竜騎士07氏手掛ける『キコニアのなく頃に』Steamと同人ショップにて販売開始。人類の存亡を賭けて争われる全4作の1本目「代わりのいる君たちへ」

07th Expansionは10月4日、ノベルゲーム『キコニアのなく頃に phase1 代わりのいる君たちへ』を配信開始した。『キコニア』は、『ひぐらしのなく頃に』などを手掛けた竜騎士07氏による完全新作。

07th Expansionは10月4日、ノベルゲーム『キコニアのなく頃に phase1 代わりのいる君たちへ』(以下、キコニアと表記)を配信開始した。『キコニア』は、『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』を手掛けた竜騎士07氏による完全新作。全4作品の1作目にあたる作品で、プレイ時間は10時間程度。Steam同人ショップなどで販売されており、Steam版の価格は税込4350円。10月11日までの期間、スペシャルプロモーションとして5%オフの4132円となってる。

『キコニア』は、黄昏時を迎えた世界を描くノベル作品だ。本作の舞台となるのは第三次世界大戦による終末を、八百万の神の名を冠したナノマシン「8MS」による環境操作によって防ぎ、国家が5陣営に分かれた世界。大戦時に発射された太陽弾頭により、日本は大阪から岐阜がガラスの海となっており、半分がアメリカ・ロシアを含む環北極連合「AOU」、もう半分が中国・インドを中核とした環中央洋連合「COU」に属している。

蒸気機関にも似た霊素によるエネルギー。脳内ディスプレイを使用するウェアラブル端末セルコン。工場での子供生産と、遺伝子の取捨選択による遺伝病の克服。従来兵器を無効化するリジェクションシールドや、飛行機能を搭載した兵器「ガントレット」を装備した少年少女。超技術が発達した大戦から100年後の未来で、終末の時計は針を進めていく。

本作のメインとなるのは、「ガントレット」の性能により従来兵器を陳腐化し、戦場を支配する若者達だ。各陣営の軍が技を競い合う「国際平和軍旗祭」で出会ったエース級「ガントレットナイト」達は、コミュニケーションアプリ「キズナ」で交流を深め、互いに不殺を誓い平和を願う。

しかし、世界には破滅を願うものがいる。何らかの目的のため、人類滅亡を画策する秘密結社。神の叡智を翻訳する、優秀だが狂った科学者達。こんな世界は滅んだほうが良いと囁く何者か。彼らの策謀や「ガントレットナイト」達それぞれの思惑もあり、世界は急速に滅びへの道を歩み始める―――というのが、本作の大まかな流れとなる。

独特の表現や滅びゆく世界の謎。先の読めないストーリーと、待ち受ける凄惨な光景。良くも悪くも竜騎士07氏らしい作品であることが、本作の特徴だ。また『うみねこのなく頃に』でも出番のあった小此木が、精神論を振りかざす一方で、熱い部分もある「ガントレットナイト」の訓練教官として登場。情報将校であり、レトロカメラを使う藤治郎も『ひぐらしのなく頃に』で毎回死んでいた“誰か“に似ており、過去作のファンにとっては嬉しい人物達も登場している。

前述のとおり本作は全4作の1作目である。しかし、連作である事実と約10時間のノベルゲームであることを考慮すると、4000円前後の価格設定はかなり強気だ。竜騎士07氏はこうした価格となった背景として、執筆に専念するため専門的な多くのスタッフに助けてもらっていることやコストを理由に挙げ、代わりに「現在の自分にしか描けない作品になったと思いますし、素晴らしいクオリティの彩色や演出、40万字を超えるボリュームのテキストをお届けできると思います」と過去にツイートしている。

以前の「なく頃に」シリーズと比較してみると、演出面では一部で動画を使用しているなど、パワーアップを遂げていることが感じられる。テキストにも、徐々に破局へと傾いていくストーリーを一気に読ませる力はあった。一方で、個人的に一部の表現や演出に気になる箇所があり、本編をクリアした筆者としてもやはり高めな印象は否めない。本作の購入を迷っているのなら、まずは公式サイトで公開中の動作確認版を最後までプレイしてみてはどうだろうか。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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