スペインのインディーゲームスタジオEndflameは5月29日、和風ホラー『異界(ikai)』のデモ版を公開した。デモ版は日本語に対応しており、Itch.ioにて無料公開中だ。
『異界』は、日本の民間伝承をモチーフにした、神社の巫女として、御札を使って怪異を封じ込める和風サイコロジカルホラーゲームである。本作の舞台は、江戸時代の神社。主人公の直子は、故あって神社に住み着いた巫女だ。神主のいないある日、神社に異変が発生。血塗られた葉が舞い落ち、鐘の音が非常事態を告げるが、恐怖に囚われた直子は何も出来ず、神社は悪しきものに支配されてしまう。神々は去り、妖異によって神社は異界と化した。しかし、直子には神社を守る責任がある。落ち着きを取り戻した彼女は、妖怪を封じるべく、巫女として奮闘する。
神社に平穏を取り戻すには、御札を使い、解き放たれた妖怪を封じ込める必要がある。しかし、すでにこの場所は異界。吹き抜ける風、軋む床板、どこかから聞こえる引き戸の音や、時折聞こえる呻き声。誰もいなかったはずの神社の中には、明確に自分以外の何者かが潜んでいる。直子は、恐怖と向かい合いながら、異界と化した暗闇の神社を探索。まずは原因を突き止めることになる。
僅かなロウソクの明かりに照らされているだけで、神社の中は暗い場所が多い。部屋には和風の燭台が置かれていることもあり、接近して蓋を開き、火を灯すと明るくなって探索できるようになる。また探索を進めていくと、十字架をかかげたり呪文を唱える代わりに、御札を作るパートが発生。安全な場所を見つけ、筆を使ってプレイヤーが直接模様を書き込む。描く模様はうっすらと紙に浮かび出ており、筆の操作も難しいものではないのだが、御札を作ろうとしている最中にもどこかから物音が聞こえていて、不穏な気配が漂っている。あまり時間をかけすぎると、見つかって襲われてしまうかもしれない。
直子を深淵へと誘う手や黒い何かなど、怪異が登場。また、神社に設置されている鐘や茶器、壺といった一部のオブジェクトは、鳴らしたり調べることもできる。デモ版のプレイ時間は30分程度。全体的に、グラフィックからは和風の世界を作ろうというこだわりが感じられた。死をもたらす化け物との対峙よりも、和風をテーマにした静かな恐怖感が、『異界』の魅力だろう。一方、本デモは主要な機能を試すためのアルファ版ということもあり、日本語翻訳は意味が分かる程度の内容になっている。
本作を開発したEndflameは、スペイン・バルセロナの小さなインディーゲームスタジオだ。メンバーはゲームデザイン担当のLaura Ripoll氏、アート担当のIván Pérez氏、プログラム担当のGuillem Travila氏の3名。大学のプロジェクトに一緒に取り組んだことのあるメンバーで構成されており、再びスキルを組み合わせ、自分たちがプレイしたいと思うゲームを開発しているそうだ。
『異界』は、日本語に対応し、Steamにて2021年リリース予定。現在Itch.ioにてデモ版が公開されている