではピーク時でも同時接続プレイヤー数が100人台となっている。リリース当時、規模・性質の異なるゲームモードが3つあったことも影響し、ハンターやマップのバランスにほころびが見受けられた。視聴覚フィードバックが不足していたり、ボイスチャットがなかったりと、品質面・機能面でも難点あり。正式リリースしたものの、感触としてはベータ段階のゲームであった。

Steam Spy

開発元は、コミュニティからさまざまなフィードバックが寄せられたことを受けて、ゲームモードを「HEARTS OF THE HIVES」という4対4モードひとつに絞ると6月4日に発表。複数のゲームモードに対応させるために妥協する必要がなくなり、システムの根幹部分を磨き上げやすくなると、開発元は伝えていた(関連記事)。当時は「プリ・シーズン」段階としてゲームを改善し、ボイスチャット、降参オプション、AFK対策など各種機能の実装を進めた上で「シーズン1」を開幕すると説明していたが、クローズドベータに戻す方が適切だと判断したのだろう。

正式リリースされているタイトルだと、プレイヤーは完成品を期待する。未完成段階のクローズドベータであれば、粗が目立つ部分も大目に見てもらいやすい。今後は『Crucible』が好きで、未完成品であることを理解してゲームを遊んでくれるプレイヤーからフィードバックを集め、再生が図られていく。なお前述した降参オプションはすでに実装済み。ボイスチャット機能は次回アップデートで実装予定となっている。Amazon Gamesが販売を担当する『Crucible』の仕切り直しは、果たして成功するのだろうか。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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