『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率が極めて高いとの報道。実際に高いのか?

『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率が非常に高いと海外メディアDualShockersが報じており、一部で話題となっている。48%という数字は、実際に高いのか?

『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率が非常に高いと海外メディアDualShockersが報じており、一部で話題となっている。PSプラットフォームにはトロフィーシステムが存在している関係で、特定のトロフィーの取得率を見ることでそのタイトルのクリア率を把握することができる。『ファイナルファンタジーVII リメイク』にてクリアをすることで獲得するトロフィーの取得率が約48%であるとして、DualShockersは「極めて高く、ちょっとした衝撃である」と評している。

『ファイナルファンタジーVII リメイク』は、PS向けに発売された『ファイナルファンタジーVII』の設定をベースにしながら、いちからゲームそのものを再創造している。ゲーム自体は一本道であり、カットシーンも多め。ジャンル自体はアクションRPGに近いが、物語の重要性も高くアドベンチャーゲームに近い構造もある。アドベンチャーゲームは一般的にクリア率が高い。ゆえに同作のクリア率がほかの大作よりも高いという考察は、もっともらしく見える。

では実際のところ、『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率は他作品と比べて高いのだろうか。年明けに発売された規模の大きめの作品のクリア率としては、『龍が如く7 光と闇の行方』が約60%。『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』は約56%。『バイオハザード RE:3』は約53%。『仁王2』は約45%で、『ドラゴンボールZ KAKAROT』は約43%。『ファイナルファンタジーVII リメイク』の48%は、こうした作品と比べて特段高いわけではない。


となるとそもそも、DualShockersが何を見て『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率が高いと判断したのか。同紙は『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率の高さを強調する資料として、2019年1月に公開されたGameRevolutionの記事を引用した。この記事では、2019年から過去数年間にさかのぼり人気タイトルのクリア率を紹介している。記事内では『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり』が約13%、『Dead Cells』が約15%、『ペルソナ5』が約35%と記載されている。『レッド・デッド・リデンプション2』が約22%、『アサシン クリード オデッセイ』が約25%。『Far Cry 5』が約36%。『Marvel’s Spider-Man』の約50%や『ゴッド・オブ・ウォー』の約53%などもあげながら、DualShockersはこれらのタイトルのクリア率は20%~40%程度が平均であり、その中で『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率は高いと結論づけている。


この結論付けにおいては、2つの問題点がある。まず、GameRevolutionの記事を引用しさまざまな数字を見た上でクリア率は20%~40%程度が平均であるとしているが、そもそもその前提がざっくりすぎる。これはGameRevolutionの記事が不完全だというわけではなく、玉石混交に並べられたタイトルから平均をとり、20~40%というざっくりすぎる数字を据えている。平均の数字の定め方の基準も雑で、そして出した平均数字自体もかなりいい加減なのだ。

また、クリア率は時間経過と共に変化していくという点にもふれておきたい。以前には、『ファイナルファンタジーXV』のディレクターを務めた田畑端氏が、クリア率は発売1か月時点では30%程度であったことに対し、1年弱のアップデートを経て60%まで引き上げられたとKotakuに語っていた(関連記事)。時間が経てばクリア率も上がっていく。たとえば前出の『レッド・デッド・リデンプション2』のクリア率は1年半の時を経て28%まで上がっているし、発売1か月時点では30%程度であった『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』のクリア率は現在60%程度。DualShockersの引用したGameRevolutionの記事内のタイトルは発売時期がバラバラで、時間経過という基準でも条件が違う。他タイトルと比較するならば、せめて発売時期ぐらいは揃えなければ参考にはできない。


結論としては、『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率は今年リリースされた大作と比べて特に高いわけではない。一方で、低いわけでもない。『ファイナルファンタジーVII リメイク』は北米などでセールス好調であることが報告されており、幅広いユーザーが遊んでいると推測できる。そうした背景を踏まえると、決して悪い数字ではないし、今後伸びていくことも確実。ただし『ファイナルファンタジーVII リメイク』は分作であり、次作につながっていくタイトル。クリア率は他作品以上に重要になる。スクウェア・エニックスはこの数字を良しとするのか、悪しとするのか。またクリア率を上げるために何か手を打つつもりなのか。DualShockersの報道はかなり的外れなものの、『ファイナルファンタジーVII リメイク』のクリア率を考察することは、なかなか興味深いかもしれない。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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