第1作目の発売から10年以上の時が経った今もなお、多くのゲーマーから高い人気を得ている『Left 4 Dead』シリーズ。そんな同シリーズの新作『Left 4 Dead 3』について、Valveは現在開発していないことを明らかにしたようだ。これまで噂されてきたシリーズ3作目にまつわる情報を含め、開発元が新作の存在を公式に否定した形となる。
今回のValveによる声明は1月18日、IGNを通じて公表された。該当の声明文によると、『Left 4 Dead』の新作については、数年前に次世代機向けのタイトルとして企画を検討したことはあるものの、いま現在はシリーズ新作に関するプロジェクトは一切手がけていないという。こうした形で3作目の存在を公式に否定したValveであるが、声明を出すに至った背景には、ネット上に波及する数々の『Left 4 Dead 3』関連の噂や、リークを装った粗雑な情報の存在が関係している。
『Left 4 Dead』シリーズ3作目の存在については、かねてより真偽不明の噂や情報が飛び交っている状況にあった。2016年にはValve開発者向けマニュアルにて、新作の開発を匂わせるスクリーンショットが掲載。画像は直ちに削除されたが、リーク情報だとしてコミュニティを一時騒然とさせた(関連記事)。
また昨年5月には、『Left 4 Dead 3』のティザートレイラーらしき動画が公開。そのクオリティと話題性の高さから、多くのメディアが動画を取り上げるまでに至った。しかしその後Valveは、該当のトレイラーをフェイクだと明言。ファンメイドの動画であることが判明し、それからしばらくのあいだ、新作にまつわる噂や憶測は落ち着きを見せつつあった(関連記事)。
*ファンメイドの『Left 4 Dead 3』ティザートレイラー
しかし今月に入り、またもや『Left 4 Dead 3』に関する噂が浮上。きっかけとなったのは、とある2つの情報だ。1つ目は、海外メディアValve News Network(以下、VNN)が発信したリーク情報である。同メディアは今月15日、YouTubeチャンネルにて、シリーズ3作目のコンセプトアートを入手したと報道。動画内では、ゾンビのフェイスモデルとされる15枚の画像が紹介されており、またこれらのアートは、『Half-Life』シリーズにてアートディレクターを務めるTed Backman氏によって描かれたものであるともVNNは言及している。さらにVNNは、Valveが『Half-Life:Alyx』を発表したことを根拠に、『Left 4 Dead 3』もまた同じVR作品として登場する可能性が高いとの仮説を立てていた。
そして2つ目の情報は、HTCの会長Alvin Wang Graylin氏がTwitter上に公開した画像である。今月17日に中国で開催されたVR・MR関連の授賞式「GoldenV Awards」にて、HTCは2つの賞を受賞。Graylin氏はTwitterにて喜びのコメントを投稿すると同時に、同イベントにて披露するスライドの一部を公開した。その内容は、2020年のVRトレンドについて触れたもの。VRの今後に関する複数の見出しが並ぶなか、なんと「Valveの『HL: Alyx』と『LFD3』が消費者およびAAAスタジオの興味を惹くことだろう」との記載が。もちろん、この文言には多くのTwitterユーザーが反応。該当文を取り上げ、「Left 4 dead 3!?」と驚きの声を上げるユーザーも出現していた。
A few slides from my talk tonight… pic.twitter.com/bHegijjZW1
— Alvin Wang Graylin (汪丛青) (@AGraylin) January 17, 2020
こうしてVNNのリーク情報および、“LFD3”の文字が含まれるスライドがGraylin氏によって公開されたことが重なり、『Left 4 Dead 3』の登場に対するファンの期待は急激に膨らんだというわけである。そして実際には開発されていないにもかかわらず、ファンの期待が過熱気味になった結果、見かねたValveは、これらの情報を否定する旨の声明を出すに至ったのだろう。
今回の声明文にてValveは、ネット上に出回っている噂やリーク情報の類はすべて誤った情報だと強く主張。そもそもシリーズの続編に関するプロジェクトは、もう何年も前から手がけていないとのこと。また一部の人々やメディアが誤った情報を真に受け、続編を期待しているという事実を踏まえた上で、残念ながら『Left 4 Dead 3』は手がけていないと、改めて続編の存在および開発を否定している。
ちなみにTwitterにてスライドを公開したGraylin氏は、Valveが声明を出した後、“LFD3”に対する言及は個人的な推測によるものであり、HTCの公式見解ではないとコメント。単なる憶測による文言だったが、結果的にファンの混乱を招いたとしてTwitterにて謝罪の意を表している。
As a huge fan of Valve & their properties, I was giving example that titles like HL Alyx/Left 4 Dead could be the types of titles that would really move the needle in consumer VR. This was just speculation on my part. I apologize to fans who may have mistook this as confirmation.
— Alvin Wang Graylin (汪丛青) (@AGraylin) January 18, 2020
今回のみならず、これまで幾度となく噂が飛び交っては消えてゆく『Left 4 Dead 3』。ファンからすると今回の声明は、非常に残念な発表となってしまったかもしれない。しかし人気シリーズかつ、2作目の発売から約10年が経過していることもあり、今後も続編を待ち望む声が途絶えることはなさそうだ。