イランとシリアで『LoL』へのアクセスがブロック。アメリカによる経済制裁の一環
世界中に多くのプレイヤーとファンを抱える『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』。先週末より、イランおよびシリアからの『LoL』サービスへのアクセスが遮断されたという報告が相次いでいる。イランとアメリカの国家間対立の激化にともない、アメリカ側の制裁強化がオンラインゲームにも影響した格好だ。
世界中にプレイヤーを抱える『LoL』は、多くの地域でサービスが整備されストレスなく遊べるものの、アフリカ・中東・インドといった地域には未だにサーバーが設置されていない。こうした地域のプレイヤーは近隣のサーバーで遊んでいるようだ。ニューデリー支社が設置されて2年以上が経つインド地域では、未だにサービス開始の発表が行われておらず、変わらない状況の中でプレイヤーたちはオセアニアや北米といったサーバーでプレイしているとされている。ドバイ支社は中東地域でのサービスを目標として、2018年1月頃に設立が確認されているが、こちらもサービスは開始されていない。アフリカや中東のプレイヤーがプレイする場となっているのは、主にEUWサーバーであるようだ。
イランのユーザーが『LoL』へのアクセスを遮断されたという書き込みをRedditに行ったのは、日本時間の6月22日朝。続けてシリアからのユーザーも接続遮断が報告された(Reddit、現在は削除済み)。ユーザーがアップロードした警告画面のスクリーンショットには「アメリカの法規制により、あなたの国のプレイヤーは現在『リーグ・オブ・レジェンド』にアクセスできません。これはアメリカ政府による制限であり、解除される時にサモナーズリフトでまたお会いできることを楽しみにしています」という英文が表示されている。Redditへの書き込みによれば、ブロックは当該国からの直接のアクセスのみが対象で、VPN使用によって回避することが可能となっている。しかしシリアからのアクセスは「現時点でピンが90あり、VPNを経由するとこれが140にまで上がってしまうため、ほぼプレイ不能」といったコメントが寄せられている。接続状況には個人差があるものの、アクション要素の強い『LoL』のプレイにとって、接続ラグの増大は死活問題だ。
このところのイランとアメリカの関係悪化は国際ニュースを騒がせているトピックのひとつになっている。トランプ大統領は就任以来、オバマ前大統領が行ってきた政策を取り消すような施策を行ってきており、そのひとつがイランに対する強硬姿勢だ。先週初めにイランがアメリカの無人機を撃墜した後、トランプ政権が「経済制裁を大幅に強化する」との声明を発表している。今回の『LoL』サービス遮断は、この制裁強化に含まれる「イランにおける事業はアメリカの企業との取引を禁ずる」という点を履行したものだ。基本無料プレイのF2Pゲームであっても、マイクロトランザクションによる取引は発生しうるため、イランおよびシリアでのサービスそのものを利用不可にしたのであろう。
各地域の『LoL』サービスは、サービス地域の法規制にしたがって運営されている。たとえばロシアでは、テロ対策を目的とした「ヤロヴァヤ法」に定められる通話音声ログの保管ができないとして、昨年7月をもって公式ボイスチャット機能が無効化された。アメリカでは、ゲーム内有料通貨の購入時にプレイヤーが住む州ごとに定められた税金がかかる。『LoL』のサービスにはルートボックスも含まれるため、国ごとにスタンスの違うルートボックス規制の影響も引き続き気になるところだ(関連記事)。
Riot Gamesは各地域に支社を作り、地域に密着したサービス提供を旨としているが、大元としてはアメリカの企業であるRiot Gamesのタイトルだということは取り消しようのない事実だ。『LoL』が世界的に普及しているという点は、eスポーツがスポーツとして成り立つための説得力を補強してくれる要因であるかもしれないが、一企業のゲームタイトルである以上、各国の法規制による影響は免れえない。国際情勢が好転し、一日も早く当該地域のプレイヤーが再び『LoL』を楽しめる日が来ることを祈るばかりだ。