パブリッシャーArt Games Studioは2月13日、『Climber:Sky is the Limit』を発表した。「なぜあなたはエベレストに登りたいのか?」「そこにエベレストがあるから。」当時前人未到の地であったエベレスト。その頂に挑み続けたイギリスの登山家、ジョージ・マロリーは記者の質問にこう答えたという。『Climber:Sky is the Limit』は登山というアクティビティが持つ魅力、そして魔力を再現しようとする、サバイバル登山シミュレーターである。リリース時期は2021年上半期を予定している。対応プラットフォームはPC(Steam)のほか、Nintendo Switch、PlayStation 4とXbox One、そして次世代機となっている。開発を手がけるのはA2 SoftWorksだ。
『Climber:Sky is the Limit』では登山、その中でも特に高難度と称される山々を登る際に行われる、一連のフローを疑似体験することが可能だ。先ず山を登る際に必要となってくるのは、目標に合わせた装備、及び登頂ルートの選択である。山に持っていく装備は、少なすぎても、多すぎてもいけない。重量過多になってしまえばスタミナを余分に消費してしまうほか、只でさえ不安定な足場で更に身動きがしづらくなる。逆に快適性を重視し量を減らしてしまえば、緊急事態に対応できなくなってしまう。
そして登山は登りで終わらない。下って無事帰還するまでが登山である。故に登頂ルートの内容と天候予測から必要日数を逆算し、所持している予算からそれに合わせた適切な装備を整えなければならないのだ。難しいルートを選択すればもちろん、高評価及び多額の資金提供と引き換えに、必要な技量と装備は増えるが、逆に天候が安定し、登頂期間を短縮することが可能となる場合もある。極限環境に長期滞在することはそれ自体が多大なリスクとなるため、自らのプレイスキルを含めさまざまな条件を考慮しながら事前準備を行おう。
装備を整えたら早速実践である。本作では両の足を使った通常のクライミングだけでなく、クラックにハーケンを差し込むことで行う、本格的なアルパインクライミングをシミュレートすることが可能だ。選択したルートに岩溝が含まれていれば、アイスアックスとクランポンを使用し氷壁を登るアイスクライミングを行うこともできる。当然それだけではなく、千変万化の気候を有する山にてつきものである、突然のアクシデントも体験可能。雪崩や地吹雪、岸壁の崩落に滑落事故。ビバークの仕方やピッケルを用いた停止方法など、実際の出来事ではないが故に、大自然の中遭遇する事故に対し、何を用い、如何に対処すれば良いのかを大まかに学ぶことができる良い機会と言えるだろう。また体温やスタミナ、栄養状態といった管理すべきパラメータが用意されているほか、キャンピング中に行う食料の調理を、ガスボンベに火を付けるところから行うことができる。登頂対象としてはエベレストやブロード・ピーク、K2といった、何人もの挑戦者を飲み込んできた魔の山々がラインナップ。本作の制作にあたりA2 SoftWorksは専門資料を参照するだけでなく、プロの登山家の監修を受ける予定だといい、登山体験の再現におけるクオリティには大いに期待できるだろう。
人はなぜ山に登るのか。なぜ人は山に惹きつけられるのか。古くからフェティシズムの対象となるなど、山にはまるで人間に対する磁力のような未知の力が備わっている。普段から登山に親しみのある人はもちろん、そうでない人はぜひ、この力の一端を、本作を通じて体験してみてはいかがだろうか。『Climber:Sky is the Limit』は2021年上半期リリース予定だ。