『バトルフィールド』新作は2020年には発売されず。EAは来年のシューター枠として『Apex Legends』に注力

『バトルフィールド』新作は2020年には発売されず。次世代コンソール機のプレイヤー人口増を待ち、2021年4月〜2022年3月の会計年度にリリースされる。一方、2020年のシューター枠としてEAは『Apex Legends』に注力するという。

Electronic Artsは10月29日、2019-2020会計年度第2四半期の業績報告を公開(PDF)。あわせて投資家向けの収支報告をおこなった(Seeking Alpha)。

まず主力フランチャイズである『バトルフィールド』の新作は、次期会計年度(2020年4月~2021年3月)には出さず、その次の会計年度(2021年4月~2022年3月)のラインナップに入れるとのこと。投資家向け収支報告の質疑応答にて同社CFO/COOのBlake Jorgensen氏は、2020年に新作を出しても、そのころにはまだ次世代コンソール機のプレイヤーベースが小さいため、新作のポテンシャルを発揮できないと説明している。なおチャプター5「太平洋の戦い」アップデートが配信されたばかりの『バトルフィールドV』に関しては、次期会計年度にも新規コンテンツを追加していく予定とのことだ。

またJorgensen氏は、2020年に『バトルフィールド』新作を出さないかわりに、EAのシューター枠として『Apex Legends』に力を注ぐと説明。シーズン3が開幕した『Apex Legends』は累計プレイヤー数が7000万人を突破したとも報告されており、週間平均プレイヤー数のピークもシーズン2から大幅に上がっているという。

EAの長期戦略の一部となった『Apex Legends』の未来については、モバイル、他プラットフォーム、他地域(中国)でのリリースや、競技シーン向けのプログラム発足を計画しているとのこと。EAは2018-2019会計年度第4四半期の時点で、モバイルおよび中国展開に向けて交渉中であると伝えていた。中国での『Apex Legends』リリース時期については、いつになれば中国での審査を通過するのか予測が困難であると、質疑応答にて説明している。

Jorgensen氏は、今後も引き続き『Apex Legends』『FIFA Online』『FIFA Ultimate Team』『The Sims 4』といったライブサービスに注力する計画であると伝えており、『The Sims 4』に関しては月間平均プレイヤー数が前年同期比で40%増加。累計売上は50億ドルを突破したという。『Apex Legends』と『The Sims 4』の今会計年度の純売上高は、いずれも3億ドル~4億ドルに着地する見込みとのこと。この予測値は今会計年度第1四半期の業績報告時から変わりなく、順調に売上を伸ばしているようだ。

EAのスポーツタイトルについては、『Madden NFL 20』や『FIFA 20』のユニークプレイヤーが順調に増えており、『FIFA Mobile』については2億5000万ダウンロードを達成。こうしたスポーツタイトルのプレイヤーベース拡大と各ライブサービスタイトルの貢献により、第2四半期の収益は予測値を超えたとのことだ。次期会計年度にはEA SPORTSのポートフォリオに新たなタイトルを追加するとも報告。『NBAライブ』シリーズの新作に関しては、今会計年度には出さず、次世代コンソール向けに次期会計年度、つまり2021年3月までにリリースする計画となっている。

直近では『Plants vs Zombies: Battle for Neighborville』がリリースされ、11月には『Need for Speed: Heat』と『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』の発売が予定されているEA。『Need for Speed: Heat』は300万~400万本、『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』は600万~800万本のセールスになると見積もられている。なおRespawn Entertainmentが開発中のVRタイトル『Medal of Honor: Above and Beyond』は今会計年度内のリリースには間に合わず、次期会計年度内(2020年4月~2021年3月)のリリースになる。

EAは29日、Valveと提携し、同社作品をSteamでリリースしていくことも発表している(関連記事)。第1弾タイトルは『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』。その後は『The Sims 4』『Unravel Two』、来年からは『Apex Legends』『バトルフィールドV』『FIFA 20』といったマルチプレイ作品の配信を開始するほか、来春にはサブスクリプションサービス「EA Access」のSteam展開も予定。言及されていない『Anthem』もSteamでリリースされるのかどうか、気になるところだ。

そのほかのEAの動向としては、Motiveの新規IPプロジェクトのほか、DICE、BioWare、Maxis、Criterionがそれぞれ新プロジェクトを進行していると、CEOのAndrew Wilson氏が説明。次期会計年度には、発表済みのリマスター版『Command and Conquer』のように、人気作品のリマスター版を複数リリースする予定だという。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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