海外のインディーゲームデベロッパーOsmotic Studiosは5月25日、Steam版『Orwell: Keeping an Eye on You』を日本語へ対応した。ストアページは英語のままで、対応言語にも日本語は追加されていないが、ゲーム内のテキストやUIは日本語に翻訳されている。
『Orwell: Keeping an Eye on You』は、監視システム「ORWELL」を使って疑わしい人物を調査していく、緊張感のあるアドベンチャーゲームだ。本作の舞台は2011年に安全法が施行されてから、犯罪件数やテロ事件が減少している架空の国ザ・ネイション。2017年4月12日、自由の広場で爆発事件が発生した。爆発により3名が死亡し、周囲に居た5名が重症。事件の数時間前には、「思想は自由だ」と記された手紙が、現地の当局に届いていたという。
監視カメラの映像により、事件直前の自由の広場には、逮捕歴のある女性が居たと判明した。彼女が怪しい行動をしていたわけではないが、本件はテロの可能性もあり、逮捕歴のある彼女が現状もっとも疑わしい。主人公は、監視システム「ORWELL」のテストユーザーに選ばれた人物。調査員として「ORWELL」を使い、爆破事件の容疑者である女性の人物像を調査することになる。
監視システム「ORWELL」は、インターネット上に投稿された記事やWebサイトから、個人のチャットやソーシャルメディア、警察のデータベースにまでアクセス可能な政府のプログラムである。事件の調査では、「ORWELL」を使ってさまざまな文書にアクセスし、手がかりになりそうな文章をデータベースへアップロード。生年月日、住所、名前、経歴などの表面的な情報はもちろん、交友関係や思想など、個人のプライバシーにまで踏み込んで調書を作成し、その内容によって容疑者がどのように扱われるかが変化していく。
たとえば、容疑者がSNS上で政府批判をしていたとしよう。内容は短いもので、冗談にもとれる些細な投稿だ。その発言をデータベースにアップロードすれば、容疑者は反政府思想の持ち主だと判断されるだろう。しかし、容疑者の発言が冗談なのか、反政府思想によるものなのかははっきりと判断できないため、容疑者の素性をどのように報告するかは、プレイヤーの良心と判断に委ねられているわけだ。
調査を始めたばかりの段階ではアクセスできるデータが限られており、SNSのIDを発見したり、データベースに情報をアップロードすることで徐々にアクセスできる範囲が増加。文書を読み、キーワードをピックアップし、容疑者の素性をある程度固めたり、重要な証拠を得た段階で、事件の調査は終了となる。本作では上記の事件を発端に、複数の事件の調査を担当。監視システムの一部となるストーリーを通じて、プレイヤーの良識を問い、超監視社会の抱える問題も描かれていく。
開発元のOsmotic Studiosは、2016年にリリースされた本作『Orwell: Keeping an Eye on You』が初作品のドイツのインディースタジオだ。本作では、Steamユーザーからの5000件以上のレビューを経て「非常に好評」を獲得。また、フェイクニュースやSNS内のエコーチェンバーに影響を受け、本作よりも上位の権限を持った最高機密部門の一員として世論にも干渉していくシーズン2『Orwell: Ignorance is Strength』も配信されている。
『Orwell: Keeping an Eye on You』はSteam版が1010円、iOSが610円で配信中だ。