【UPDATE】Xbox Series Xの具体的なスペック発表。モンスタースペックの次世代にふさわしいマシンに

マイクロソフトは3月16日、「Xbox Series X」に関するさらなる情報を公開した。この中では、搭載CPU/GPUやメモリのスペック、内蔵ストレージに1TBのカスタムNVME SSDを採用することが発表。

【UPDATE 2020/03/17 1:06】
「Xbox Series X」のスペックに関する詳細情報を追記。

マイクロソフトは3月16日、「Xbox Series X」に関するさらなる情報を公開した。この中では、搭載CPU/GPUやメモリのスペック、内蔵ストレージに1TBのカスタムNVME SSDを採用することが発表。さらにUSB 3.2での外部ストレージサポートに加え、内蔵ストレージと同等の性能を持つ1TBの拡張ストレージカードが別途用意されることなどが明らかになっている。

今回公開された、Xbox Series Xの各種スペックは以下のとおりだ。

CPU:8x Cores @ 3.8 GHz (3.66 GHz w/ SMT) Custom Zen 2 CPU
GPU:12 TFLOPS, 52 CUs @ 1.825 GHz Custom RDNA 2 GPU
Die Size:360.45 mm2
Process:7nm Enhanced
Memory:16 GB GDDR6 w/ 320mb bus
Memory Bandwidth:10GB @ 560 GB/s, 6GB @ 336 GB/s
Internal Storage:1 TB Custom NVME SSD
I/O Throughput:2.4 GB/s (Raw), 4.8 GB/s (Compressed, with custom hardware decompression block)
Expandable Storage:1 TB Expansion Card (matches internal storage exactly)
External Storage:USB 3.2 External HDD Support
Optical Drive:4K UHD Blu-Ray Drive
Performance Target:4K @ 60 FPS, Up to 120 FPS

Xbox Series Xをデザインするにあたり、マイクロソフトはこれまででもっともパワフルなXboxとなることを目指したという。従来の世代では、パワーとはすなわちグラフィック性能の向上を指してきたが、Xbox Series Xではゲームの見た目にとどまらず、ゲームプレイ環境の向上もおこなっているとのこと。

まずグラフィック面においては、長年パートナー関係にあるAMDの協力を得て、カスタムデザインのZen 2 CPU(8コア/3.8 GHz)とRDNA 2 GPU(1.825 GHz/52 CU/12 TFLOPS)を開発し搭載。4K/60fpsでの動作を可能にすることはもちろん、競技プレイにて求められる120fpsをもサポートした。また、AMDは次世代のDirectXエコシステムの種を撒いたとも表現されており、Xbox Series Xは今年から来年にかけて同エコシステムにおけるイノベーションをもたらす存在になるだろうとしている。


見た目にわかりやすい特徴のひとつとしては、DirectX Raytracingをハードウェア・アクセラレーションでサポートすることが挙げられる。今回の発表の中では、例として『マインクラフト』での利用例が紹介。反射や屈折、透過などを経る光線を辿る形で光の表現を再現し、リアルなビジュアルを実現している。

そして、もうひとつの例として『Gears 5』も紹介。こちらはPC版におけるウルトラ設定相当にした上で、さらにパーティクル量を50%増やしたものをXbox Series Xで動作させているそうだ。同作は現時点で100fpsで動作しており、現在はマルチプレイでの120fpsを目指して研究中だとか。なお、この最適化版の『Gears 5』は、Xbox Series Xのローンチタイトルとして発売予定。Xbox One版保有者は「Smart Delivery」により無料でアップグレードできる。Smart Deliveryとは、Xbox One版とXbox Series X版のクロスバイのことで、ファーズトパーティタイトルはすべて対応予定だ。

理想的なゲームプレイ環境に求められることというと、ゲーム体験に素早く飛び込むことができる点が挙げられ、そのスピードがXbox Series Xのキーワードとして挙げられた。これを実現するにあたって大きな役割を果たすのは、ハードウェアのスペックだけではなく、内蔵するカスタムNVME SSDとソフトウェアの組み合わせ。マイクロソフトは「Xbox Velocity Architecture」と呼ばれる、ゲームアセットの転送に最適化された新アーキテクチャを開発し、これはXbox Series Xにおける最大のイノベーションのひとつだと胸を張る。100GBものアセットであってもただちにアクセスできるため、特にオープンワールドゲームはその恩恵をもっとも受けることになるだろうとしている。

スピードの観点においては、レイテンシーの削減についても紹介されている。マイクロソフトは最高のゲーム体験を届けるために、プレイヤーの入力からディスプレイに表示されるまでのすべての流れを解析し、「Dynamic Latency Input(DLI)」を開発。ゲーム開発者はDLIを利用することで、プレイヤーの入力操作とゲーム内を、より正確に同期させることができるという。

またXbox Series Xでは、HDMI 2.1搭載による120hzのサポートや、接続したテレビが持つもっとも遅延の少ないモードを自動的に選択する「Auto Low Latency Mode(ALLM)」、モニタのリフレッシュレートと同期してテアリングのないスムーズな描画を実現する「Variable Refresh Rate(VRR)」にも対応。それぞれ単独ではレイテンシーの削減に気づくことは難しいが、これらを全て組み合わせることで、よりレスポンシブな体験を実感できるだろうとしている。

ロード時間の削減も、スピードを語る上においては重要な要素のひとつ。公開されたデモ映像では、『State of Decay 2』を使ってXbox One Xと比較。Xbox Series Xでは、ざっと5倍近く高速であることが分かる。これはカスタムNVME SSDのスペックはもちろん、CPUのプロセッシングパワーも影響している。

また「Quick Resume」機能も紹介されている。これは以前プレイしたゲームを、当時の場面から素早く再開できる機能。Xbox Oneでは、最後にプレイした1タイトルのみレジューム可能だが、Xbox Series Xでは複数のゲームに遡って再開可能。具体的な本数については伏せられたが、ゲーマーは1か月に平均3〜4本のゲームをプレイすると紹介されているため、少なくともそれくらいはサポートするのだろう。以下のデモ映像でも、過去4タイトルを再開する様子が収められている。

Xbox Series Xが持つ互換性について紹介された。Xbox Series XではXbox Oneタイトルとの後方互換機能を備え、さらにXbox Oneにて後方互換対応しているXbox 360/初代Xboxタイトルもプレイ可能。Xbox One Xにて後方互換タイトルをプレイした際には、レンダリング解像度やフレームレート、ロード時間の向上など、ハードウェアの進化による恩恵を受けられたが、これはXbox Series Xでも同様。新たな技術を用いながら、さらに向上させるという。

また複数の本体や、Xbox Series XとXbox Oneの世代をまたいだシームレスなゲームプレイも念頭に開発されており、世代間マルチプレイのサポートやセーブデータの移行、そしてXbox One用周辺機器のサポートなどが挙げられている。先述したクロスバイ機能Smart Deliveryもそのひとつだ。

Xbox Series X用コントローラーについては、基本的にはXbox Oneコントローラーを踏襲したデザインだが、より幅広い人の手に馴染むようにグリップをわずかに削り小型化。バンパー/トリガーの角には丸みを持たせている。また十字キーは、さまざまなプレイスタイルに対応させるため、Xbox Eliteワイヤレスコントローラー風のお皿型のパーツに変更。深さはやや増しているとのこと。バンパーとトリガーには、マット仕上げの上に滑り止めのテクスチャが設けられた。

機能面では、ゲームプレイの録画やスクリーンショットの撮影に使用する専用ボタン「Shareボタン」を追加している。これにより、フレンドなどとのゲーム体験の共有がより簡単にできるようになるという。そのほか、有線接続およびチャージパックへの充電用にはUSB Type-C端子を搭載。チャージパックを使用しない場合は単三電池でも動作する(Windows Central)。なお、この新コントローラはXbox Oneでも使用できるほか、Bluetooth Low EnergyによりPCやiOS/Androidとの無線接続も可能だ。

*テック系メディアDigital FoundryがXbox Series Xを独占取材。Xbox Series Xの実機をXbox One Xと並べて比較している。

今回はスペックの詳細が明かされたが、肝心の価格や発売日については伏せられたまま。6月のE3での発表が期待されたが、同イベントは新型コロナウイルスの影響を受けて中止。マイクロソフトは替わりにオンラインイベントを計画しており、そこでの続報には注目が集まる。Xbox Series Xは、今年のホリデーシーズンに発売予定だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6889