『シャーロック・ホームズ』ゲームが、Steamを除き予告どおり各ストアから削除。開発元は苦境に立たされるもファンの支援に感謝

 

ウクライナのデベロッパーFrogwaresは10月4日、先月予告していた、同スタジオがかつて手がけた一部タイトルの各デジタルストアから取り下げが実施されたことを報告した。ただ唯一、『Sherlock Holmes: Crimes & Punishment』のSteam版だけは削除を免れたとのこと。

Frogwaresは、「シャーロック・ホームズ」のゲームを多数手がけていることで知られ、その開発で培った技術や独自のゲームシステムは、クトゥルフ神話の影響を受ける最新作『The Sinking City』にも活かされている。同スタジオは9月26日、『The Testament of Sherlock Holmes』や『Sherlock Holmes versus Jack the Ripper』『Magrunner: Dark Pulse』の各コンソール版がすでにストアから取り下げられており、『Sherlock Holmes: Crimes & Punishment』の全バージョンについても9月29日に削除されると予告していた(関連記事)。

いずれも、パブリッシャーのFocus Home Interactiveが販売を担当していたタイトルで、両者の契約はすでに終了している。Frogwaresとしては、自社のIPであるため自主販売に切り替えて引き続き販売することを望んだが、Focus Home Interactive側はストアの管理に必要なIDの引き渡しを拒否。そして今回のストアからの取り下げへと繋がった。

Focus Home Interactiveが販売した以前のタイトルの中には、Frogwaresの自主販売へと切り替わっているものがあるため、同スタジオとしては同様にIDを譲ってくれることを想定していたのだろう。しかしFocus Home Interactiveは、新たなポリシーによりIDの引き渡しを拒否したという。ただ、契約書にはそうしたポリシーについては記されていなかったとして、Frogwaresは不満を表明している。

*『Sherlock Holmes: Crimes & Punishment』のローンチトレイラー

結果的に、各タイトルのコンソール版がすべて取り下げられ、『Sherlock Holmes: Crimes & Punishment』のSteam版だけは自主販売に移行した。なぜ同作だけ削除を免れたのかは不明だが、もしかするとValveがFrogwaresに配慮したのかもしれない。ストアページを作り直すとなると、ウィッシュリスト登録などメーカーとしての一種の資産をすべて失ってしまう。とはいえ同スタジオは、今回の結果は非常に厳しいものであるとコメント。可能な限り各ストアでの再販売をおこなうよう取り組んでいるが、大きなコストがかかると共に、数か月は要するとのこと。

Frogwaresが事態を公表してから、ゲーマーからは応援するコメントが多く寄せられ、一方のFocus Home Interactiveに対しては批判的な声が上がった。なお、同社は本件についてはこれまで何も語っていない。Frogwaresは今回の報告の中で、一般および業界からのサポートに感謝する言葉を述べている。

同スタジオはそうしたサポートへの感謝の気持ちとして、これまで手がけた「シャーロック・ホームズ」ゲームの開発背景を伝えるデジタルアートブックを無料配布している。公式サイトからダウンロードできるほか、Steamでは『Sherlock Holmes: Crimes & Punishment』のDLCとして入手でき、GOG.comでは「SWEETTHANKS」をコード入力すると入手可能。また、GOG.comでは全タイトルの50パーセントオフセールも実施中だ。


国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。