『フォートナイト』プレイ中に、妻を暴行し逮捕された実況者の処遇決まる。ショッキングな映像を中継し多くを失う

 

昨年12月、『フォートナイト』をプレイ中に妊娠中の妻に暴行したとして逮捕されたLuke “MrDeadMoth” Munday氏に、14か月の社会奉仕が命じられた。過剰な自己防衛であったと主張したMunday氏が、収監を逃れたと現地メディアABCが伝えている。なお、本文にはショッキングな映像や表現が含まれるので、注意して読み進めてほしい

 

Munday氏は、TwitchやYouTubeにて『フォートナイト』や『Realm Royale』などを配信していたゲーム実況者。フォロワーも7000人前後(騒動後も含め)で、平均視聴者数も10を超える程度の普通の配信者だった。氏のキャリアが大きく変わったのは2018年12月の配信。『フォートナイト』を配信していた氏であるが、そこに現れたのは妊娠中の妻。姿は見えないが、画面外から氏に夕飯を食べるためにゲームをやめるよう呼びかけた。会話では2人の子どもたちの声も混じっている。

https://www.youtube.com/watch?v=pC_aa8ISYLc

※ 元動画は削除されている

Munday氏は、「もうすぐやめるから(I’ll be out soon)」という言葉を何度も口にしているが一向にやめる気配はない。すると苛立った妻が何かしたようで、氏は驚いた表情を見せ張り詰めた空気に。それからも“何か”をしようとする妻を、止めようとするMunday氏。しかし妻はやめないようで、Munday氏が口にする言葉も荒っぽくなっていく。ダンボールを投げられた後、氏は立ち上がり画面外へ。直後に聞こえたのは「パン」という音と泣き声。おそらく、氏は妻に平手打ちか何かの暴力行為をはたらいたのだと思われる。

危害を加えられたことにショックを受け泣く妻、ほっといてくれと怒る配信者。さらに応酬は続き、「今はそれどころじゃない」「謝るからほっといてくれ」と話す氏の怒りは、妻の糾弾によって悪化していき、今度は何かをなげつけたような破裂音がし「10分でいいからほっとけよ!」と叫び、またしても泣き出すパートナー。同じような応酬が続き、今度は氏が妻を殴るような音と痛ましい叫び声が何度も流れてくる。妻だけでなく子供も痛ましく泣いている。

Twitchで配信されたこの動画は、たちまち全世界に拡散された。視聴者などからの通報を受けたオーラン・パークの地元警察は、すぐさま氏を特定し逮捕。それから氏は釈放され、配信を自粛していたが「ポジティブにいこう」という反省が見られない言葉と共に配信を再開。しかし、妻に暴力をはたらく一面を見せたことにより、SNSでは厳しい言葉が寄せられ、さらにTwitchからはアカウント停止処分を受ける。配信者としての活動が、事実上停止させられたわけだ。Twitter上では平静を装っている氏であったが、その裏ではテルストラのネットワークエンジニアという職を失い、妻と離婚するなど、大きな代償を支払っていたようだ。

映像だけを見るとかなり凄惨な場面であるが、Munday氏の弁護士はピクトン地方裁判所の公判にて、映像とは違う角度から弁護をおこなっている。もともと氏は妻に暴力をふるったことはなく、不運にもその日に妻を叩いた“だけ”だと言及(だけ=just という言葉はのちに撤回)。また氏は妻に物を投げつけられており、手を出したことは過剰な自己防衛であったとしている。

一方で裁判官のMark Douglass氏は、こうした家庭内暴力を2人の子供が目撃していたことを危惧。子供たちへのショックが大きいことを強く批判している。妻が物を投げたことは許されない行為ではあるが、その後の氏の行動は暴力的であり極めて残念なものであったとも言い切っている。Munday氏は職を失った後も、今回の件をメディアに報じられたことにより新しい職を見つけることができていないという。弁護士は、氏はその日の行動を強く後悔しており、離婚した前妻と子供のための宿泊費を支払っているとコメント(オーストラリアの宿泊費や家賃は極めて高い)。騒動が広まったことによりSNS上などで批判が寄せられており、必要以上に責められていると弁護士は擁護した。

Image Credit : ABC

厳しい判決は免れたものの、配信中に妻を暴行したことにより、かけがえないものの多くを失ったMunday氏。特に子供にとって、家庭内暴力の目撃による影響は甚大。日本だと、最近では内閣府政府広報もTwitterにて、DVが配偶者だけでなく子供への虐待になるという事実を呼びかけるプロモーションツイートを定期的に流している。配信中に暴行したことが問題ではなく、家庭内暴力そのものが断じて許されない行為であること。そして『フォートナイト』ではなく自身の感情を御しきれなかったMunday氏に非があることを、改めて強調しておきたい。