『サイバーパンク2077』延期理由はゲームの最適化不足だという噂報道に、『ゴッド・オブ・ウォー』開発者がツッコミ。どんなゲームも最適化し終えるのは最後の最後

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CD Projekt REDは1月17日、『サイバーパンク2077』の発売日を2020年4月16日から2020年9月17日に変更すると発表。それを受けて、PlayStation 4/Xbox One向けの最適化作業に苦戦している、次世代コンソール機向けの対応に工数をかけているといった憶測が飛び交うようになった。そうした噂話に、長年コンソール機向けにゲームを開発してきた『ゴッド・オブ・ウォー』のクリエイティブ・ディレクターCory Barlog氏がツイッター上でツッコミを入れている。

まずおさらいをしておこう。CD Projektは投資家向けのカンファレンスコールにて、ゲームの発売延期理由を説明(PDFリンク)。ゲームは完成し、通しでプレイ可能な状態ではあるものの、コンテンツの磨き上げや技術的なバグ修正にさらなる時間を要するとの判断により、5か月の発売延期が決まったと答えている。ゲームに何か根本的な問題があるわけではなく、複雑かつ膨大なゲームであるがゆえに、プレイテストやゲームの磨き上げ、バグ修正に時間がかかるのだ。

CD Projektの発表があった後、ポーランドのゲーム業界事情を知るというBorys Niespielak氏が、『サイバーパンク2077』の発売が延期となった大きな理由は、コンソール機、とくにXbox One向けの深刻なパフォーマンス最適化不足だと、独自ソースをもとに発信した(AltChar)。コンソール向けの最適化が難航していることから、延期せざるを得なかったというわけだ。なおNiespielak氏は、ポーランドのインディー開発者たちの苦闘を追ったドキュメンタリー「We are alright」の監督である(Steamでも映像配信中。日本語は非対応)。噂レベルの情報でありながら、Niespielak氏の発言を受けて『サイバーパンク2077』のコンソール版が大幅なダウングレードを受けるのではないかと危惧する声も出てきた。

この報道に、『ゴッド・オブ・ウォー』のクリエイティブ・ディレクターであるCory Barlog氏が反応。「どんなゲームも、マスターアップ前の最終段階でハードウェア向けに最適化するまで、パフォーマンスはひどいものさ」とツイートした。完成前のゲームのパフォーマンスが不完全であることは、別に特筆すべき事象ではないというのが、PlayStationプラットフォーム向けに長年ゲームを開発してきたBarlog氏の見識だ。

Barlog氏は、ゲーム開発のプロセスをより良く理解してもらうべく、複数ツイートにわたり自身の発言を補足。この話をすると人々が勝手に最悪の結論を導き出して怒り出すため、大抵は伏せておきたい話題なのだと前置きした上で、ゲームとは完成する最後の最後の段階まで、極めて不恰好なものなのだと説明した。業界全体の代弁者として語ることはできないため、反対意見があればぜひ教えて欲しいとしつつも、大半のゲームにおいては事実だろうと述べている。

現代のゲームはとんでもなく複雑で、完成間近まで絶えず変化し続ける無数の可動パーツから成り立っている。デベロッパーは多くの場合、このバグだらけで、ガムテープでつぎはぎしたような物が、最後の最後でなんとかひとつに繋がるのだという、情熱と信念をもとに動いているのだと。Barlog氏の考えとして、完成前の段階でゲームがうまく動かないことは、恥ずべきことでも悪しきことでもない。またどんなデベロッパーも、できるかぎり滑らかで、バグの少ない状態でリリースしたいと思っており、それに成功することもあるし、失敗することもある。だが失敗したとしても、それは挑戦した上での失敗なのだと理解を促した。

Barlog氏は、普段からゲーム開発の実情を伝えることに前向き。昨年『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』の発売時にアクセシビリティに関する議論が勃発した際にも自身の見解を述べていた。またBarlog氏が所属するSanta Monica Studioとしても、ユーモラスなバグ映像とあわせて『ゴッド・オブ・ウォー』QAチームの取り組みについて発信したりと(関連記事)、ゲーム開発のプロセスについて理解を広めることに勢力を出している

CD Projekt REDのシニア・クエストデザイナーであるPhilipp Weber氏も、同社の公式フォーラム上で、「コンソール向けの最適化不足」という延期理由の噂を否定。Cory Barlog氏の発言は核心を突いており、何か隠している事情があるわけではなく、素直に高品質なゲームに仕上げるために時間をかけているのだと述べた。各プラットフォーム向けの最適化は、ゲーム開発の最終段階で当然おこなう作業であり、Xbox One/PlayStation 4/PC向けの最適化ももちろん進めているとコメント。だが開発の最終段階では最適化だけでなく、さまざまな作業が発生する。「ゲームの延期理由は◯◯」といったシンプルな答えは、良い噂話にはなるかもしれないが、実情を捉え切れているとはいえないと、Weber氏は語っている。

各プラットフォーム向けの最適化がそうであるように、グラフィック周りの調整が確定するのも開発の最終段階になりがち。コンソール版のグラフィック・ダウングレードがどれほど発生するのかどうかも、結局のところ完成してみないとわからないだろう。

ゲームがバラバラになるギリギリのところで持ちこたえているというのは、なにもAAA級の大作に限った話ではない。インディーゲーム開発者のTerry Cavanagh氏は今年1月、自身が手がけた2Dアクションゲーム『VVVVVV』のソースコードをGitHub上に公開。完成したゲームのソースコードがいかに雑然としており、いかにギリギリのところで成立しているのか、知れ渡っていくこととなった。

『VVVVVV』のソースコード公開にあわせて、ツイッター上ではゲームコードに関する開発者間の議論が始まった。『Spinnortality | cyberpunk management sim』という作品をつくったJames Patton氏は、自身が関わったほぼすべての作品において、ゲームが崩壊するギリギリのところでリリースを迎えたと語っている。先述したBarlog氏が述べたように、最適化の話に限らず、ゲームとは完成する最後の最後の段階まで、整然とすることはないのだ。

余談ながら、発売延期により開発期間が延びたからといって、継続的な長時間労働である“クランチ”が無くなるわけではない。CD Projektの共同CEOであるAdam Kicińsk氏は、先述した投資家向けのカンファレンスコールにて、残念ながら延期決定後もクランチは発生すると回答。ただ、できるだけ抑えられるよう努めるとも述べている。同社は『ウィッチャー』シリーズを開発していたころから、過酷なクランチで有名。CD Projektの共同CEO Marcin Iwinski氏は昨年、『サイバーパンク2077』においても多忙期におけるクランチは不可欠であるというスタンスを保持しつつも、「以前よりも人道的な労働体制を心がける」と語っていた(関連記事)。

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