Behaviour Interactiveは11月23日、現在Steamにて配信中の『Deathgarden: BLOODHARVEST』の開発を終了すると発表した。1680円だったゲーム価格は無料となるほか、年内いっぱいはサーバーを稼働させるという。同作は早期アクセス販売中であったが、無料化することにより早期アクセスを終了させる形となる。なおDLC「Terminator Set」はライセンスの関係で有料販売し続けなければならないとのこと。なお返金については、ここ1か月の購入でプレイ時間が6時間以内ならば、Steam側で対応されるそうだ。
『Deathgarden』は、近未来が舞台の非対称マルチプレイゲーム。プレイヤーは5人のランナー(三人称視点)と1人のハンター(一人称視点)に分かれて、それぞれの目標を達成するため争う。戦場となるのはマッチ毎に自動生成される死の庭。ランナーの操作は三人称視点であり、死の庭からの脱出口を開くため、機動力・弓矢・罠を武器に立ち回りながらキャプチャーポイントの確保やキーアイテムの輸送といった目標をこなしていく。ハンターは一人称視点のシューター感覚で操作し、銃器・特殊能力、トラップを使ってランナーを捉え、処刑台に送る。5人中3人のランナーが脱出に成功すればランナーの勝利。脱出前に3人のランナーを処刑台に送り死刑を実行すればハンターの勝利となる。なお、この基本ルールは後述するように、再ローンチ後に変更されている。
Behaviour Interactiveといえば、『Dead by Daylight』の開発・販売元である。これまで培ったノウハウを活かしながら、シューター要素とダイナミックな展開を導入した非対称マルチプレイとして開発されていたのが『Deathgarden』なのだ。しかしながら2018年8月より早期アクセス配信開始されていたものの、十分なプレイヤー数を確保することができず、配信1か月後には平均同時接続プレイヤー数が28.8人にまで減少(SteamCharts)。2019年4月には0.8人にまで落ち込んでおり、プレイヤー数の確保に問題を抱えていたのは明白であった。
Behaviour Interactiveもそんな課題を把握しており、2019年5月には『Deathgarden』を『Deathgarden: BLOODHARVEST』として再ローンチ。名前を変更し定価を半額にしたほか、近未来SFスポーツテイストだったグラフィックは、よりディストピア色の強いダークなビジュアルに。ゲームプレイやゲームルールも大きく変更。新ルールでは、マップに3か所あるブラッドバンクに一定量の血を届けるか、生き残りが残り1人になるか、もしくはマッチ開始から8分が経過することで脱出口が開く仕様に。根本の部分にも手を入れた大規模な再リリースであった(関連記事)。再ローンチ後は、以前よりもプレイヤー数は増えているものの、10月の平均同時接続プレイヤー数は53人。2万人近い平均同時接続プレイヤー数を誇る『Dead by Daylight』には、到底及ばない状態だ。
開発チームはここ数週間にわたって、プレイヤーベースの減少を眺めながらも、さまざま議論をし解決策を模索していたという。しかしながら、最終的に『Deathgarden』を終わらせるという結論に至ったと話している。『Deathgarden』のチームスタッフは、現在ライブ中のゲーム(おそらく『Dead by Daylight』)や未発表ゲームに割り当てられるとのこと。
『Dead by Daylight』はもともとStarbreezeが販売を担当しBehaviour Interactiveが開発という形でスタートしたが、クチコミの力によってヒット作の仲間入り。Behaviour Interactiveの成長およびStarbreeze経営不振などの条件が重なり、2018年3月にBehaviour Interactiveが販売権を1600万ドル(17.3億円)で獲得。そして現在もその人気を維持し続けている。『Deathgarden』は、そうした形で力をつけたBehaviour Interactiveが挑んだ新たな非対称マルチプレイゲームであった。Steamレビューは1万2000件以上あり、少なくないプレイヤーが本作を遊んでいたが、今後も運営し続けられるほどのプレイヤーベースを確保できなかったのだろう。
なお現地時間12月12日には開発チームが『Deathgarden』の思い出を振り返る生放送をTwitchにておこなうという。日本時間12月13日5時から放映されるようなので、名残惜しい方は残された時間本作をプレイしつつ、そちらの生放送を見ておこう。
【UPDATE 2019/11/23 11:15】
『Deathgarden』のゲームルールに関する記述を修正