『サイバーパンク2077』のカットシーンは、ごく一部を除き一人称視点で描く。ひとつの仕様をはっきりさせたことが思わぬ騒動に

CD PROJEKT REDは9月2日、『サイバーパンク2077』に収録するカットシーンについて、「一人称視点中心」にする決断をおこなっていたことを明らかにした。コミュニティで議論されていた仕様をはっきりさせた形。

CD PROJEKT REDは9月2日、『サイバーパンク2077』に収録するカットシーンについて、「一人称視点中心」にする決断をおこなっていたことを明らかにした。これに先立って、公式フォーラムなどで持ち上がった噂をもとにファンが「カットシーンなどが三人称視点でなくなったというのは事実か」という問い合わせを本作の公式Facebookアカウントにおこない、CD PROJEKT REDがそれを認めたとする内容が海外フォーラムに投稿され、一部でニュースとしても報じられていた。それについて公式に声明を発した形だ。

本作のカットシーンを一人称視点中心にした理由についてCD PROJEKT REDは、没入感の最大化を挙げている。ただし、“ごく一部”のカットシーンでは三人称視点にてプレイヤーキャラクターを見ることができ、また所持品画面や運転時、鏡でも確認できるという。そのため、三人称視点がなくなったというわけではない。同社は、ゲームプレイと物語の伝達において、この決断が必ずプラスに働くであろう確信があると述べている。

『サイバーパンク2077』はもともと一人称視点でプレイする作品であるが、昨年8月と今年8月に公開されたふたつのゲームプレイ映像では、一部に三人称視点のシーンがあった。昨年の映像では、主人公V(ヴィー)が自宅アパートで身支度を整えるカットシーンがあり、デザインされたカメラ割りにて自身の姿が映し出されている。また、車の運転中には一人称視点と三人称視点を切り替えられることも判明。目のサイバーウェアのアップグレード手術をおこなう際には、一時的に取り外された目からVの姿が見える場面もあった。

先月公開された映像でも、バイクに乗っている際に車と同様に視点を切り替えており、CD PROJEKT REDが挙げた所持品画面や鏡でもプレイヤーキャラクターの姿を確認できた。カットシーンについては、1人称視点のものが収められている。また、この映像ではキャラクターの見た目や装備のカスタマイズについても紹介されている(関連記事)。

『サイバーパンク2077』は、キャラクターに関して豊富なカスタマイズオプションを備えることが特徴のひとつだといえる。顔の各部の造形から、肌に走る配線(Surface Wiring)、肌や目の色、髪型、タトゥーなどの基本的な見た目を細かく調整でき、またショップで購入し装備した服装も見た目に反映される。服装によってレア度やステータスが設定されているようで、プレイ中にはさまざまなファッションを試すことになりそうだ。

さらに、身体と声はそれぞれ2種類から選択する。いわゆる男性と女性のモデルだが、ゲーム内ではどちらがどの性かは表記されず、たとえば女性の身体に男性の声を組み合わせることも可能だという(Metro)。トランスジェンダーへの配慮という側面もあるだろうが、身体改造が一般的な本作の世界観においては、あって然るべき自由度だと言える。

*アパートのカットシーンは7分56秒あたりから。

本作のカットシーンなどから三人称視点がなくなったというのは、結果的に誤報あるいは誤解であったわけだが、これがファンの間で大きな話題となっていた背景には、CD PROJEKT REDが手がけ大ヒットした『ウィッチャー3 ワイルドハント』のカットシーンが好評だったことがある。昨年および今年のE3にて公開されたシネマティックトレイラーを受け、本作のカットシーンにも期待が高まっていたことだろう。また、上述したような細かなキャラクターカスタマイズをおこなっても、その姿を堪能できないのでは意味がないではないかという意見も見られた。

今回CD PROJEKT REDは、ごく一部というカットシーンを含め、自身のキャラクターを目にする機会はちゃんと存在することを明確にした形だ。ただ、ごく一部というからには一人称視点のカットシーンが大半を占めるのだろう。『ウィッチャー3』ではゲラルトという特定のキャラクターの物語を追う作品だったため三人称視点を採用したが、本作ではプレイヤー自身が主人公となるため、没入感を高めるために一人称視点のゲームにしたそうだ(Eurogamer)。その考えがカットシーンにも反映されたと考えられる。一方、昨年公開されたアパートのシーンはその“ごく一部”に含まれるのかなど、一人称視点中心とする決断によりこれまで披露されたものに変更を加えたのか、それとも情報公開を始める前にすでにおこなわれていた決断だったのかは不明である。

海外向けに今回の発表をおこなったCD PROJEKT REDのグローバルコミュニティリードMarcin Momot氏に対しては、カットシーンではカスタマイズしたキャラクターの表情やリアクションを見たいなどとして、多くのファンが落胆や再考を求めるコメントを寄せている。一方で、CD PROJEKT REDが熟慮を重ねて導き出した結論を信じるという声も少なくない。同社は、一人称視点が必ずプラスに働くであろう確信があると述べているものの、否定的な見方をするファンも多いため、彼らを納得させるような情報を今後提供する可能性はありそうだ。

『サイバーパンク2077』は、PC/PS4/Xbox One向けに2020年4月16日発売予定。GoogleのクラウドゲームサービスStadiaにも提供される。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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