パズルADV『LUNA The Shadow Dust』2月13日発売へ、日本語対応。迷い込んだ魔法の世界で、フシギな相棒と記憶をたどる冒険


イギリス・ロンドンのインディーゲームスタジオLantern Studioが開発した2Dパズルアドベンチャー『LUNA The Shadow Dust』が2月13日に発売される。対応プラットフォームはPC・Mac(Steam/GOG.com)、iOS、Android。現在Steamにて体験版が配信されている。

2016年Kickstarterキャンペーンで目標を大きく上回る約1万7000ポンドを集め大成功をおさめた期待作が、ついに発売に近づいているようだ。「”ことば”を一切使うことなくストーリーを描く」本作は、対応言語を気にすることなく全世界の幅広いゲーマーが楽しめる作品となりそうだ。

『LUNA The Shadow Dust』はポイント&クリック2Dパズルアドベンチャー。手書きのあたたかみのあるグラフィックで表現される魔法の世界を、主人公である少年とフシギな相棒ふたりの操作を切り替えながらパズルを解いていく。

主人公のひとりは、うさぎの耳のようなものがついた白いフードの少年。少年が住む現実世界の裏には、ひっそりと魔法の世界が存在していた。世界のバランスが崩れたとき、少年は魔法の世界に迷い込んで記憶をなくしてしまう。ふたたび月がのぼるまで、世界の秩序が戻ることはない。古代の塔へ入り、最上階を目指して進む途中で少年はもうひとりの主人公と出会う。イヌのようなネコのような4本足のフシギな相棒と旅をともに、少年は最上階を目指して歩みを進めていく。ふたりは少年の記憶を取り戻し、古代の塔の隠された暗い秘密を解き明かし、世界のバランスを元に戻すことができるだろうか。

ゲームシステムは、前出のとおりポイント&クリックでパズルを解いてストーリーを進めていくシンプルなもの。操作もいたってシンプルだが、ふたりの主人公のそれぞれの特徴を見きわめてパズルを解いていく必要があるため難易度は少し高いようだ。開発側は「(パズルを解くために)モニターを回し、タブレットを振れ!」と冗談を言いながら、想像力をおおいに働かせてプレイするよう呼びかけている。中にはプレイヤーの反応速度が試される時間差ギミックも存在するという。

シンプルといえば、本作ではストーリー展開やゲームシステムの説明に”ことば”を一切使用していない。この方針はオプション画面にも適用されるほど徹底されており、「読む」部分が存在するのはクレジットのみだ(体験版にて確認済み)。

ことば”のない、音量/画面サイズ設定画面。一瞬、何ごとかと驚いた。

“ことば”を使わないことによって、本作のストーリー展開における音楽の役割は、非常に大きくなっている。本作の最大の特徴、すべて手書きによるどこか懐かしいような優しいグラフィックとセルアニメ風のアニメーション。それらとともにストーリーを語る表情豊かな音楽は、コンポーザーのWang Qian(Susie)氏(以下Susie氏)が、本作アートディレクター兼ゲームデザイナーのBeidi Guo氏がアニメーションで表現したカットシーンを見て、意見交換を重ねて作り上げていったものだ。パーソナルで抽象的な描き手の思いやキャラクターの感情、プレイヤーにどう伝えたいか、などについてとことん話し合ったそう。Susie氏は『風ノ旅ビト』『サモロスト3』『オリとくらやみの森』といった印象的なサウンドデザインのアドベンチャーゲームや、複雑で壮大な物語を描く海外ドラマ「ゲーム オブ スローンズ」などからインスピレーションを受け、「ストーリーテリングにおける音楽のはたらき」を学んだという。

体験版をプレイしたところ、窓がパッと閉まると同時に空間が狭く感じるBGMに切り替わったり、パズルにつまってさまよっている途中、ある場所でだけ聞こえる音に微かな変化があることに気づいてパズルを解くヒントになるなど、「音が語っている」と感じられる描写を随所に確認できた。

開発元のLantern Studioはイギリスのインディーゲームスタジオ。アートディレクター兼ゲームデザイナーのBeidi Guo氏、プロジェクトマネージャーのFOX氏、プログラマーのWan Guan氏、コンポーザーのSusie氏の4人のメンバーで2015年に発足した開発スタジオだ。2013年、もともとパズルゲームが大好きだったBeidi Guo氏が会社勤めを辞めてフリーランスとして活動し始めたころにパズルゲームを作ることを思いつき、スケッチを描きため、あたためていたアイデアが本作の土台となっている。

2016年のKickstarterキャンペーン成功からリリースまで時間がかかってしまった原因のひとつに、Lantern Studio特有の時間調整の難しさがあったそう。メンバー4人が世界各地に散らばっているためミーティングの予定を立てるだけでも一苦労、といった状況に置かれていたようだ。Beidi Guo氏はイギリス・ロンドン、FOX氏とWan Guan氏が中国・上海、Susie氏がカナダ・トロントを拠点に活動しており、ミーティングの度に誰かしらが早朝もしくは深夜に無理をして参加していたという。開発は決して順風満帆ではなかったようだが、4人の作品への情熱から本作は無事完成し、リリースに至る。

『LUNA The Shadow Dust』は2月13日にPC・Mac(Steam/GOG.com)、iOS、Android向けに発売だ。なおSteam/GOG.comで使用できるプロダクトキーの予約価格は通常20%オフの13.59ポンド、iOS向けApp Storeの予約価格は日本円で2080円となっている。