インディーゲームの開発会社であるピクセルが、横スクロールSTG『ホーギーヒュー』の、Nintendo Switchへの移植をかけたクラウドファンディングを実施中だ。『ホーギーヒュー』は、PC/iOS版がリリースされた作品。国内向けPC用パッケージ版が3024円、海外向けSteam版が1220円(英語のみ)、iOS版が840円で販売されている。
クラウドファンディングサイトMakuakeにてキャンペーンが行われており、Nintendo Switchに移植し、本作が生まれるきっかけとなった少年とその家族に遊んでもらうことが目的の一つだという。目標金額200万円に対して、記事執筆時点で94万5000円以上の金額が集まっており、残り期間は48日となっている。
『ホーギーヒュー』は、動物をモチーフにしたキャラクター達が特徴的な2DドットSTGだ。舞台となるのは、現実とは異なる地球。そこには、さまざまなシュゾクが価値観や信仰を抱えながら生きていたが、ある日ゴーザリアンと呼ばれる宇宙からの侵略者が地球へ襲来。最新兵器を手に抵抗を試みるものの、ゴーザリアンにより兵器が無力化されたことで、隠居していた2人のパイロット「ヒュー」と「フィガロ」が操る2機の旧式飛行機にスポットが当たり、最期の希望として2人が出撃する―――というのが本作のストーリーになる。
スタッフとしては、『Shantae』シリーズにも関わったイラストレーターKOU氏がキャラクターデザインを手がける。元コナミの矩形波倶楽部リーダーで、『グラディウスII-GOFERの野望-』など主にレトロゲームのBGMを手掛けてきた古川もとあき氏がBGMを担当。全7ステージには、多様なステージ構成と、個性的なボスとの戦いが用意されている。また、レトロな外見のSTGながらゲームオーバー時に手に入る「キューブのかけら」によってアイテムを購入し、STGが苦手なプレイヤーでも攻略できるようになっているそうだ。
本作に登場する主人公の「ヒュー」は、「ヒューガ」という実在の犬がモデルとなっている。「ヒューガ」は、ピクセルの代表取締役である佐々木英州氏と、共に暮らしている老犬だ。「ヒューガ」は元は福島県飯舘村に住んでいたが、2011年に起こった東日本大震災の原発事故による影響で、家族が仮住まいへ転居することになり、それに伴って仙台市の保護施設へ預けられることに。その保護施設で佐々木氏と「ヒューガ」は出会い、「ヒューガ」だけでなくその家族との関係も現在まで続いているという。
佐々木氏は、最初は「ヒューガ」を主役に据えたカジュアルアプリを作るつもりだったそうだ。しかし「ヒューガ」の家族で、父の影響によりレトロゲームへの関心がある少年K君(『ホーギーヒュー』開発当初8歳)に対し、「ヒューガ」を主人公にしたゲームを作っていることを話し、進捗の報告などをしているうちに作品に対する気持ちが大きくなり、ちゃんとしたものを作ることになったという経緯があったそうだ。
しかし、佐々木氏が昨年完成したPCパッケージ版『ホーギーヒュー』をK君へ送ったものの、PC版のプレイ環境がない為にK君は本作をプレイできていないという。2月に佐々木氏がTV出演した際、開発中のNintendo Switch版が映ったそうなのだが、K君はそれを根拠にPC版のデータをSDカードへ移すなど、遊ぶための試行錯誤を行ったが当然動くはずもない。そのため今年の春に福島で直接会った際には、「Nintendo Switch版だったら嬉しい」と言われたのだとか。
Nintendo Switchへの移植は昨年から進められているが、移植にはゲームエンジンをUnityへ切り替える必要があり、開発費用の不足から作業が難航。そこで、一番遊んでほしいK君も含めたより多くの人に遊んでもらうためにもクラウドファンディングの実施を決意した。クラウドファンディングによって集めた資金は、Unity版の開発費用のほかに、デバッグやドットなどの制作費/KOU氏による新規イラスト/古川氏による追加楽曲などに充てられるそうだ。クラウドファンディングの期間は10月15日まで。キャンペーンには、1000円から参加可能となっている。