デベロッパーのPsyonixは12月4日、『ロケットリーグ』向けの最新アップデートを配信した。本作におけるバトルパスである「ROCKET PASS」の新たなシーズンが開始すると同時に、かねてより予告されていた「ブループリント」が導入されている。ただコミュニティの間では、この新システムは不評のようだ。海外メディアGame Rantなどが報じている。
『ロケットリーグ』では、オンラインマッチ後などに「木箱(ルートボックス)」を入手でき、購入した「鍵」やイベントで入手した「暗号解読器」で開封して、バトルカー用などのカスタマイズアイテムをランダムに獲得できた。今回のアップデートではこれらの各要素が廃止。木箱はブループリントに置き換えられた。ブループリントは、カスタマイズアイテムを作成できる設計図であり、木箱と同じくオンラインマッチ後に入手できるチャンスがある。
木箱との違いはというと、作成できるアイテムがあらかじめ開示されること。入手したばかりのブループリントには、作成できる可能性のあるアイテムがリストアップされており、「公開」することでその中のどれかの設計図として使用できるようになる。そして、鍵に代わって導入された「クレジット」を消費すれば、そのアイテムを作成できる仕組みだ。依然としてランダム性は存在するが、公開は無料でできるため、不必要なアイテムにクレジットを消費することはない。
また、今回のアップデートでは「アイテムショップ」も実装されている。クレジットを消費してカスタマイズアイテムを直接購入できるショップで、ラインナップは一定期間で入れ替えられる。
入手するアイテムをプレイヤー自ら選択できるようになった形で、フェアなシステムのように思える。しかし、コミュニティの間では不評の声が多く聞かれ、中には以前の木箱のシステムに戻してほしいという意見まである(Reddit)。批判されているのは、アイテム入手にかかるコストが高すぎるという点だ。たとえば上のスクリーンショットにある、レア度のもっとも高い闇市のデカール「20XX」は2200クレジットで販売されている。クレジットは少額課金にて購入でき、2200クレジットはおよそ20ドル(約2200円)に相当する。なお日本では、鍵と同じくクレジットは販売されていない。
20ドルあれば、以前は鍵を20本購入して木箱を20回開封できた。もちろん、どのようなアイテムが出てくるかはランダムであり、レア度闇市のようなアイテムを入手できる確率は1パーセントとかなり低いが、少なくともチャンスはあった。20回分のアイテムも入手できる。しかし、今回導入されたブループリント・クレジットシステムでは、レア度に応じたクレジットを支払うほかない。
本作では、アイテムなどをほかのプレイヤーとトレードすることが可能だが、こうした高すぎる値付けはトレードをおこなうコミュニティにも混乱をもたらしているという指摘も見られる。ちなみに、アイテムショップで購入したアイテムに関してはトレード不可となっている。
近年ゲーム業界では、射幸心を煽るルートボックス要素への風当たりが強く、一部の国では実際に規制が始まっている。『ロケットリーグ』では、オランダとベルギー国内のプレイヤーは鍵を使って木箱を開けることができない状態になっていた。ブループリントやクレジットを使った新たなシステムは、おそらくそうした状況に対応するために導入されたのだろう。事前にどのようなアイテムを入手できるのか確認できるのは、本来であれば歓迎されやすいシステムのはず。しかし、アイテム自体が高すぎれば、また異なる議論が生まれてしまう。
高すぎるとコミュニティに批判されているアイテムの価格設定は、どのような基準で設定されたのかは明らかではない。もしかすると、以前のシステムに照らしてバランスを取った設定なのかもしれないが、単純に高いと感じているプレイヤーの印象を覆すのは簡単ではなさそうだ。開発元Psyonixは、Redditなどでファンの質問に回答する姿がよく見られるが、本件については今のところ口を閉ざしたままである。