米任天堂のレジー元社長、“リッチなイス”を受け取る。イスを贈りたいという署名活動が実を結びファンたちは喜ぶ

米任天堂の元社長兼最高執行責任者を務めたレジーことレジナルド・フィサメィ氏は5月15日、Twitter上でハーマンミラー アーロンのチェアが、自宅に届いたことを報告した。

米任天堂の元社長兼最高執行責任者を務めたレジーことレジナルド・フィサメィ氏は5月15日、Twitter上でハーマンミラー アーロンのチェアが、自宅に届いたことを報告した。ランバーサポートや洗練されたアルミの脚があり、調節可能でレザーの肘掛けを備える、20万円を超えるモデルである。届け主はハーマンミラー社。受け取ったレジー氏は、自身の代名詞である「My body is ready(身体は準備万全)」のネットミームにかけた、「This chair makes my body feel ready.(このイスは身体を準備万全にしてくれる)」と答え、ファンの笑いを誘っている。

ことの発端は、レジー氏が米任天堂の社長を辞任した翌日のこと。まだ社長だった頃のオフィスを背景に、マスターソードを引く写真が投稿された。マスターソードが主役であったはずの写真だが、ファンが注目したのはイスであった。ファンの解析の結果、同氏の使っていたイスはハーマンミラーのミラ1であった。すでに生産中止され、当時の定価は10万円。在任していた13年間このミラ1を使い続けたという説が有力になり、あっというまにこのイスは同写真の主役となったわけだ(関連記事)。

米任天堂の顔として、そしてビジネスマンとして同社の発展に貢献してきた前社長が、Facebookの一般社員以下のイスに座っているのはおかしいと抗議する声が寄せられ、さらには任天堂から同氏にハーマンミラーの高級イスを贈るように呼びかける署名活動にまで発展。海外の任天堂コミュニティの間では、小さな事柄に注目しわざと仰々しく騒ぐという文化が根付いている。レジー氏のイスもひとつのネットミームのような笑い話になるかと思いきや、この“イス問題”を取り上げたJason Cryer氏のChange.orgの署名は、勢いよく数字を伸ばし続け、署名数は2万3000にまで達した。

そして5月6日にレジー氏は、署名した人に感謝を述べながら、備え付けが充実したハーマンミラーのイスが届いたと報告。このツイートを引用RTし「どういたしまして、届くのが楽しみです!」とコメントしていたところをみると、どうやらハーマンミラー社が氏にイスをプレゼントしたようだ。そして昨日、実際にイスが届いたことを証明する写真が投稿されたという経緯になる。

海外メディアの中には、安いイスに座らせていた米任天堂を問い詰めるようなニュアンスで記事を出しているところもある。ただファンの温度を見る限り、そうした米任天堂批判ではなく、レジー氏に何かを贈りたいという想いが署名活動を突き動かしたように見える。イスが届き喜ぶ氏以上に、ファンたちは喜んでいるように見える。なかなかにクセのある形で進行していった今回のイスの贈呈であるが、結果的には多くの人々が幸せに包まれているようだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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