バンダイナムコエンターテインメントの米国法人BANDAI NAMCO Entertainment Americaが、アメリカや中国に拠点を置くゲーム機器メーカーAtGamesを相手取り、「ミズ・パックマン」の著作権侵害を訴えて、9月20日にカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所にて提訴していたことが明らかになった。海外メディアGamesIndustry.bizなどが報じている。
AtGamesは、複数のゲームを内蔵するいわゆるPlug&Playと呼ばれる、テレビに接続してすぐに楽しめるゲーム機を多く手がけているメーカーで、セガやAtari、そしてバンダイナムコなどと提携した製品を販売している。また、先日発売された「メガドライブミニ」は、当初はAtGamesが製造を担当する予定だったことでも知られる(関連記事)。そうしたゲーム機のほか、最近ではクラシックなアーケード筐体に多数のゲームを内蔵する製品もある。
今回の訴訟にて争点となっているのは、AtGamesが手がける『ミズ・パックマン』の小型アーケード筐体である。まだ一般に販売はされていないものの、少なくとも1台は製造されており、さらに小売店に取り扱いの提案をおこなっている可能性があるとバンダイナムコ側は主張。ただAtGamesは2012年に、バンダイナムコに『ミズ・パックマン』のライセンスの許諾申請をおこなったが拒否されていたという。
それにも関わらず、AtGamesはこの小型筐体を製造し、『ミズ・パックマン』の生みの親のひとりであるKevin Curran氏に送付。ロイヤリティの交渉を持ちかけた。『ミズ・パックマン』は、もともとマサチューセッツ工科大学の学生だったCurran氏らが制作した『パックマン』クローンゲームで、のちにナムコ(現バンダイナムコ)の公認を得たという経緯がある。Curran氏は、AtGamesからコンタクトを受けたことをバンダイナムコに報告。ウォルマートがこの製品の販売に興味を持っているというAtGamesからの情報も伝えたそうだ。これを受けて、バンダイナムコは今回の訴訟へと動き出した。
AtGamesは昨年、『パックマン』など複数のゲームをプレイできる「Bandai Namco Flashback Blast!」を発売した。もちろん、バンダイナムコからライセンスを受けて製造したものであるが、アーケード版を収録するとして契約したはずが、実際にはNES(海外版ファミコン)版のゲームが収録され、今回の訴訟ではバンダイナムコはこれを例に、AtGamesのビジネス慣習を批判。そしてAtGamesに対して、当該製品の販売差し止めと、損害賠償金の支払いを求めている。なお海外メディアPolygonによると、AtGamesは係争中の訴訟についてはコメントしないとしており、どのように対応するのかは不明だ。