Nintendo Switchのスティックが勝手に動く“Joy-Conドリフト”問題。米国での集団訴訟にて、2例目の仲裁手続が言い渡される
Nintendo Switchにおける、いわゆる“Joy-Conドリフト”問題において、また新たな動きがあったようだ。Joy-Conドリフトとは、アナログスティックに触れていないのに勝手にスティック操作がおこなわれる現象のこと。操作中であっても意図しない方向への入力がおこなわれゲームプレイに支障をきたす。内部パーツの何らかの不具合が原因と思われるが、アメリカでは集団訴訟が起こっており、その内のひとつについて進捗があった。
その裁判は、Zachary Vergara氏を代表とする集団訴訟で、米国任天堂を相手取ってイリノイ州北部地区連邦地方裁判所にて2019年8月に訴えていた。原告はJoy-Conドリフトを製品の欠陥によるものであると主張。米国任天堂はその欠陥を認識していながら、消費者にそれを開示することなく、また改善のための実質的な措置も講じてこなかったとし、これは消費者保護法違反・保証違反・不当利得にあたるとして、損害賠償や差止命令を求めていた。
この訴え対して裁判所は5月21日、仲裁手続に付するとの判断を下した。Vergara氏らの主張について、法廷にて争うべきものなのか、それともエンドユーザー契約の仲裁条項に則った対応をおこなうべきなのか、まずは仲裁人に判断を仰ぐべきだとしている。アメリカのNintendo Switchの利用許諾契約には、ユーザーは集団訴訟の権利を放棄するという項目があり、あらゆるクレームは米国仲裁協会による仲裁によって解決されると記載されている。
ユーザーはその項目を含め利用許諾契約に同意した上でNintendo Switchを利用していることになるため、争いがあるのであれば仲裁手続を求めるのが筋ではあるが、原告側は仲裁に付することを当事者が同意していない場合は無効であると主張。しかし、その判断を裁判所が下し強制することはできないため、米国仲裁協会の規則に基づいた仲裁契約のもと、仲裁人に判断を委任した形となった(Nintendo Life)。
*海外メディアIGNが、ローンチから3年経っても未だに解決されないJoy-Conドリフトを糾弾。新型コロナウイルスの影響で米国任天堂のサービスセンターが一時閉鎖され、修理対応もままならないことで、ユーザーの不満はさらに増幅しているという。
アメリカでは、ワシントン州でも同様の集団訴訟が提起されていたが、今年3月にこちらも裁判所は仲裁手続を勧告している。ただ、こちらは和解に向けた手続きを仲裁人を交えておこなう運びとなっている(関連記事)。今回のイリノイ州のケースは、その前の段階にあると言えるだろう。もっとも、どちらも集団訴訟は一旦停止されている状態に過ぎないため、和解に至らなければ裁判へと進む可能性はある。その場合、原告は陪審員裁判を求めている。なおワシントン州のケースでは、遅くとも2020年12月31日までには仲裁手続の結果が明らかになる予定となっている。