破産手続きのアルファドリームは『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』の開発に参加していた


今年10月1日、株式会社アルファドリームが東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。近年は同社の収入は伸び悩んでいたようで、開発費の負担も重く赤字決算から財務内容も債務超過が続くなど厳しい運営を強いられていた。結果として、今年10月に破産手続きを受けるに至った。『マリオ&ルイージRPG』シリーズを開発してきた、実力派スタジオの破産手続きの報道は、多くのファンを悲しませた(関連記事)。

同社の最後の作品は、SIE子会社のフォワードワークスと共に制作したスマホゲーム『けだまのゴンじろー フィットエンドラン』かと思われていたが、今月11月1日に発売された『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』の制作にも参加していたようだ。Marigold News & Reviewsが指摘している。

『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』のスタッフロールは、4分以上に及ぶ長さで、スポーツ・パーティーゲームとしてはかなり大規模に作られていることがわかる。そのうちの多くは、販売元のセガのスタッフであるが、開発に協力した外部スタジオも名を連ねている。ラクジンやユークス、サクセス。そこに混じっているがアルファドリームだ。

外部スタジオのスタッフ数では、ラクジンがもっともが多い。ちなみにラクジンは、『マリオ & ソニック AT 北京オリンピック』の頃からシリーズに携わっているという

アルファドリームからは約13名のスタッフが同作に携わっており、社長を務めていた前川嘉彦氏もプロデューサーとして参加している。参加セクションは具体的には不明であるが、ゲームデザイナーやプログラマーのクレジットが確認できる。アルファドリームは2019年4月時点で50名以上の従業員を抱えており、一部スタッフが参加していたのだろう。

『マリオ&ルイージRPG』シリーズの開発をコンスタントにしながら、フォードワークスと共にスマホゲームを開発し、『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』のようなビッグプロジェクトの制作に参加。それでも、経営状態は上向かなかったようだ。同作がアルファドリームのクレジットが記載される最後の作品になる可能性もあるかもしれない。

※ 該当部分は9分24秒より

なお、元Game Informerのシニアエディターで、任天堂の情報にそれなりに強いImran Khan氏は、Kinda Funnyにてアルファドリームの破産に言及。2018年に発売されたニンテンドー3DS向けのリメイク『マリオ&ルイージRPG3 DX』の売上不振が、同社にダメージを与えたことを示唆している。また『マリオ&ルイージRPG3 DX』の不振により任天堂が方針転換を決断し、その結果さまざまなニンテンドー3DS向けタイトルが開発中止に。具体的には『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』に続く、もうひとつの『ファイアーエムブレム』シリーズのリメイク作が白紙になったと言及している(Nintendo Everything)。

Khan氏のコメントはあくまで噂のひとつに過ぎないが、いくらパブリッシャーが任天堂だといえど、結果が出なければなんらかの形で開発元には逆風が吹く可能性はある。『マリオ&ルイージRPG3 DX』はメタスコア84点という評価の高さほど、コミュニティで話題にのぼらず売上チャートでも見かけなかった。2018年12月というNintendo Switchが市場を席巻している時期にリリースされたリメイク作品は、実力派スタジオにとっての不運のひとつだったのかもしれない。

そんなアルファドリームが開発に参加していた『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』は11月1日よりNintendo Switch向けに発売中。体験版も配信されている。アーケード版の稼働も予定されており、そちらは来年1月にスタート予定のようだ。