『ディアブロ IV』BlizzCon発表内容まとめ。闇への回帰を目指す、シェアード・オープンワールド型アクションRPG

『ディアブロ IV(Diablo IV)』BlizzCon発表内容まとめ。『ディアブロ IV』は闇への回帰を目指すシェアード・オープンワールド型アクションRPG。BlizzConでは複数のパネルセッションに渡り情報が公開された。

BlizzCon 2019にて正式発表されたアクションRPGシリーズ新作『ディアブロ IV(Diablo IV)』。対応プラットフォームはPC/PayStation 4/Xbox One(日本国内では変更の可能性あり)とアナウンスされたが、まだ開発は初期段階であり、発売時期は決して近くない。とはいえ、BlizzCon 2019のパネルセッションでは『ディアブロ IV』に関する情報が多数公開されている。本稿ではそれらをまとめていきたい。

 

発表から「Diablo IV: Unveiled」パネルまで

物語の時系列的には、『ディアブロIII』から数十年後の世界が舞台となる。『ディアブロ III リーパー オブ ソウルズ』にてブラックソウルストーンが粉砕され、7体の悪魔が解き放たれたことを機にサンクチュアリは荒んでしまった。天国の扉も閉じてしまい、助けを求めることもできない。そんな中、サンクチュアリおよびネファリムの創造主であり、魔王メフィストの娘であるリリスが召喚される。

初期作品のようなダークな作風への回帰を目指している本作。カートゥーンテイスト寄りであった『ディアブロ III』とは異なり、ビジュアル、サウンド、ストーリー、ゲームプレイが暗いトーンで統一されている。最新ゲームエンジンによる繊細な描写にも目に止まるだろう。

シームレスなシェアード・オープンワールド

『ディアブロ IV』では、シリーズで初めてシームレスなオープンワールド形式を採用。5つのリージョンに分かれたサンクチュアリを自由に行き来できる。ドルイドの故郷であるScosglen、過酷な荒野が広がるDry Stepps、ゴシックテイストの雪山地Fractured Peaks、黒魔術が広がる沼地Hawezar、崩壊した砂漠都市Kehjistan。物語も一本道ではなくノンリニア。新たな乗馬機能(マウント)によって馬にまたがり、広大なマップを移動するのだ。マウント自体も外見・性能をカスタマイズ可能。

他のプレイヤーと共通の世界を旅するシェアード・ワールドとなっており、道中で突然他のプレイヤーと出くわすことも。パブリックイベントやワールドイベントも発生し、他プレイヤーと協力して強大なボスに挑むことができる。戦闘不可のソーシャルハブエリアでは、他プレイヤーとトレードしたり、仲間を募ることが可能。世界には天候システムと昼夜サイクルがあり、各地に無数のランダム生成ダンジョンが存在する(ダンジョンに関しては、後述する「Diablo IV: Systems & Features」パネルの情報を参照)。

PvPを念頭において開発

『ディアブロ IV』では、PC版でも回避アクションが使用可能に。『ディアブロIII』ではコンソール版のみ導入されていた

『ディアブロ IV』にはPvPエリアもある。『ディアブロ III』のPvPはバランス調整に問題があったと、後述するQ&Aセッションで語られていたが、新作においてPvEとPvPの両方を踏まえてのバランス調整がうまくいくのかどうかは、気になるところである。

バーバリアン、ソーサレス、ドルイド

リリース時点でのクラスは5種類を予定。現在判明しているのはバーバリアン、ソーサレス、ドルイドの3種だ。バーバリアンは近接戦闘型のクラス。独自の「アーセナル」システムにより、発動スキルに応じて4つの武器スロットに装備した武器を素早く切り替えながら戦う。ソーサレスは氷や電撃といった強力な属性魔法を駆使。ドルイドはシェイプシフトにより狼や熊に形態を変え、大自然の怒りの力を解き放ちながら戦う。ペットも健在だ。『ディアブロ II』のドルイドはソーサレスとやや被る部分があったが、新作では炎系の魔法は使わず、ストーム/アース系に特化している。

武器スロットが4つあるバーバリアン

参考: 海外メディアGame Informerは、各クラスのスキル&タレントツリーの一覧を掲載している(バーバリアン/ソーサレス/ドルイド)。

アイテム、スキル、タレント、ルーン

各クラスは性別だけでなく、顔型、髪型、肌色、目、傷、タトゥーなどをカスタマイズ可能。ビルド構築は、アイテム、スキル、タレント、ルーン/ルーンワードという複数のレイヤーから成り立つ。スキルをアンロック/強化するためのスキルポイントは振り直せないが、スキルランクを上げていけばいずれ全てをアンロックできる。一方、タレントツリーは途中でポイント振り分けを変更可能。タレントにより、シンプルなプレイスタイルから、複数スキルを組み合わせる複雑なプレイスタイルまで幅広くカバーする。

アイテムに装着するルーンは、prefix(Condition Rune)とsuffix(Effect Rune)の組み合わせによってボーナス効果が決まる。たとえば「ヒーリングポーション使用時、次に差し込んだRuneの効果を発動」というCondition Runeと、「発動時、クリティカル攻撃確率が7秒間50%上昇」というEffect Runeを組み合わせると、「ヒーリングポーション使用時、クリティカル攻撃確率が7秒間50%上昇」という効果を付与。

なお『ディアブロ III』ではセット装備に偏重しすぎたとして、『ディアブロ IV』ではビルド構築の幅を広げるべく、レジェンダリーアイテムに力を入れるとのことだ。レジェンダリーはセットアイテムと同等、もしくはセットアイテムよりも強力なアイテムにすることが目標とされている。

 

「Diablo IV: Systems & Features」での補足情報

11月3日に開催された「Diablo IV: Systems & Features」パネルは、前日に発表された情報を補足する内容となっていた。

リリス

シェアード/プライベートエリアの区別

・オープンワールドは他プレイヤーと共有するシェアード・ワールド
・ダンジョンとキャンペーンミッションはプライベートエリア
・シェアード・ワールドへの参加人数はコンテンツによって変動。たとえばハブエリアやワールドイベントにはより多くの人数が参加できる予定

さまざまなプレイスタイルに対応。ソロプレイでも最上級の戦利品を入手可能

シームレスなランダム生成ダンジョン

・屋内/屋内ダンジョンはいずれもランダム生成
・階層移動時のロード画面が無い、シームレスなダンジョン探索体験を実現
・各ダンジョンでは、ダンジョン・オブジェクティブとランダムイベントが発生

エンドゲームダンジョン

・エンドゲーム向けのダンジョンは、通常ダンジョンをクリアすることで手に入るダンジョンキーでアンロック
・ダンジョンキーのランクとaffix(ダンジョンモディファイアー)によって、異なる難易度、異なる条件下で挑戦することになる
・どんなダンジョンも、ダンジョンキーを入手することでエンドゲーム用ダンジョンに変化。自分のビルドに適したダンジョンを選んで追求できる

エリートモンスターとワールドボス

・エリートモンスターには強力なaffixが付く。同じ「マルチショット」効果を付与するaffixでも、シャーマンであれば蘇生する敵の数が増え、アーチャーであれば放たれる矢が増えるといった具合に、異なる効果が生じる
・ボス戦での「Stagger」システム導入。ボスにクラウドコントロール系のスキルを使うと「Stagger」メーターが溜まり、フルになると一次的にスタン状態になる。たとえばBlizzConで紹介されたワールドボス「Ashava」をスタンすると部位の一部を破壊。Ashavaの攻撃を弱められる

アイテムレアリティとaffix

・アイテムのaffixにはタレントポイントを追加するタイプもあり、ビルド構築の幅を広げてくれる
・アイテムaffixによるボーナス効果値は固定ではなく、一定幅からランダムで決まる
・Mythicアイテムは同時に1つまで装備可、4つの特性付き。詳細は後日発表
・アイテムレアリティは、以下の画像のとおり

ルーンワードの例。ルーンにもプログレッションシステムを設ける予定

リリース後のサポート

・拡張パックの販売を予定。パワーは有料販売しない
・シーズン制を採用予定。シーズンごとにプレイヤー体験を変えることが目標。たとえばシーズンごとに強力なスキル/ビルドを変えるなど

 

「Diablo IV: Worlds & Lore」

別途開催された「The Art of Diablo IV」パネルによると、画像右中央のScosglenはスコットランドの地形をもとにバイオームを作成したとのこと

「Diablo IV: Worlds & Lore」は『ディアブロ IV』の世界やバックストーリーに焦点を当てるパネルセッション。アイデア出しのプロセスや、新作で足を踏み入れる5つのリージョンについて説明された。『ディアブロ IV』では、ただダークな世界観を構築するだけでなく、『ディアブロ』独自のムードを醸し出すことが目指されている。そしてコンセプト作りの段階では、映画、音楽、コミック、TRPGなどさまざまな作品から着想を得ていったという。

また『ディアブロ IV』はヒーローや王国同士の争いといったハイファンタジーではなく、貧窮した世界の寂れた村で生存者から頼み事を聞くといった、荒廃した世界観にあうクエストおよびストーリーテリングになっている。ビジュアルとしても、荒涼した印象を与えるカラーパレットもそうだが、暗いダンジョン内では画面の四隅が見えなかったりと、閉塞感を与える絵作りとなっている。

新登場の「Drowned」勢力
トレイラーにて姿が確認できたDuriel。苦悩の帝王であり、蛆虫の王でもあるDurielの新たな側面が描かれるという

Q&Aコーナーでは、ブッチャーのようなファン人気の高いキャラクターが復活する可能性について問われていたが、やはり現時点では公表できず。ただしファンに喜んでもらえるモンスターラインナップになっているはずだと、シニア・エンカウンターデザイナーのCandace Thomas氏より説明された。

別途開催された「The Art of Diablo IV」によると、コンセプトアート段階ではゲームではなく中世絵画が参考にされたという

 

開発者Q&A

BlizzCon 2019では、リード・ゲームデザイナーのJoe Shely氏とシニア・プロデューサーのTiffany Wat氏がグループQ&Aにて来場者の質問に答えている。そのまとめはDiabloFanにも掲載されており、以下ではその一部を抜粋。

・コンソール間のクロスプレイについては検討中であり、どのような選択肢があるのか模索している段階
・PC版にはコントローラーサポートあり。ただし現時点ではコンソール版のキーボードサポートは予定していない
・コンソール版は2人ローカルCo-opに対応
・大規模なシェアード・ワールドとしてデザインされているため、オフラインモードはなし。ただしソロもしくはフレンドとだけ遊びたいプレイヤー向けのオプションは存在する

・オークションハウスは実装しない
・強力なアイテムにはトレード回数に制限を設け、最高峰のアイテムはトレード不可にする案を検討中
・クラン/ギルドシステムあり
・戦利品はキャラクター個別ドロップ
・トレジャーゴブリンは引き続き登場

・『ディアブロII』で育ったファンもいれば、『ディアブロIII』が初めてのディアブロ体験だったというファンもいる。そうした幅広いファン層が満足できるようにしたいとのこと。よってカジュアルに遊べるコンテンツがある一方で、ハードコアモードの実装も予定あり

・同シリーズにおけるセット装備は、最大レベルに到達したプレイヤーに新鮮なプレイ体験を与えると同時に、アイテム同士の相乗効果やスキルバフについて学ぶガイドとして機能している。だが『ディアブロIII』ではセット装備に注力しすぎた。『ディアブロ IV』ではビルド構築の幅を広げるべく、数百ものレジェンダリーアイテムを制作中

そのほかストリーマーQuin69氏による開発者インタビューでは、マネタイズ手段として外見アイテムの少額課金が予定されていることも明かされた。アイテムの外見を他のアイテムの外見に変えるTransmogについては検討中とのこと。

さまざまな情報が公開され期待が高まる『ディアブロ IV』であるが、開発はまだまだ初期段階。Blizzard基準で考えても、発売までには時間がかかるということなので、気長に待つのが良いだろう。

 

*長年『ディアブロ』シリーズの情報を追っているRhykker氏のゲームプレイ

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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