『Stardew Valley』Nintendo Switch版も自社販売に変更。開発元に関与を否定されたChucklefishは正念場に


開発スタジオConcernedApeは、Nintendo Switch版『Stardew Valley』の販売元が、Chucklefish Games(以下、Chucklefish)からConcernedApeに変更されたことを発表した。『Stardew Valley』は、もともとはChucklefishからPC向けに発売され、その後同社よりコンソール向けにリリースされていた。

しかしConcernedApeは昨年12月に、PC/PS4/Xbox One版を自社販売に移行すると発表。セルフパブリッシングは夢であったといい、その夢を叶える第一歩であると語っていた。以降、Nintendo Switch版とモバイル版は引き続きChucklefishが販売を手がけていたが、10月頭よりNintendo Switch版の販売もConcernedApeに。Chucklefishはモバイル版のみを販売することになる。『Stardew Valley』は特にNintendo Switchにて大きな成功を収めていることから、販売元の変更はパブリッシャーにとってはさらなる痛手になりそうだ。

ConcernedApeは、Nintendo Switch版における成功を助けたという点でChucklefishに感謝を述べているものの、その直前の投稿にて同パブリッシャーに複雑な思いを述べている。というのも、Chucklefishは先月、宇宙サンドボックスゲーム『Starbound』の開発において、スタッフを事実上の無償労働をさせていたと報じられていた(関連記事)。ConcernedApeのEric Barone氏は9月半ばに公式ブログにて、この労働搾取と糾弾されていた報道に触れつつ、『Stardew Valley』を販売するChucklefishとの関係を明かしていた

『Starbound』

氏は、『Stardew Valley』は4年半の間Barone氏ひとりで開発されたゲームであることを強調。Chucklefishはクリエイティブな面で『Stardew Valley』にいかなる関与もしていないとコメント。マルチプレイモードを実装する際に、1人のスタッフがネットコードを書いたという開発における関わりはあったが、それだけだという。Chucklefishが担当したのは、ビジネスやマーケティング、ローカライズや家庭用機版やモバイル版の移植会社への割り振りといった、いわゆるパブリッシングの枠に収まることのみであったとのこと。そして昨年12月の移行により、PC/PS4/Xbox One版にはそのパブリッシングにも携わっていない断言している。

そしてBarone氏は、個人的にも組織のリーダーとしても、ゲーム開発に貢献している開発者には対価が支払われるべきだろうと所感を述べ、稿を締めた。つまり、ConcernedApeはChucklefishとの関与はなく、同社とは違い自分たちはクリエイターを尊重するスタジオであると主張しているのだろう。結果的に、開発元が販売会社と距離を置いた形といえる。9月半ばの関与否定から、半月経ってのNintendo Switch版の販売元変更には、そうした事情が絡んでいる可能性はありそうだ。

“『Stardew Valley』のChucklefish”と表現されることも多かった同社。開発元が関与を否定するのも自然だろう

なおChucklefishはというと、無償労働について糾弾された後も、同件には触れず沈黙を貫いており、その姿勢には疑問が呈されている。戦略SLG『Wargroove』で堅実な成功を収め、魔法使い学園RPG『WitchBrook』など数多くの意欲的なピクセルアートゲームの発売を控える同社であるが、労働問題の発覚後から風向きが険しくなっている。設立当初から成功の道を歩んできた同社にとって、しばらく正念場が続きそうだ。