マイクロソフトの配信プラットフォームMixer終了、コミュニティは外部移管へ。独占契約をしても遠すぎたTwitchの背中
マイクロソフトは6月23日、同社の配信プラットフォームMixerの終了を発表。Facebook Gamingとパートナーシップを結び、Mixerの配信者と視聴者をFacebook Gamingへと移管することを告知した。7月22日よりMixerのサイトやアプリはFacebook Gamingへとリダイレクトされていく。これまでMixerパートナーだったユーザーは、Facebook Gamingのパートナーとなり、収益化プログラムに参加していたストリーマーは、同様のサービスをFacebook Gamingでも受けられるようになるという。つまり、Mixerのサービスは7月22日をもって終了し、Facebook Gamingに引き継がれるわけだ。
Mixerはマイクロソフトが展開してきた配信プラットフォーム。高画質かつ低遅延の実現や収益化のしやすさを含め、さまざまな先行プラットフォームを研究し充実した機能を備え運営されてきた。また同プラットフォームの戦略といえば、著名ストリーマーの独占契約があげられる。当時TwitchのストリーマーとしてトップだったNinjaやShroudを筆頭に、複数のTwitch実況者を引き抜き、モノだけでなくヒトでもコンテンツ強化を進めていた。
しかしながら、これらの攻勢を持ってしてでも、数字の伸びは深刻だったようだ。今回の発表にてマイクロソフトは、パートナーやストリーマーの成功は、プラットフォームが素早くかつ広く浸透していけるかどうかにかかっているとコメント。現在のスピードでは、同社がゲーマーに届けようとしているビジョンや体験に至るまで、時間がかかりすぎると判断。Facebook Gamingへ移管する決断を下したと語っている。ゲーム事業を統括しているPhil Spencer氏は、Mixerへの投資によってテクノロジーは培われたとし、Microsoft TeamsやProject xCloudなどに投資するとしている。なお当然ながらテクノロジーはFacebook Gamingには移管されない。移管されるのはコミュニティがメインである。
巨額(とされる)独占契約をストリーマーと結んできたMixerであるが、必ずしも大きなインパクトをもたらせたわけではなかった。Ninjaは移籍してから同時接続数やサブスクライバー数においてプラットフォーム史上最大の数字を残してきた反面、NewzooやAsernal.gg調べでは同氏が移籍してから、Mixer全体の視聴時間は減少したとの報道も出ていた(Business Insider)。またNinja自身もTwitch時代に比べると大きく視聴者を減らしていた。王者となるTwitchに追従するにはかなり時間がかかることが予想されていたが、マイクロソフトはその時間を待てず事業自体を終わらせることを決断したようだ。
NinjaやShroudは、今回の事業終了を受けてすでに声明を出している。NinjaはMixerコミュニティに感謝しつつ、いくつか下さねばならない決断があるとコメント。Shroud氏も同様に感謝を述べつつ、次のステップを考え中であると伝えている。さまざまな手をもってMixerのコンテンツを強化しようとしてきたマイクロソフトであるが、先行者であるTwitchの域に到達することは至難であったようだ。
【UPDATE 2020/6/23 13:50】
The Vergeに応じたFacebookは、NinjaをはじめとしてMixerと独占契約した配信者はフリーになったとコメントしている。
【UPDATE 2020/6/23 13:05】
Mixer終了発表の前日に、マイクロソフト元従業員が同社にて人種差別を受けたことを告白している。詳細はこちら。