『DayZ』がオーストラリアにて事実上の発売禁止処分に。その原因は「実装されていない大麻」にあるとされ困惑広がる

チェコのデベロッパーBohemia Interactiveが手がけたオープンワールド・サバイバルゲーム『DayZ』について、オーストラリアにて事実上の発売禁止処分を受けていたことが明らかになった。しかし、その原因とされたコンテンツは、実際にはゲーム内には存在しないことで困惑が広がっているようだ。現地メディアKotaku Australiaなどが報じている。

『DayZ』はPC版のほか、PS4/Xbox One版がダウンロード販売されており、年内にはパッケージ版の発売も予定されている。このパッケージ版のオーストラリアでの発売に向けて、流通を担当するFive Star Gamesは今年6月、日本でいうコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)にあたるAustralian Classificationにレーティング審査を申請。しかし、「RC(Refused Classification)」つまり分類拒否と判定され年齢区分が与えられなかった。CEROとは異なり、Australian Classificationは政府機関であるため、年齢区分を取得できなければ同国にてそのゲームを販売することはできず、また同じ作品を輸入販売することもできない。

本作のダウンロード版については「MA15+(15歳以上対象)」とレーティングされ、SteamやPS4/Xbox Oneにてオーストラリアでもすでに販売されていた。こちらはダウンロードゲームのみを審査対象にするIARC(International Age Rating Coalition)と呼ばれる、Australian Classificationや北米のESRB、欧州のPEGIなどが加盟する団体を通じてレーティングを取得していた。IARCでは無料の簡便な審査方式を採用しており、その審査結果に応じて加盟各団体の年齢区分を自動的に取得できる仕組みとなっている(関連記事)。しかし、今回のパッケージ版の審査結果を受けてAustralian Classificationは今年7月、本作のダウンロード版についても「RC(分類拒否)」に修正。この8月に入ってコンソール各ストアでの販売が中止された。Steamについては現在も販売されているようである。

Australian Classificationは、『DayZ』を分類拒否とした具体的な理由については公表していない。ただ、Kotaku Australiaが関係者から入手した証言によると、違法なドラッグの使用が報酬や動機に結びつく形でゲーム内で表現されていたことが問題だったという。ゲーム内でドラッグを表現すること自体は許されているが、その目的や効果によって禁止表現になってしまうわけだ。

2018年5月、Compulsion Gamesのアクション・アドベンチャーゲーム『We Happy Few』も、オーストラリアにてレーティング審査を通過できず、Australian Classificationは声明の中で今回と同じ理由を挙げていた。同作では「Joy」と呼ばれるカプセル状のドラッグが登場し、主人公はこれを服用することで街の住民からの敵意を避けることができるため、ゲームの難易度を下げる“報酬”であると判断された。オーストラリアでは違法薬物の蔓延が近年問題になっており、そうした社会状況が政府機関であるAustralian Classificationの審査にも反映されていると考えられている(関連記事)。

Image Credit: DayZ Wiki

では、『DayZ』ではどのような薬物表現が問題視されたのだろうか。Kotaku Australiaに寄せられた証言によると、プレイヤーは「Cannabis」と表記された大麻をアイテムとして入手でき、使用すると体力が回復する点が、禁止表現に相当すると判断された理由だという。つまり、違法薬物の使用が報酬に結びつく形である。

問題の大麻は、上の画像で見られるように栽培と加工によって複数の種類のアイテムとして入手できる形で、本作には“用意”されているようだ。ただし、これらの大麻アイテムはバージョン0.58 Experimentalのファイル内にてユーザーにより発見されたことで存在が知られているのみで、実際のゲーム内には実装されていない。プレイヤーが使用できないアイテムが理由で発売禁止処分となった形のため、ファンの間で困惑が広がっているのだ。

ただ、大麻アイテムの効果についてはプレイヤー間で不明とされているなか、Australian Classificationが体力回復に使用できるとしている(と見られる)ことから、今回のレーティング審査にあたってメーカーから大麻アイテムについての説明がおこなわれたものと考えられる。すなわち、将来的に実装される可能性はあるだろう。

今回のレーティング審査結果の報道を受けて開発元Bohemia Interactiveは、オーストラリアの本作のプレイヤーベースは巨大で、また重要なコミュニティであると述べる。そして、審査を通過させてオーストラリア市場にて本作を維持できるベストな方法を模索しているとコメントした。

前出の『We Happy Few』のケースでは、再審査を申請した結果、特に修正を施すことなく審査を通過している。その理由として再審査を担当した別組織Classification Review Boardは、Joy(ドラッグ)の服用によるメリットは一時的であり、副作用としてデメリットも存在する点を挙げ、また物語にはJoyの服用に抵抗する側面もあるとして、報酬として機能していないと判断を改めた。これは、開発元Compulsion Gamesが当時主張していた内容に沿ったもので、再審査にあたっての説明が認められたのだろう。

一方の『DayZ』の大麻については、単なる回復アイテムとして実装されるなら、審査結果が覆ることはなさそうだ。何らかのデメリットを加えるか、あるいは実装を取りやめるか、はたまた別の解決策を模索するのか。オーストラリアのファンは、その行方に注目していることだろう。

【UPDATE 2019/8/14 14:00】
Australian Classificationは8月13日、今回『DayZ』を「RC(分類拒否)」とレーティングし、事実上の発売禁止とした判断について声明を発表した(PDF)。それによると、審査にあたって流通元Five Star Gamesからは、本作では「Cannabis(大麻)」を含むドラッグの使用が表現されていることについて事前に申告されていたと正式に認めている。

その上で、本作にて大麻を吸うとプレイヤーキャラクターの飢えや喉の渇きを癒すことができ、また体温を下げる効果もあると説明。一方で、大麻の使用による中毒症状は表現されていないとのこと。こうした表現から、本作における大麻は体力やサバイバル能力をブーストさせる報酬や動機に結びつくアイテムであると判断し、法律に基づき禁止表現に該当すると判断したとしている。また、大麻の使用が報酬や動機に結びつかない形であれば「R18+(18歳以上対象)」に、さらに大麻表現をゲームから削除した場合は「MA15+(15歳以上対象)」に相当したとも述べている。

開発元Bohemia Interactiveは、本作のオーストラリア市場の重要性を語っているため、Australian Classificationが提示したいずれかの修正を施すことになりそうだ。それがオーストラリア版に限っておこなわれるのか、全世界すべてのバージョンで統一して実施されるのかは不明である。

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