来月3月20日に発売される『あつまれ どうぶつの森』。人気シリーズの発売が近付き、新たに情報が公開されるにつれ、ファンの期待は高まっている。一方で、公開される情報には一部ユーザーに不安を抱かせる内容のものもあったようだ。それは北米のストアページにおける、レーティング欄の表記。具体的には「ゲーム内課金」が記されていたのである。その「ゲーム内課金」の表記がひっそりと消えていたようだ。Nintendo Lifeなどが伝えている。
非営利団体ESRB(Entertainment Software Rating Board)は、北米におけるゲームのレーティングをおこなう企業だ。メーカーから申請を受けたゲームの内容を審査し、対象年齢や明示すべきゲーム内コンテンツを判定している。それゆえに、ESRBからレーティングされたゲームのパッケージには、対象年齢のほか、ゲームにどのような内容が含まれているのかが記載されている。またESRBはルートボックスにおける議論が発生して以来、「ゲーム内課金(In-Game Purchases)」についても明記するようになった(関連記事)。保護者が自らの子供にとって相応しいゲームかどうかを判断するためである。
そして米任天堂のストアページの『あつまれ どうぶつの森』のESRB項目に、この「ゲーム内課金」が記載されていることが、redditなどのコミュニティを中心に騒がれることになった。というのも、任天堂はモバイルゲームにおいて月額パス形式のコンテンツ導入を推進しており、実際『どうぶつの森 ポケットキャンプ』でも「ポケ森友の会」なる要素が昨年末より実装されていた。『マリオカート ツアー』や『ファイアーエムブレム ヒーローズ』でも同様のコンテンツが実装されており、今なら月額パスを連想させる要素が揃っているわけだ。とはいえ、家庭用ゲーム単体で月額パスが導入される例は少なく、月額パスと決めつけるのはやや早合点かもしれない。
ただし、同作にゲーム内購入が実装されることに抵抗感を示すユーザーは少なくない。たとえばredditの当該スレッドでもっともupvoteされているコメントを要約すると「フルプライスゲームなのに、さらに家具や動物がDLCで販売されることが心配。これまで無料になっていたものが有料になれば気持ちよくないだろう」というもの。もしエキスパンションパスが出てコンテンツが年単位で更新されるなら嬉しいといった声もあるが、同様の不安の声が数多く寄せられていた。
そもそも、ESRBにおけるゲーム内課金の定義は幅広い。ルートボックスに加えて、追加マップやシーズンパス、サブスクリプションなども含まれる。どのようなDLCだとしても、このゲーム内課金に認定される。つまり、ゲーム内課金というだけではどのような内容になるかさっぱりわからないわけだ。しかしながら、この正体不明の表記はさまざま憶測を呼ぶこととなった。
しかしながら2月13日になり複数の海外メディアが、『あつまれ どうぶつの森』北米ストアページのESRBの表記から「ゲーム内課金」が消えていると報告。実際にストアページを見てみると、表記が消滅していることが確認できる。「ユーザーインタラクション(User Interaction)」も消えており、残されたのは「コミカルないたずら(Comic Mischief)」のみ。無用な混乱を避けたのか、そもそも表記が間違っていたのか。理由は不明であるが「ゲーム内課金」表記は消えることとなった。ちなみにESRBのレーティングは、発売前のゲームについても発売後のゲームについても、表記が変わるケースが存在することを留意したい。
『あつまれ どうぶつの森』の情報発信における混乱の理由のひとつとしてあげられるのが、Nintendo Directが放映されていないこと。Nintendo Directでは、新作発表が大きな目玉であるが、発売前のタイトルの混乱しやすい点などをわかりやすく“直接”伝える点で機能していた。『あつまれ どうぶつの森』ではセーブデータや転送の仕様をトピックスにて告知しているが、該当部分は追記だらけになっている。Nintendo Directにて解説されていたとしても文字ベースの仕様説明は必要となるが、映像での丁寧な説明があれば、これほど追記を重ねる形にはなっていなかったかもしれない。
VideoGamesChronicleによると、前回のNintendo Directから160日以上が経過しており、これはNintendo Switchが発売されて以来最長の“Directなし期間”だという。Nintendo Directが始まってからの最長記録は183日とまだ時間は残されているものの、今回の件はNintendo Directの必要性が高まりつつあることを思わせる。新型コロナウイルスの蔓延など世界情勢を考慮すると、今踏み切ることは容易ではないと予想されるが、正しい情報を伝えるという点でNintendo Directの早期実施が望まれるところだろう。