『FF15』発売一か月後のクリア率は「かなり低かった」。アップデート続くうちに倍増、他作品よりも高く


『ファイナルファンタジーXV(以下、FF15)』のクリア率は、発売から一か月が経過した時点では約30%だったようだ。同作を手がけたスクウェア・エニックス所属の田畑端氏が、Kotakuに対してクリア率に関する数値を明かしている。

来年にはWindows版も発売される『ファイナルファンタジーXV』

スクエニ内部の分析データによれば、発売一か月後に『FF15』のエンディングを見たユーザーの数は、全体の30%であったという(なおこれが全世界の数値か特定地域のものかは触れられていない)。このクリア率は、社内での明確な成功基準から考えると「かなり低かった」そうだ。だがその後、田端氏らが発売前から予告していたようにアップデートを続けていくなかで、最終的に『FF15』のクリア率は60%まで上昇する。田畑氏はKotakuに対し、発売後のアプローチがクリア率に大きく影響を与えたことをアピールし、その結果に自信を持つことができた、非常に満足していると伝えている。

30%は低いのか

しかしながら、実際のところ30%や60%のクリア率は低いのか高いのか、ピンとこない人が多いだろう。PlayStationプラットフォームでは実績にあたるトロフィーというものが存在しており、そのトロフィーをどれほどの人が達成できたのかという取得率が表示される。このトロフィーデータを参照し、8月24日時点での国内発売タイトルの「エンディングを見た」および「クリアした」率がどれほどの数字になるのかを調査した。たとえば、『Horizon Zero Dawn』のクリア率は33%、『GRAVITY DAZE 2』は30%だ。そして『人喰いの大鷲トリコ』も同様に30%となっている。『ペルソナ5』に関しては54%と高い数値を示している。一方で発売されてから約一か月が経過した『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』のクリア率は、14.5%程度にとどまっている。

もちろん一般的に考えれば、クリア率というのは発売から時間が経つにつれて上昇することがほとんどだろう。ボリューム満点の『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』のクリア率は、徐々に上がっていくことは間違いない。上記に挙げたものをふくめ複数のタイトルを見ていくと、クリア率は軒並み30~40%のものが多く、この数値がここ最近発売された作品の平均的なクリア率であると、ある程度は考えられる。

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて

こうしたデータを見ると、『FF15』の発売一か月経過時点での30%のクリア率は高いとはいえないが、決して飛び抜けて低いわけでもない。むしろ見張るべきは、その後クリア率を60%へと押し上げたことだろう。たとえば『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』のような怒涛の展開が続くアドベンチャーゲームはクリア率65%を誇るが、膨大な要素を含むゲームほどクリアに至るユーザーは少なくなりやすい傾向が見られる。同様に膨大な要素を誇る『FF15』における30%から60%への変化は、一般的なクリア率から異例と呼べるほど高い割合への飛躍であると解釈できる。

『FF15』ではこれまでに無料アップデートが13度にもわたって続けられており、それがクリア率の上昇に絡んでいることは田畑氏の発言からもうかがえる。前述のように、世界的にヒットを飛ばした大作でもクリア率はけっして高くないが、開発者としてはその物語の行く末を見届けてほしいというのが本望だろう。発売直後にはさまざな評価を受けた『FF15』だが、にも関わらずクリア率が大幅に改善されたのは、アップデートを粛々と続けていく開発スタッフの実直な執念が実った結果であるのかもしれない。