『PUBG』開発元は、どのようにチート対策をしているのか。専門チームが取り組みを明かす日本語字幕付きの映像公開

『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』の開発チームはYouTubeにて、チート対策専門チーム「PUBG Anti-Cheat Unit」の取り組みを映像にて公開した。チートを対策するにあたって何をしているのかが明かされている。

『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の開発チームはYouTubeにて、チート対策専門チーム「PUBG Anti-Cheat Unit」の取り組みを映像にて公開した。統括のDohyung Lee氏やオペレーションリーダーWonha Ryu氏、エンジニアであるDongwan Kim氏らの解説をまじえて、チートを対策するにあたって何をしているのかが明かされている。映像は、日本語字幕に対応している。

チート対策の基本的な流れとしては、常時稼働している不正の自動検知(たとえば空飛部無人車の急激な増加など)やユーザーからの通報によってチートが認識されると、ログを確認し調査が開始されるという。ログの確認と同じタイミングで、分析チームとエンジニアチームがチートに関する仕様を確認し対策もまたスタートされるという。検知→分析→(該当ユーザーの)永久BANが迅速におこなわれるそうだ。そして対策プログラムを組んだのち、自動BANシステムにそれを組み込む。そして分析チームによって分析と機械学習によって“対策の対策”がおこなわれないかを検証し、一連の対策のプロセスは完了される。

もちろん、対策はこのプロセスだけに終わらない。ネットワークIDだけでなくハードウェアIDごと追放するハードウェアBANがおこなわれる。なお、ソフトウェアだけでなくデバイスでのチート検知もおこなわれているそうだ。こうした不正の検知のログを(テンセントなど)外部会社を共有した上で、警察と連携した不正者および不正ツール販売者の検挙も実施されている(関連記事)。なお、この「PUBG Anti-Cheat Unit」を分析するチートツール関係者を検挙する計画もあるという。

映像よりキャプチャ
映像よりキャプチャ

「PUBG Anti-Cheat Unit」は、チート行為をほぼリアルタイムに対応できることを強みとしているようだ。そのために、エンジニアによる分析と開発が進められている。一方チートツール開発者の攻撃は多様化しており、チート対策の対策に対する対策のような形で、メモリの暗号化など多岐にわたる不正防止に取り組んでいるそうだ。いたちごっこであるのが現状だが、専門チームが常日頃チートと戦い続けていることが強調されている。なおこの対策については、機械学習のチームと協力して新たな技術も追加されている途中であるとのこと。具体的には、機械学習のアルゴリズムによって、ゲームプレイのログや統計、プレイパターンをつなぎあわせ、快適な環境を提供するねらい。また、自社ソリューションも開発されており、これが実現されればチート開発者によるゲーム分析が難しくなるとも勝たれた。

チートのほかにもマナー違反や規約違反行為なども並行し、取り締まっていくという。“すべてのプラットフォームにおいて”快適なゲームプレイが楽しめる環境を構築すべく、最善を尽くしていることを強調。プレイヤーの報告がこうした「PUBG Anti-Cheat Unit」の重要なデータ構築に貢献しているとし、まだまだ改善すべき点は多いが、今後も協力と叱咤叱責をお願いしたいと呼びかけている。

映像よりキャプチャ

『PUBG』といえばバトロワブームの火付け役であると同時に、チートに悩まされてきたタイトル。爆発的なプレイヤーの増加と、それに伴う人口下落の両方を経験してきた。プレイヤー数はゆるやかに減少傾向にあるが、それでも1日のプレイヤー数平均は35万人を上回る人気作品。未だ多くの人々が遊び続けている。

またテンセントが開発・運営に関わる『PUBG Mobile』についてはPC版とは異なり現在も数字を伸ばし続けている。The Financial Timesによると『PUBG Mobile』は2019年5月だけで1.46億ドル(157億円)を売り上げたと報道。『PUBG Mobile』は中央~西アジアで爆発的に人気になっているほか、中国では暴力表現が政府チェックに引っかかり“収益化”できていなかった『PUBG Mobile』が配信停止され、『平和エリート』なるゲームへと転身していた。倒されたプレイヤーが手を振るシュールな仕様が話題を呼んだが、平和化により中国政府の承認を得たことで収益化に成功しており、その影響でさらなる追い風を受けたという。発売初年度ほど存在感はないものの、『PUBG』というブランドは依然として人気で、むしろ新たなユーザーを獲得している。

一方で、テンセント主体で運営されている『PUBG Mobile』はPC版ほどチート対策が進んでおらず、同映像(グローバル版)のコメント欄にモバイル版についての不満が大量に寄せられている状態だ。Erangelのリワーク、ナラティブ体験を届ける派生作の開発など多彩な展開が予定されているが、それゆえに『PUBG』ブランド全体のコントロールも並行して求められそうだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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