『LoL』パッチ9.11では「ちび魔トリスターナ」が発売予定。次期パッチではモルデカイザーのリワークも

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは5月30日、最新環境となるパッチ9.11を実装した。次期パッチである9.12に向けてチャンピオン「モルデカイザー」のフルリワークも予告されている。

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは5月30日、最新環境となるパッチ9.11を実装した。今年3月にユーザー投票にて決定されたスキン「ちび魔トリスターナ」はこのパッチでのリリースとなる。また次期パッチである9.12に向けてチャンピオン「モルデカイザー」のフルリワークも予告されている。

 

ザックの一部巻き戻しなどを含むパッチ9.11

日本時間5月30日早朝に行われたメンテナンスで実装されたパッチ9.11 では、さまざまな調整が行われている。まず大きな変更としては、ザックのアルティメットスキルがタンクアップデート(2017年のパッチ7.9)より前の仕様に巻き戻されている。アカリやガリオ、ジェイスといったチャンピオンの弱体化は主に上級者やプロシーン向けの調整だ。前パッチで「上級者と初級者のパフォーマンスの差を埋める」ために大きな変更が加えられたマスター・イーについては、予想通りの結果が得られなかったためにさらなるフォローアップがなされている。ジャングラーとしてこのところ猛威を振るっていたカーサス、ラムスにも弱体化が加えられた一方で、グラガスには強化が入ってもいる。リリースされて1パッチとなる最新チャンピオン「ユーミ」には、操作感やゲーム内表示の改善、バグ修正が施された。

新コンテンツとしては、今年3月に行われたユーザー投票で3候補の中から決定した「ちび魔トリスターナ」スキンが5月31日より発売予定となっている。このスキンについては開発プロセスの報告記事が2週間ごとに公開されており、スキン制作で実際に何が行われているかを垣間見ることができる。

 

モルデカイザーのフルリワークが予告

次期パッチである9.12の見込みとしては、今年1月にチャンピオンアップデートが予告された「モルデカイザー」のフルリワークがリリース予定だ。モルデカイザーといえば100を優に超えるバグを抱えた「バグ特盛チャンピオン」であり、また多くの古いチャンピオンがアップデートを受けた今となっては「最後のピザ足チャンピオン」でもあった。ついに一から作り直された新しいモルデカイザーは、一体どんな性能だろうか?

まず悲しいお知らせとして、敵チャンピオンやドラゴンを従えることのできるアルティメットは削除されてしまう。新Rとなる「死者の謁見場」は、対象の敵チャンピオンからステータスの一部を盗み取った上で、限られた範囲での1対1を強制するという、これまでになかったアルティメットとなっている。この範囲は死者の世界であり、モルデカイザーと対象以外のチャンピオンたちは干渉することが全くできない別世界となる。効果時間中に対象をキルすることができれば、対象がリスポーンするまでの間は盗んだステータスを維持することができる。タンクを連れ去れば敵チームからは頼れる前衛がいなくなるし、ダメージディーラーを連れ去れば大量の攻撃的ステータスが得られるだろう。本実装後はさまざまな使い方が考案されそうだ。

通常スキルは完全なソロレーン向けに設計しなおされている。新Q「滅魂の一撃」は、巨大なメイスを前方に叩きつけて範囲にダメージを与えるスキル。敵1体にのみしか当たらなかった場合は、ボーナスダメージが発生する。旧スキルセットにあったシールド関係の能力をまとめてわかりやすくしたのが新W「不滅の鎧」で、被ダメージと与ダメージの25%を蓄積し、発動1回目では吸収した量のシールドを獲得する。発動2回目では、シールド量の半分の体力を回復させるので、1対1のダメージ交換を有利にしていけるスキルとなっている。新E「死の呪縛」は旧スキルにはなかった能力で、前方の一定範囲にいる敵を手前へと引き寄せる。この引き寄せはかなりの距離があり、ダッシュやブリンクなど一瞬で距離を取ることのできないチャンピオンにとっては大きな脅威になるだろう。また、自動効果で魔法防御貫通値を得ることもできる。新固有スキル「無窮の闇」は通常攻撃に追加魔法ダメージがつくほか、スキルや通常攻撃を合計3回敵チャンピオンに当てると、自身の周りにダメージを与える効果が展開される。この効果中は戦闘状態である限り移動速度も増加するので、逃げる敵を追うのにはピッタリだ。

新モルデカイザーはこのように、以前よりも「ジャガーノート」色が一層強調された性能になっている。コミュニティの反応としても同じくジャガーノートに分類される「ダリウス」との類似を指摘する声が多い。違いは物理ダメージ(ダリウス)か魔法ダメージ(新モルデカイザー)かという点や、新モルデカイザーのほうがダリウスよりもキル獲得にかかる時間が長い点(バーストではなく継続ダメージ重視)になるだろう。

最初にモルデカイザーリワーク予告として発表された「再び降臨する鋼の魂奪者 – 制作の舞台裏」(YouTube動画)では、こうした性能やビジュアルのコンセプトが語られている。また公式パートナーとのコラボコンテンツとして、元プロ選手であるVoyboy氏のプレイ&ガイド動画(YouTube動画、英語)も公開されている。物語面では、新しく書き直されたキャラクター設定は大きく変わっていないものの、もともとあった設定を膨らませ洗練させる形になっている。ライブサーバーへの実装見込みとなるパッチ9.12は6月12日実装予定。

 

今後も複数チャンピオンへの小規模アップデートなどが予定

パッチ9.11で実装されたザックのアップデート一部巻き戻しにくわえて、今後もいくつかのチャンピオンに対して小規模な変更が予定されている。

今年2月よりPBEでテスト中の「ティーモ」の変更については、現在もテストが続いている。さまざまなフィードバックが得られていることから、今後は別のバージョンを試すなど、模索を続けていくようだ。

使いやすいタンクとして人気のある「マルファイト」についても、ゲームプレイおよび満足感の改善を目指した変更のテストが行われていた。担当デザイナーであるRiot Lutzburg氏のツイートによれば、テスト経過は順調なようである。

文化背景から特に中華圏で人気が高い「ウーコン」についても、マルファイト同様にゲームプレイおよび満足感の改善を目的とした変更がテスト中だ。ウーコンは西洋のユーザーからアップデートの要望が多いチャンピオンであるが、アジア圏での人気が高いゆえに大きな変更はためらわれると以前言及された、特殊な立ち位置のキャラクターである。もともとの性能を尊重しつつも改善を行うべくテスト中の変更にはさまざまなフィードバックが集まり、追加変更案も発表されているので、興味がある向きはぜひチェックされたい。

以上の変更は長期にわたるテストを行っており、具体的な実装予定は未定であるものの、どれも古いチャンピオンを「近代化」させる試みだ。同様の意図をもって「ダイアナ」の変更もテストが行われていたが、否定的なフィードバックが多かったためにキャンセルされている。

その他、大きな予定としては4月のチャンピオンロードマップで発表されていた新アサシンチャンピオン、パンテオンのリワーク、新マークスマンといったプロジェクトが予告済み。特に新アサシンについては「今年前半中」という発言もデザイナーから飛び出している。夏、そして世界大会が行われる秋に向けて加速していく『LoL』の展開を見逃さないようにしたい。

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

Articles: 174