『フォートナイト』競技プレイにおいて敵対者に合図を送るシグナリングを一律禁止。エモートやツルハシ振りなどを使った意思疎通


Epic Gamesは1月21日、『フォートナイト』競技シーンにおける不正行為の取り締まりの一環として、敵対プレイヤーとの共謀禁止ルールを更新。公式トーナメントにおいて、シグナリングを通じた敵対プレイヤーとのゲーム内コミュニケーションを一律で禁じることを制定した。このシグナリングには、敵対プレイヤーに向けてツルハシを振る、ジャンプする、エモートを送る、おもちゃを投げる行為を通じた意思疎通も含まれる。

本作の競技プレイにおいては、チートや荒らし行為のほか、本来敵対するプレイヤーと手を組む共謀行為が禁じられている。2019年には、敵と共闘するチーミング行為を監視すべく、リアルタイムのチーミング検知システムがトーナメントやアリーナゲームといった競技プレイに導入された(公式サイト)。同年の競技シーンにおいては、賞金獲得圏内のプレイヤーも含めて複数人がチーミング行為によりアクセス禁止処分を受けている。

ただひとえに共謀行為といっても、共闘して他のプレイヤーを倒す明確なチーミングから、マッチ開始前に投下地点や移動経路を相談しておく事前談合、意図的に負けることで特定プレイヤーのマッチ進行を有利にする八百長、特定の操作やエモートで相手に合図を送るシグナリングまで、さまざまである。そして今回のルール更新には、競技プレイにおけるシグナリングの取り締まりを強化する意図が込められている。

現在『フォートナイト』の競技シーンにおいては、敵にエモートを送ったり、ツルハシを振ったりといった、何かしらの合図を送る意図が込められたシグナリング行為が増えつつある。複数人が手を組んで戦闘に参加する明確なチーミングではなく、どちらかというと対戦相手に「戦いたくない」といった意思表示をする際に使用されており、ルールがやや曖昧となっていた。

そこで今後の公式トーナメントでは、敵対プレイヤーにエモートを送ったり、ツルハシを振ったりといった、ゲーム内でのコミュニケーションを総じて禁止することで、ルールを厳格化(公式サイト)。敵に合図を送りコミュニケーションを取ろうとするプレイヤーには、チーミング/共謀ペナルティが課される。なお、あくまでも敵に合図を送る意図を伴うシグナリングがペナルティ対象になるのであって、チーム内でのコミュニケーションとしてのエモートやツルハシ振りが禁じられるわけではない。また競技プレイ用のルールであることには留意しておきたい。

そもそも『フォートナイト』の競技シーンにおいてシグナリング行為が増えている背景には、現在(チャプター2)のマップでは移動手段が限られていることが関係している。最初のサークル縮小前に、サークル外で本格的な戦闘に突入すると、両チームとも不利な状況に追いやられがち。ゆえにお互いのために戦わないでおこうという合図が送られる。シグナリングが禁止されても、マップの移動手段が増えるまでは、プレイヤー同士の暗黙の了解により「戦わない選択」をする機会は出てくるだろう。Epic Gamesも、シグナリングを禁止しているのであって、戦略的に戦闘を回避する受身な立ち回り自体は禁じていない。

なお『フォートナイト』の著名ストリーマーNinja氏も今回の発表に反応。視聴者からすると、チーム同士が戦わずにツルハシを振り、サークルに向けて移動を続ける様子は奇妙に思えるかもしれないが、プロプレイヤーたちは移動手段が限られた状況下における戦機をわきまえているとコメントしている。