『FFXIV』高難度コンテンツ「絶アレキサンダー討滅戦」レイドレースは北米チームが勝利。未だ不在の“二番手”の出現に注目集まる

11月12日に実装された『ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ』における最高難易度コンテンツである「絶」シリーズの最新レイド「絶アレキサンダー討滅戦」。コンテンツ自体にはいまだ謎が多く、二番手としてどのチームがクリアするかに多くの注目が集まっている。

パッチ5.1から2週間、11月12日に実装された『ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ』(以下、FFXIV)における最高難易度コンテンツである「絶」シリーズの最新レイド「絶アレキサンダー討滅戦」。世界最速でのクリアを目指す恒例のワールドファーストレースは北米のチーム「Thoughts Per Second」の圧倒的な勝利に終わったが、コンテンツ自体にはいまだ謎が多く、次にどのチームがクリアするかに多くの注目が集まっている。

『FFXIV』の「絶」シリーズは同作におけるもっとも難易度が高いコンテンツ群として開発・調整されており、内容は以前のコンテンツに登場したことがあるボスをさらにオーバーチューンしてアレンジしたバトルとなっている。初代「絶」は「大迷宮バハムート」と同レイドに登場するボスを題材とした「絶バハムート討滅戦」、二代目はパッチ2.0に登場する三蛮神とアルテマウェポンを題材とした「絶アルテマウェポン破壊作戦」、そして今回が「機工城アレキサンダー」を題材とした「絶アレキサンダー討滅戦」となる。

 

「絶」の攻略

「絶」シリーズは基本的に戦闘時間が15分を超えるバトルとなっており、その間1つのミスが即座に全滅に繋がるギミックが、間断なくパーティーに襲いかかり続ける。「絶」の攻略が1日2日で終わることはなく、PTごとに攻略法を相談し打ち合わせつつ8人PT全員の練度を上げていき、何週間もかけて徐々に攻略を進めクリアを目指すコンテンツとなっている。8人のスケジュールを合わせる難しさもあいまって、PTによっては数か月に渡る攻略となることもザラだ。

そんな「絶」シリーズを実装直後に攻略するのにはさらなる困難が伴う。『FFXIV』のギミックは基本的にランダム要素が抑えて作られており、事前にあらゆるパターンを想定した綿密な打ち合わせを行っておくことによって「想定外の状況に臨機応変に対応する」必要を排除し、機械的にギミックを処理することができる。平たく言ってしまえば、全員で解法を覚えてしまえばいいということだ。世界中のプレイヤーが同じギミックに挑み、いろんな解法のアイデアが生まれ、それらが洗練され共有されていくので、『FFXIV』の攻略は基本的に後からやればやるほど楽になる仕組みになっている。

裏を返せば、最初に攻略するのは誰よりも困難であるということ。先人はおらず、誰の真似をするでもなく、PTメンバーとゲームから与えられる情報のみから解法を導かなくてはならない。トッププレイヤー達が総力を結集して最速クリアという偉業に挑むレイドレースは、毎回コミュニティから非常に大きな注目を集めている。

 

過去最速の異常なクリア速度

序盤から激しい複合ギミックの連続に「絶」シリーズ最高難易度ではないのかという噂も流れた「絶アレキサンダー討滅戦」のレイドレースは、しかし多くの人の予想を裏切って過去最速で終了した。「絶バハムート」は11日、「絶アルテマ」は5日強でのクリアであったが、チーム「Thoughts Per Second」が「絶アレキサンダー」のクリアを宣言したのは日本時間11月16日。実装からおよそ4日であった。

8人PT合わせての練度が何よりも問われるコンテンツである「絶」シリーズの難易度を単純に比較するのは難しい。「絶バハムート」「絶アルテマ」「絶アレキサンダー」とクリアまでの期間が短くなっている背景には、コンテンツ自体の難易度よりもプレイヤーベース、特に上位プレイヤー達のゲームへの理解度とプレイヤースキルの目覚ましい向上があると考えるべきだろう。『FFXIV』のハイエンドコンテンツの追加速度は決して速い方ではないにも関わらず、上位プレイヤー達のプレイヤースキルの伸びは凄まじい。彼らに合わせてコンテンツを開発していくことは、『FFXIV』のバトルデザイナー達にとっても決して簡単なことではないだろう。

そして、今回のレイドレースに関してはクリアの速さ以外にももう一つ話題となっているポイントがある。それはワールドファーストから2日以上たった11/18現在でもなお、ワールドセカンドクリアの報告が確認されていないということだ。過去2つの絶では、ワールドファーストの翌日にはセカンドが報告されていた。実際にワールドセカンドが現れるのがいつになるのかは分からないが、セカンドまでの期間が開けば開くほど、ファーストである「Thoughs Per Second」の異常な攻略速度が際立つこととなるだろう。

 

ストリーマー達の奮闘

こういった『FFXIV』のレイドレースでは、ファーストを勝ち取りに行くチームはその攻略を一切配信せず、情報もコミュニティに漏らさないことが多い。前述したように『FFXIV』のレイドは非常に「後追い」が有利な仕組みになっているので、ある意味当然であるとも言える。もちろん全てのチームがそういうわけではなく、ファーストを狙いながらも攻略を配信するチームも存在する。攻略の最先端を走らず一歩後ろから攻略を追いかけるチームや、絶自体は挑戦せずにレイドレースを見守るプレイヤーにとってこういった配信チームはいわば「お茶の間代表」となっている。「絶」自体非常に演出が凝っているコンテンツであることも合わせて、こういった配信チームの進捗を画面越しに見守り、応援すること自体が『FFXIV』コミュニティにとってひとつのイベントでありお祭り騒ぎでもあるのだ。

Arthars氏の配信より

ワールドファーストクリアの報告がもたらされたのは、多くの配信チームが「次元断絶のマーチ」と呼ばれるギミックに苦戦していた時であった。「絶アレキサンダー」の総戦闘時間は事前の情報から16~17分程度と予想されており、「次元断絶のマーチ」はちょうどバトルの中盤。後半にも同程度の密度でギミックが詰まっていると考えると、情報を秘匿しているチーム達の進度が配信チームより速いと考えても、ワールドファーストが出てくるにはもうしばらくかかるだろうと多くのプレイヤーが考えていた。今回のファーストチームの攻略速度は、それほどまでに圧倒的であったのだ。

ファーストクリアから2日経った現在、配信チーム達も攻略が進み、おそらく最終フェーズであるだろうフェーズにまで到達している。しかし、「未来観測」「未来確定」と呼ばれるギミックの攻略が難航を極めている。ギミックに求められるPTの練度や操作の難易度が問題なのではなく、根本的にギミックの法則と解法が分からないのだ。過去の絶2種の最終フェーズは比較的シンプルなギミックであったため、解き方が分からなくて詰まるというのはレイドレース終盤としてはなかなか珍しい光景だ。しかし、不自然に長い「未来確定」の詠唱や、鍵を握ると思われる「エニグマコーデックス」という名前のバフなど、解決の糸口は見えかかっているようにも見える。

誰よりも早くこのギミックを解き明かした「Thoughts Per Second」は、水曜日(日本時間だとおそらく木曜日)にこの「絶アレキサンダー」を配信上にてクリアしなおすと宣言している。配信チームとそれを見守るコミュニティにファーストチームから課せられた「謎解き」のタイムリミットはあと3日というわけだ。ワールドセカンドクリアの報告と、配信チームの攻略進捗に今、『FFXIV』コミュニティが熱狂している。

Mizuki Kashiwagi
Mizuki Kashiwagi

PCとPS4をメインで遊んでいます。自分で遊んでも、観戦していても面白いような対戦ゲームが好きで、最近は格闘ゲームとMOBAをよく遊んでいます。

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