『ゴーストリコン ブレイクポイント』時短アイテムの販売は、開発者が意図したものではなかったと説明。一時は課金でスキルツリーを全解除できた

 

Ubisoftは10月4日、『ゴーストリコン ブレイクポイント』を正式リリースした。同作のゴールド、アルティメット、ウルフズコレクターズエディション予約購入者向けには10月1日の時点で先行アクセスが始まっており、そのタイミングでゲーム内ストアのラインナップが明らかに(関連記事)。合計280品以上あった少額課金アイテムの中には、各種外見アイテムのほか、スキルポイントや武器アップグレード、バトルリワード(本作におけるバトルパス)の獲得ポイントブーストや報酬即時アンロックなど、時短系のアイテムが大量に含まれていた。

だが、配信開始から数時間後には、スキルポイントや武器アップグレードといった時短系アイテムの多くがストアから削除。品数を減らした状態で正式リリースを迎えている。それらの時短系アイテムは、ゴールドエディション以上を所有しているプレイヤーのみが購入し得たわけだ。そしてこのたび、UbisoftのコミュニティマネージャーであるUbiBorghal氏が、時短アイテムの販売は意図したものではなかったと、削除理由を説明した

先行アクセス開始時のストア。武器アップグレードは当初MK1〜MK3の3段階全て販売されていた。現在はMK1アップグレードのみ販売中

まず本作では、ソロ、Co-op、PvE、PvP、いずれのコンテンツにおいても、フェアかつ見返りのあるゲーム体験を届けることを目的としていると説明。マネタイズモデルの構築にあたっては、Pay-to-Win要素を含まないこと、ゲーム内課金を利用しないプレイヤーの体験に影響を及ぼさないことを念頭に置いていると語った。

その上で、先行アクセス時に販売された時短アイテム(タイムセーバー)に関しては、Ubisoftが意図したものではなく、エラーであったと説明している。それらのアイテムは、リリースから月日が経ち、後から遊び始めたプレイヤーが、既存プレイヤーに速く追いつき、一緒にエンドゲームコンテンツを遊べるようにするためのものだという。よって、タイムセーバー系のアイテムは「今のところ」ストアからは削除したと述べられている。

先行アクセス開始時点では、スキルポイントを購入することでスキルツリーを全解除し、経験値ブーストで成長速度を速め、武器の設計図や武器のアップグレードで装備品を一気に揃えることができた。開発者の回答内容からすると、リリースからしばらく経てば、再びそうした時短が可能になるのだろう。また、タイムセーバーはプレイヤーに優位性を与えるものではないとも説明している。本作のPvPも、キャラクターの成長状況によって致命的なアドベンテージが生まれないようバランス調整しているという。

先行アクセス開始当初のマイクロトランザクション(少額課金)については、reddit上での批判が見受けられたほか、Jim SterlingYong YeaSkill UpUpper Echelon Gamersといった批評系の動画配信者の多くが問題視していた。海外メディアのForbesは、笑ってしまうほどの量の少額課金だと本件を取り上げた。論点は複数あるが、何よりこれだけ時短系のアイテムが充実していると、課金促進を前提としたゲームバランスになっているのではないかという疑いをぬぐい切れなくなる。

同様の懸念は『アサシン クリード オデッセイ』のリリース当初にも生じており、永続的な50%経験値ブーストを買わせるために、レベル上げに必要な時間が厳し目に調整されているのではないかと指摘されていた。開発者はその指摘を否定した上で、経験値ブーストは時間がないプレイヤーでも楽しめるように用意したオプションであると説明していた(関連記事)。なお同作における成長システムは後日のアップデートで緩和されている。

『アサシン クリード オデッセイ』

時間がないプレイヤー用のオプションという主張は、今回の『ゴーストリコン ブレイクポイント』の時短アイテムも似ている。確かに本作はメインミッションを全部こなさなくても、序盤から敵役のウォーカーがいる本拠地に突撃できるようになっている。時短系アイテムにお金を費やせば、ミッションの大半をスキップし、短時間でエンドゲームに到達できる。

ただ本作の先行アクセス開始時には、時短系アイテムの品数が多く、ゲームの進行に関わる要素を細かく分解してバラ売りしたような極端さが目立った。Ubisoftの最近の作品では、先述した『アサシン クリード』シリーズの例のほか、『ファークライ ニュードーン』にて強武器・乗り物の有料アンロックが可能となっていた。『ゴーストリコン ブレイクポイント』が垣間見せた課金ラインナップは、Ubisoftのマネタイズモデルの順当な進化系であり、行き着くべくして行き着く、必然の結果なのかもしれない。なお削除された時短アイテムの復帰時期は未定となっている。


元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)