任天堂が3月20日にNintendo Switch向けに発売予定の『あつまれ どうぶつの森』。続々と情報が公開されファンが沸き立つ中、昨年より奇妙な絡みが生まれており、一部ユーザーを喜ばせているようだ。その絡みとは、『あつまれ どうぶつの森』と『DOOM Eternal』の非公式コラボレーションである。ほんわか生活ゲームと、CERO Zの暴力FPSがなぜ絡むことになったのか。
『DOOM Eternal』は、ゴアと暴力が特徴的なFPS『DOOM』シリーズ最新作。2016年に発売された新生『DOOM』の直接の続編として、id Softwareの最新ゲームエンジンid Tech 7を用いて開発されている。前作の出来事の後、帰還したドゥームスレイヤーは、デーモンに侵略された地球を目撃する。同フランチャイズ初となるロケーションを含め、地球や地獄を巡る過酷な冒険が待っている。ドゥームスレイヤー1人対デーモン2体の非対称オンラインマルチプレイモード「BATTLEMODE」も盛り込まれるなど、パワーアップがはかられた続編だ。
縁がなさそう両作に突如共通点が生まれたのは、昨年10月のこと。2019年11月発売予定だった『DOOM Eternal』の延期が発表された。理由としては「より高品質かつスピード感あふれる最高のゲーム体験を提供するため」だという。延期後の発売日に選ばれたのは2020年3月20日(国内では3月26日)。そう、海外では『あつまれ どうぶつの森』と同じリリース日となったのだ。
非暴力島暮らしゲーム『あつまれ どうぶつの森』と、ゴア表現満載の『DOOM Eternal』。まったくジャンルの異なる大作の発売日が同じということで、そのリリース日が面白がられた。おそらく火付け役となったのは、TwitterユーザーMandy氏のツイートだろう。次第に、そのふたつを組み合わせたファンアートが続々と生まれだしたのだ。その内容としては、『DOOM』の主人公であるドゥームスレイヤー(Doomguy)としずえ(Isabelle)が仲良くするというもの。武装して共闘したり、バーで飲み明かしたり。暴虐の限りを尽くすドゥームスレイヤーとシリーズアイドルのしずえが仲睦まじげにふれあう姿は、不思議な魅力を生み出している。
Despite fighting massive hordes of demons and monsters, Doom slayer still takes time to hang out with friends! #DoomEternal #Doom #bfg9000 #isabelle #cute #fanart pic.twitter.com/pF9RGvCe5n
— Tungsten Hale (@HaleTungsten) August 5, 2019
Happy Birthday Isabelle
"CANELITA"‼️#animalcrossing #doomguy pic.twitter.com/gLDiUcftFm— Artsheops NSFW COMMISSION OPEN! (@ArtSHEOps) December 20, 2019
Doomguy and Isabelle having a podcast
Requested by @MrAgentStrange pic.twitter.com/ACHjzrZvyQ
— Oscar (@datonestarfox2) October 25, 2019
After watching #nintendodirect i love how Isabelle is into "whisky" So i'd like to think that she drinks a lot to unwind and #doomguy would put a blanket around her so she won't catch a cold. Poor girl. #AnimalCrossingNewHorizons @animalcrossing @DOOM pic.twitter.com/ELWddLUUB7
— Philtomato ? (@otagoth) February 20, 2020
『どうぶつの森』シリーズは、ほんわか生活ゲームであるが、ブラックジョークも数多く仕込まれている。そうした事情もあってか、シリーズキャラをマフィア化させるパロディなどもファンの中で流行している(関連記事)。暴力的キャラとの非公式コラボレーションは、そうした『どうぶつの森』の潜在的なブラックさに合致していたのかもしれない。一方で『DOOM』のドゥームスレイヤーは、しずえと絡むことで心優しい戦士として描かれている。正反対の作品の人気キャラを混ぜ合い、お互いの作品の色に寄り添った結果、独特のフレーバーのネットミームが誕生したのだ。
そんな愉快なネットミームを、『DOOM』公式Twitterは見逃すはずもない。昨年12月末には、「2020年で楽しみにしているゲームは?」というYouTuberのアンケートに突然割り込んでいき、『どうぶつの森』と回答。米任天堂公式Twitterが『あつまれ どうぶつの森』Directの放送が発表された際には「しずえはいるのか」とリプレイし、笑いを誘っていた。もともと突飛な言動と短文テキストを投稿し、その奇妙なキャラクターがウケていた『DOOM』公式Twitterは、異色の絡みによってさらに注目を集めている。今同アカウントは、何を投稿してもユーザーのリプライによって『どうぶつの森』に絡められている。
Animal Crossing
— DOOM (@DOOM) December 31, 2019
will Isabelle be there
— DOOM (@DOOM) February 18, 2020
Until Demons and Isabelle
— Twitter Gaming (@TwitterGaming) February 20, 2020
一方米任天堂側は無反応。任天堂アカウントといえばコンプライアンス意識が高いことが特徴。海外アカウントはジョークなども投じるが、基本的にはネットミームに乗じることなどはあまりない。また『DOOM Eternal』はESRBではMature 17+(CERO Z)にレーティングされており、全年齢対象のタイトルの宣伝に絡めるにはややリスクがあるため、無反応は致し方ないといったところだろうか。また今回のネットミームについては『DOOM』側が一方的に絡んでいるからこそ、面白みが出ているといえるのかもしれない。
いずれにせよ、今回の非公式コラボレーションは、『あつまれ どうぶつの森』と『DOOM Eternal』両作にとって、宣伝的な追い風になっているだろう。共通点は発売日のみであるが、ファンベースの大きいタイトル同士に結びつきが生まれれば、こうした意外な盛り上がりが生まれるのかもしれない。記事中部にはファンアートの一例を出していたが、ドゥームスレイヤーとしずえのファンアートはどれもなかなかほっこりするものが多い。気に入った方はぜひ「Doom Isabelle」などで検索しファンアートを堪能した後、両作を予約購入するといいだろう。