テスラCEOのイーロン・マスク氏、『ニーア オートマタ』のファンアート無断転載を指摘され「Twitter削除した」と発言。実際には消えていない


Twitterにて度々過激な発言で物議を醸すことで知られている米テスラ社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が、6月17日に「Twitterアカウントを削除した」とツイートとした。もちろん本当に削除していたらこの投稿自体が不可能であり、日本時間6月18日午後15時現在、同氏のアカウントはまだ閲覧可能な状態だ。「スマートフォンからTwitterのアプリを削除した」くらいの意味なのかもしれないが、世界有数の資産家であり2700万人ものフォロワーがいる同氏にTwitterを放棄させるに至った発端は、あの『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』だという。

https://twitter.com/elonmusk/status/1140481957341495296

一連の騒動の始まりとなったのはElon Musk氏によるTwitter投稿だ。同氏は米国を代表する資産家・起業家でありながらもゲーム好きとしても知られており、『Bioshock』『Mass Effect』『Fallout』などのシリーズのファンであると公言している。Twitterでも度々ゲームの話題を出しているMusk氏だが(関連記事)、先週末は『NieR:Automata』のキャラクターである2BのイラストをTwitterに投稿。ファンアートがMusk氏の手によるものではないことは明白だったが、ツイート内容には「2b」とだけあり、アーティストや引用元の記載等は一切なかった。これに対して他のTwitterユーザーが「アーティスト名を併記するべきだ」と指摘した所、Musk氏はシンプルに「No」と返答した。

Kotakuによるスクリーンショット

そればかりか、ヒートアップしたMusk氏はさらに反論。「どんな馬鹿でも調べれば数秒で誰の作品かわかる時に、わざわざアーティスト名を併記する風潮は不必要で、有害だ」と発言した。イラストを中心とした著作物の無断転載はTwitterにおいて何年も議論が交わされ続けているホット・トピックである。ジェンダー系の話題などと同じく、主張の内容に関わらず非常に炎上しやすい。Musk氏のこの火に油を注ぐような対応も、当然のように大炎上することとなった。自分の投稿を皮切りに起こった終わらない議論や、直接届く批判に嫌気がさしたのか、Musk氏は「Twitterアカウントを削除した」と投稿。アカウント自体は実際には消えてないものの以降の発言はなく、またアイコンも黒一色に塗りつぶされたものに変更された。

Kotakuによるスクリーンショット

Musk氏は以前にも度々Twitterの軽率な発言でトラブルを起こしており、中でも悪名高い「Tesla 420事件」というのが存在する。問題のツイート内容は「一株420ドルでテスラの非公開化を考えている。資金は確保済み」というもの。この発言を受けてテスラの株価は11%も上昇し、SEC(Securities Exchange Commission、米証券取引委員会)の調査対象となった。調査の結果、Musk氏のツイートは投資家を欺く「虚偽及び誤導」としてSECに提訴され、2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことになった。

英語のスラングに詳しい方ならうっすらと気がついているかもしれないが、420という数字は大麻を表す隠語として度々用いられる数字である。Musk氏は、当時の株価に20%のプレミアムを上乗せした計算結果が419ドルになったのを見て、「ガールフレンドが面白がると思って」わざわざ420ドルに値段を切り上げて問題のツイートをしたとのこと。なんとも人騒がせな話である。

なお、Musk氏はこのTesla 420事件について2000万ドルの罰金を支払いながらも「Worth it(その価値はあった)」と発言している。ここまで神経の太い人物が、イラストの無断転載を指摘・批判された程度でTwitterが嫌になるとは考えづらく、またすぐに復活するのではないかと考えている人が多い。Musk氏の度重なるTwitterでの過激な言動に辟易していたユーザーからは、「あの『ニーア』がElon MuskにTwitterを辞めさせた!」として、「For the Glory of Mankind(人類に栄光あれ)」とゲーム内のセリフを引用して茶化す光景なども見られた。

Tesla 420事件の後、Musk氏はテスラの弁護士による許可なしでは会社の非公開経営情報についてTwitterに投稿できないという誓約を交わしているが、今回の無断転載事件はそれをすり抜けた形となる。Tesla 420事件に比べれば会社への直接の影響はないかもしれないが、テスラ社としてはMusk氏のTwitterはこのまま動かないままのほうがありがたいのかもしれない。