『FF14:漆黒のヴィランズ』にて、運営のModとツール使用に対するスタンスが説明される。「エロSS」や「晒し行為」はそれ以前の問題

スクウェア・エニックス社によるMMORPG『ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ』の第57回プロデューサーレターLIVEにて、同作運営チームのModやツール使用に対するスタンスが改めて解説された。

スクウェア・エニックス社によるMMORPG『ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ』(以下、FF14)の第57回プロデューサーレターLIVE(以下、PLL)にて、同作運営チームのModやツール使用に対するスタンスが改めて解説された。PLLは『FF14』のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏が直接、次期アップデートの実装予定コンテンツなどについて解説・披露するライブストリーム。多くのプレイヤーが視聴していることもあり、そうした機会を利用し改めて運営の方針を表明した形となる。

外部ツールの使用に関しては『FF14』コミュニティの中では度々議論の争点となってきた話題であり、運営チームは言及には慎重な姿勢を見せつつも、このテーマに触れること自体は今までもあった。ただし、ここまで時間を取って、細かく運営の見解をプレイヤーに説明したのは今回が初めてと言えるだろう。

まずModについては、吉田氏は明確な結論を述べている。少なくとも現在『FF14』で話題となっている「Mod」と呼ばれているものは、キャラクターの衣服やグラフィックを改造・消去して卑猥なスクリーンショットを撮る目的に使われているものであるという。こういったModを利用したスクリーンショットをSNSなどにアップロードする行為は、吉田氏の個人的なMod文化に対する見解や、運営チームのModに対するスタンス以前の問題として、根本的に公序良俗に反しているためNGであると述べた。

また、「吉田氏はMod文化に肯定的である」という主張に補足するためにも吉田氏の個人的な考え方が説明された。曰く、Modは本来その大半がゲームの規約に違反する行為であり、運営の匙加減一つで禁止、アカウントに対する制裁等が行われるリスクがあるものであるが、ゲームに発展性をもたらしより多くのユーザーがゲームを楽しむことが出来るという点で公式に認められる事例が過去に存在した。これはユーザー、コミュニティ、運営がお互いをリスペクトしあっているからこそ成り立ったことであり、Mod文化そのものに「良いか悪いか」などは存在しないということだ。今回のFF14における「エロMod」はそれ以前の問題であったわけであり、またこの吉田氏の考え方がそのまま『FF14』の運営方針に適用されるわけではないが、今後『FF14』でのMod制作やそれに近い試みを予定している人は、この吉田氏の考え方を念頭に入れておく必要があるだろう。

外部ツールに関しては、非常に難しい問題である。まず前提として、運営チームの方針として「外部ツールの利用は禁止」というのは揺らがぬスタンスであり、今までも明言してきていることである。その上で問題となっているのはどこまでが外部ツールなのか?という線引きである。PLL中ではゲーマー御用達となりつつあるボイスチャットツールである「Discord」と、『FF14』コミュニティの中では非常にメジャーなアプリケーションである「Advanced Combat Tracker」(以下、ACT)を例に説明がされた。Discordを利用したボイスチャットは本質的に『FF14』をプレイしながらスマホで通話しているのと区別できるものではないし、ACTを利用したログの読み取りとそれを元にしたDPSの計算も、極端な話「人間がログを読みながら高速で手元の電卓で計算している」のと区別できるものではない。どこまでが外部ツールなのか、どういった機能が規約違反なのか、細かいガイドラインを設置することは現実的ではない。なので、運営側の主張としては「外部ツールは全て禁止」に尽きるのであり、個別に「これは使用可能ですか?」などの問い合わせがあっても例外なくNGとなる。

つまるところ、『FF14』の運営チームからすればDiscordもACTも「外部ツールなのか?使用してもいいのか?」と聞かれたらダメと答えるという点においては同じなのである。ある日突然、『FF14』と一緒にDiscordを利用しているという理由で大勢のアカウントに一斉にペナルティが課されたとしても、それは規約に則った正当な処分であるということだ。『FF14』ユーザーにはこのリスクをきちんと理解してほしいし、だからこそ外部ツールを利用しないでほしいと吉田氏は述べた。

ただし、運営には各ユーザーのPCにどのようなアプリケーションがインストールされているか調べる権利は存在せず、また『FF14』と同時に起動しているアプリケーションを調べるスパイウェアのような機能をクライアントに入れるのも法律上不可能である。また、配信画面やスクリーンショットにDiscordやACTのオーバーレイ(らしきもの)が映っているからといって、それを元に処分を下すことも不可能である。こういった部分が現状外部ツールを「グレーゾーン」たらしめているのであると、吉田氏は語った。ACTで計測されたDPS(らしき数字)をゲーム内チャットやSNSで公開する行為でアカウントに対するペナルティが課されたケースはあるが、こういった事例は外部ツール利用以前の問題としてハラスメント行為であるから問題とされているのである。ゲーム内チャットやスクリーンショット等で利用していることが示唆される程度では外部ツール利用の証拠として甚だ不十分であり、「通報合戦」のような状況になることも吉田氏の本意ではないということだ。

外部ツール使用にペナルティを与えることの現実的な難しさを説明しつつも、吉田氏はゲームバランスに大きく影響を与えるようなACTのプラグインが存在することも把握しており、特にゲーム内のデータを改ざんしたり、サーバーとの通信に正常ではないパケットが検知されるような悪質なツールに関してはアカウントへの処分が下される可能性が高いと述べた。他にもコンテンツ中にフィールドマーカーを高速で設置するような、通信上では正常な動作をしているように見えるプラグインに関しても、対策を施した上でなるべく(バランスに影響を与えない範囲で)ゲーム側で同様の機能を実装する方針のようだ。ただし、ACTのようなDPS計測機能に関しては公式で実装することはないと明言。これに関しては過去に何度も吉田氏が語ってきたことであり、今回のPLLでもかなり強調して主張されたいたことから、今後公式でDPS計測機能が実装される可能性は非常に少ないと見ていいだろう。

まとめると、今回説明された外部ツールに対する運営のスタンスの要旨は以下の通りとなる。まず、外部ツールは規約で全面的に禁止されている。また、運営側でどこまでが「外部ツール」であるかの線引きやガイドラインを定めるつもりはなく、あらゆる外部ツールは等しく使用不可である。ただし、ユーザーが実際に『FF14』と一緒に外部ツールを使用していることを立証することは、運営側にとって技術的に困難であることが多く、スクリーンショットや配信画面に映っているからというだけでペナルティを課すことはできない。しかし、外部ツールの中でも特にゲームバランスを大きく損なうようなものに対しては、積極的に調査・対策・処分するつもりである。と、いうことになる。これらを踏まえて今後どのようにプレイしていくかについては、それこそ各『FF14』ユーザーが自分の責任と判断をもって決めることだと言えるだろう。

Mizuki Kashiwagi
Mizuki Kashiwagi

PCとPS4をメインで遊んでいます。自分で遊んでも、観戦していても面白いような対戦ゲームが好きで、最近は格闘ゲームとMOBAをよく遊んでいます。

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