『Apex Legends』モバイルおよび中国展開に向けて交渉中。シーズン2の情報は6月のE3時期に発表へ

EAが2019会計年度第4四半期の決算を発表。『Apex Legends』のモバイルおよび中国展開に向けて交渉を進めていると伝えられた。『Apex Legends』シーズン2の情報は6月に発表される予定だ。

Electronic Arts(以下、EA)は5月7日、2019会計年度第4四半期の決算を発表した。投資家向けの収支報告では、CEOのAndrew Wilson氏が『Apex Legends』の成功を強調。同作は配信から1か月で累計プレイヤー数が5000万人を突破したと報じられており、COOのBlake Jorgensen氏はこのたび、『Apex Legends』のプレイヤーの30%にとって同作が初めて手にしたEAタイトルであるとの統計データを伝えている。

同作の今後については、中国展開およびモバイル展開に向けて交渉を進めているとのこと。ちょうど今年2月には、中国テンセントが『Apex Legends』の中国展開についてEAと交渉中であると報じられていた(Gameindustry.biz)。また韓国向けには、EAの配信プラットフォームOriginを通じて、EA自身でゲームを販売する計画があることも明かしている。『Apex Legends』シーズン2に関する情報は、6月のE3 2019にあわせて開催されるEA Playにて発表するとのことだ。

EA第4四半期の純収入は12億3800万ドル(前年同期は15億8200万ドル)、2019会計年度の総収入は49億5000万ドル(前会計年度51億5000万ドル)。第4四半期の当期純利益は2億900万ドル(前年同期6億700万ドル)、会計年度合算では10億1900万ドル(前会計年度10億4300万ドル)と減収減益ではあるものの、各社アナリストの事前予想を上回る結果となり、同社株価は決算発表後6%上昇。一時100ドルまで上がった。

第3四半期には『Battlefield V』、第4四半期には『Anthem』と、主力タイトルが続けて目標未達に終わったと報告される中、先述したように『Apex Legends』が大きく貢献。Wedbush SecuritiesのアナリストMichael Pachter氏は、『Apex Legends』による第4四半期の収入は約1億5000万ドルであったと推測している(VentureBeat)。EAのパッケージ/ダウンロード販売の比率を見ていくと、2017会計年度はダウンロード販売が59%、2018会計年度は67%、2019会計年度は75%と着実に伸びており、きたる2020会計年度には収入の77%がダウンロード販売になると見込まれている。

『Apex Legends』が業績に貢献した一方で、同時期に発売された『Anthem』は目標を下回る結果となった。ただWilson氏は、BioWareの開発チームが優れたコンテンツを継続的に配信してくれるだろうと、今後の躍進に期待を寄せている。なお『Anthem』の第4四半期売上目標は500万~600万本と報じられていたが、先述したPachter氏は、数百本単位で目標を下回っていると推測している。

同作については先日、ロードマップで予定されていた追加コンテンツの大半について配信延期を発表。5月7日には、期間限定品として導入されたストロングホールド報酬「エリシアン庫」の提供が終了する(アップデート1.1.1)。

『Anthem』

きたる2020会計年度には、まず第2四半期に『FIFA』『Madden NFL』『NBA Live』といったスポーツ系タイトルおよびインディーゲーム支援プログラムEA Originalsを活用したアドベンチャーゲーム『Sea of Solitude』が発売予定。続く第3四半期にはRespawn Entertainment開発の新作『Star Wars: Jedi Fallen Order』(11月15日)のほか、『Need for Speed』『Plants vs. Zombies』フランチャイズ作品の発売が控えている。なお2020会計年度の純収入予測は53億7500万ドル、当期純利益予測は25億9500万ドルとなっている。

Blake Jorgensen氏は第4四半期について、力強い成長を遂げることができたとコメント。継続かつ安定した収益を出しているライブサービス型タイトルが成果を挙げており、2020会計年度においてもさまざまなプレイヤーの需要を満たす作品を提供していくほか、『Apex Legends』『Anthem』『Battlefield V』『FIFA 19 Ultimate Team』『The Sims 4』といった既存のライブサービス型タイトルを通じたコンテンツ提供を続けていくと述べている。

Andrew Wilson氏も、決算報告書にて今後の展望を伝えている。「2020会計年度は、ゲーム業界にとって引き続き成長の一年となります。増加の一途をたどる世界中のプレイヤーに向けて、優れたエンターテインメントを届けられることを楽しみにしております。またプレイヤーによるゲームへのエンゲージメント方法は、かつてないほど多様化しています。そんな中、私たちは彼らの期待に応えられるよう、優れた新作やライブサービスなどから構成された幅広いポートフォリオ、F2Pやサブスクリプションを含む複数のエンゲージメントモデル。そして遊び、競い、観るための新しい機会提供を引き続き行って参ります」。

EAは同日、サブスクリプションサービス「EA Access」のPlayStation 4向けの展開を発表(関連記事)。Wilson氏の言葉どおり、より多くのプラットフォームにて、より多くのエンゲージメントモデルを提供できるよう準備が進められている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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